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細分化するIT職種 理解を深める“最初の地図”『IT仕事図鑑』はどう生まれた?

IT業界やITエンジニアに興味はあるけれど、どんな仕事があるのかよくわからない。そんな悩みを抱える人に向けて誕生したのが、『IT仕事図鑑 はたらく現場と人がイラストでぜんぶわかる!』です。

発売直後からAmazonのカテゴリランキング6冠や全国書店でも大きな反響を呼び、発売からわずか2週間で重版が決定。今回は発売即重版を記念して、著者の小野歩さんに制作の背景からこだわり、そしてAI時代のIT業界への著者の想いまで、さまざまなお話を伺いました。

2026年4月8日(水)に発売して即重版! IT業界の基礎知識から職種までをイラストでわかりやすく図解した書籍「IT仕事図鑑 はたらく現場と人がイラストでぜんぶわかる!

制作のきっかけは、「IT業界の職種の全体像がわからない」という声

――まずは、発売後すぐに重版が決まった反響についてはいかがですか?

小野さん(以下、敬称略):書店やAmazonで多くの反響をいただき、たくさんの方に届いていることを実感しています。発売が4月初旬だったこともあり、就職や転職など、キャリアについて考えるタイミングと重なったことも後押しになったと思います。

――まさに「進路を考えるタイミング」に寄り添った一冊だったわけですね。あらためて、『IT仕事図鑑』はどんな本なのか教えてください。

小野:ITに関わる最新の職種を、わかりやすいイラストで解説した本です。これからエンジニアを目指す学生の方や、転職・キャリアチェンジを考えている方、あるいは若手エンジニアの方など、ITの仕事について体系的に知りたい方に読んでいただきたいですね。IT業界の基礎知識も網羅されており、職種紹介にとどまらず、「IT業界の全体像」を俯瞰してつかめるのが本書の特徴だと思います。

IT職種を紹介する前に、「そもそもIT業界とは?」「IT業界での仕事とは?」といった基礎知識も網羅

――そもそも、この本を書こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

小野:私はITエンジニアのキャリア支援を行なっているのですが、キャリアの相談を受ける中で、「IT業界に興味はあるけど、職種の全体像がわからない」という声が本当に多かったんです。IT業界は変化のスピードが速く、新しい職種や役割も次々に生まれていますが、それらをまとめて理解できる媒体がありませんでした。前著(『ITエンジニア働き方超大全 就職・転職からフリーランス、起業まで』日経BP)でも「職種の概要」には触れていますが、最新の職種一覧を整理して体系的にまとめることには大きな意義があるのではないかと感じ、本書の制作に至りました。

読むことで「やりたい仕事」が見えてくる

――現場でのリアルな課題感から生まれた企画だったんですね。読者にとって、この本を読むメリットはどんなところにあると思いますか?

小野:それぞれの仕事のイメージが具体的に湧くようになりますし、どんな人が向いているのか、どんな資格が必要なのかも理解できるようになります。また、IT業界のことをよく知らない人でも理解しやすいように、専門用語はできるだけわかりやすく言い換え、監修の方にも確認していただきながら表現を調整しているので、詰まらずに読み進められると思います。

IT関連の専門用語は用語解説や補足が必ず付いており、学生やIT初学者でもスラスラ読み進められる

“キャリアパスまで見える”構成へのこだわり

――「どんな人が向いているのか」が書かれていることで、「自分に合うか」がわかるようになりますね。制作面で特にこだわったポイントはどこでしょうか?

小野:各職種の説明だけでなく、関連する職種や、その先のステップアップ先まで掲載している点です。単なる解説にとどまらず、「この先どういうキャリアを歩めるのか」というキャリアパスのイメージを描けるようにしました。

「今後のキャリア」(右ページ下)で、職種のステップアップ先を掲載

――キャリアを考える読者にとって、ステップアップ先まで見えるのはいいですね。ほかに制作で苦労した点があれば教えてください。

小野:近い職種や、企業によって定義が異なる職種の区分けはかなり悩みました。特にテスト関連やデータ関連の職種は業務の重なりも多いため、整理が難しかったですね。

本書で紹介するテスター、テストエンジニア、QAエンジニアはそれぞれ業務内容が重なっており、イラストや説明に違いを出すのに苦労した

また、目には見えない“システム”という概念を、わかりやすいイラストにするのは本当に難しかったです。編集者やイラストレーターさんがいろいろアイデアを出してくださり、助けられました。“神”だと思っています。

サーバーをつくる「バックエンドエンジニア」のイラスト。目には見えないバックエンドを地下空間に見立てている

IT業界で求められる力は変わっている

――話は変わりますが、AIの登場により、IT業界で求められる力は変わっているのでしょうか。

小野:これまでは特定の技術や言語に特化した“専門性”が重視されてきましたが、今はAIとの連携を前提に、複数の領域を横断できる“統合的な力”が求められていると感じます。

キャリア相談の現場でも、「どの言語を学べばいいか」ではなく、「どの方向に進めばいいのか」といった悩みが増えています。

キャリアを選ぶ側にとっては、選択肢が増えたことで、逆に迷いやすい時代になっているといえます。だからこそ、まずはITの仕事全体を俯瞰して理解することが重要だと思います。

願望は知識から生まれる

――これからのAI時代には、「ITの全体像を知ること」がますます重要になってくるんですね。最後に、これからIT業界を目指す人にメッセージをお願いします。

小野:「願望は知識から生まれる」と私は思っています。ITの仕事をしてみたいと思っても、何があるのかわからなければ選べません。この本は、そうした方にとっての“最初の地図”になるはずです。知ることで、「この仕事、やってみたいかも」という感覚が生まれます。それが次の一歩につながります。

そして、本を読んだあとは、ITのコミュニティに参加するなど、リアルな場での交流や人との接点もぜひ持ってほしいですね。

――「知ること」が「やりたい」に変わる、そのきっかけになる一冊ですね。

小野:IT業界はいまも変化し続け、日々職種やキャリアの選択肢は広がり続けています。だからこそ、「何を選べばいいのかわからない」という迷いも、確実に増えています。

『IT仕事図鑑』は、そんなこれからITの世界に踏み出す人やキャリアパスに悩む人に読んでほしいですし、進むべき方向を考える上で役立つはずです。ぜひ最初の一歩として、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。

IT仕事図鑑 はたらく現場と人がイラストでぜんぶわかる!

・価格:1,870円
・ページ数:224ページ
・サイズ:A5判
・著者:小野歩 著/増井敏克 監修
・内容
序章 ITの仕事となり方
1章 ITの仕事現場での基礎知識
2章 アプリ開発系
3章 インフラ系
4章 AI・データ分析系
5章 社内システム・保守系
6章 コンサルタント系
7章 監査系
8章 マネジメント系
9章 セールス系
10章 Web系
11章 伝える系
12章 横断系
巻末付録 IT資格一覧