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「はやぶさ2」、7月に小惑星へ高速接近 1km以下まで近づき秒速5kmで通過

JAXAは、小惑星探査機「はやぶさ2」が7月5日18時30分頃に小惑星「トリフネ」の近くを通過して観測するフライバイ探査を行なうと発表した。フライバイ探査では、高精度な軌道誘導技術の実証を行ない、小惑星への意図的な軌道変更に応用可能な技術の蓄積を目指す。2031年には最終目的地の小惑星「1998 KY26」に到着(ランデブー)し、探査を行なう予定。これらの取り組みは、将来的な小惑星衝突リスク低減に貢献する「プラネタリーディフェンス(地球防衛)」の観点からも重要な役割とされている。

はやぶさ2は、2014年12月にH-IIAロケット26号機によって打ち上げられた。2018年6月に小惑星「リュウグウ」に到着し、世界で初めて小天体表面への人工クレーター形成などの成果を挙げている。2020年12月に地球へ接近し、小惑星表面物質の入ったカプセルを投下して、サンプルリターンに成功した。

はやぶさ2はその後も「拡張ミッション」を継続しており、今回のミッションはその一環。

小惑星「トリフネ」(仮符号:2001 CC21)は地球接近小惑星(NEO:Near-Earth Object)の1つで、直径500m程度の細長い形状をしていると推定される。拡張ミッションの最終目的地である小惑星「1998 KY26」へ向かう途中でフライバイ探査が可能であることと、リュウグウとは異なるL型小惑星であると考えられたことから、対象として選ばれた。

その後の観測でトリフネは、「はやぶさ」が探査した小惑星イトカワと同様のS型小惑星であるという結果がわかっているが、その観測データは地球接近小惑星の多様性や進化の過程を理解する上で貴重であると考えられる。

トリフネの名称は公募によって決められたもの。日本神話における神や神が乗る船の名前が由来で、「はやぶさ2」が高速でこの小惑星とすれ違うフライバイ探査を安全に行なうことができるよう願って付けられた。

今回のミッションはプラネタリーディフェンスの技術検証でもある。プラネタリーディフェンスとは、地球に接近する小惑星などを早期に発見、監視して衝突の恐れがある場合には対策を講じて被害を未然に防ぐ取り組み。小惑星の接近は国を超えた全人類の脅威となるため、国連を中心とした国際協力により進められている。

トリフネへのフライバイでは、小惑星の中心からの距離1km程度を、秒速約5km(トリフネに対する相対速度)の超高速で通過(フライバイ)する予定。これには非常に正確な探査機ナビゲーション技術が必要で、探査機を小さな天体へ正確に命中・衝突させる技術の基盤となる。

また、はやぶさ2のように、本来は別の目的のために開発された探査機を活用して小惑星の情報をどこまで取得できるかを検証するのは、地球衝突の可能性がある天体が発見された場合に緊急対応をするための模擬テストになる。

2031年には、直径わずか30m、またはそれに満たないと推定される超小型・高速自転小惑星「1998 KY26」に到着し、世界初のランデブー探査を行なう予定。このような小型天体は、数十年に1度程度の頻度で大気圏を突破して地上に衝突するリスクがあるため、その物理的な性質(一つの岩なのか岩が集まったものなのか等)を把握することは、将来の衝突回避策において重要なデータとなる。