レビュー

Geminiで生まれ変わった新Google Homeスピーカー 「買い」だけれど発展途上

Googleのスマートスピーカー最新モデル「Google Home スピーカー」(16,800円)が6月末に発売されました。

従来のGoogle アシスタントから「Gemini」をベースに設計されたという新型スピーカーで、「Gemini for Home」や「Gemini Live」など、Googleの最新AI技術を取り込んで進化したという本製品。果たしてどんな風に使えるのでしょうか?

使用感をレビューするとともに、2個セットにすると可能なステレオペア、空間オーディオも試してみました。

Google Home スピーカーはどう進化した?

新しいGoogle Home スピーカーは、Googleのスマートスピーカーシリーズのなかでは最もスタンダードな製品。初代はGoogle Homeという名前で2016年(日本では2017年)に登場し、その後Home MaxやHome Mini、Nest Audioといった派生版が続きましたが、10年ぶりにメインストリームに戻ってきた格好です。

Google Home スピーカー

サイズは一気にコンパクトになって、ちょうどHome Mini 2つ分といったところ。見た目や(ファブリックの)素材感だけでなく、基本的な操作方法もHome Miniを踏襲しており、天面左右のタップで音量調整、天面の中央タップで再生・停止、底面近くにあるスイッチでマイクのオンオフとなっています。

中央が初代Google Home。左はGoogle Home Mini、右が新型Google Home スピーカー
ソフトボール大の手のひらサイズ
底面近くにマイクのオンオフスイッチ

底面の台座部分には全周にLEDが埋め込まれ、動作状況に応じて白や青、オレンジなどで光ります。電源ケーブルは直付けなので、その先のACアダプタをコンセントに差し込んで、スマホのGoogle Homeアプリでセットアップすれば使い始められます。

台座のLEDが光ってステータスを表す

ご存じの通り、「OK Google」のようにユーザーが話しかけて指示することで、音楽をかけてくれたり、調べものを手伝ってくれたり、家電や他のスマートホームデバイスを操作してくれたりする、というのがGoogle Home スピーカーのメイン機能です。

そのうえで新モデルでは、GoogleのAIアシスタント「Gemini for Home」を全面採用し、従来の音声指示に加えて自然な会話が可能な「Gemini Live」(ライブモード)も搭載されました。

このあたりはスマートディスプレイのGoogle Nest Hubシリーズに先行されたところもありますが、最新のスマートスピーカーということで精度・速度向上も期待したくなるところです。

「Gemini for Home」と「Gemini Live」でできること

ここで「Gemini for Home」と「Gemini Live」の違いについて整理しておきましょう。

Gemini for HomeはGoogleのAIアシスタント「Gemini」をスマートホームデバイス向けに最適化したもの。もう一方のGemini Liveは、Gemini for Homeに含まれる、自然なリアルタイム会話が可能な機能となっています。

話しかけている間は青などいろいろな色で光る

これまでスマートスピーカーで利用してきた通常の音声指示もGemini for Homeの1機能なので、いわば2つの音声入力モードが同居しているイメージでしょうか。

ただ、通常の音声指示とGemini Liveとで「AIができる範囲」には違いがあります。一番大きなところは、スマートホームデバイスの操作やGoogleサービスとの連携が可能かどうか。前者は宅内にあるスマートホームデバイスの操作や他のGoogleサービスとの連携が可能ですが、後者のGemini Liveではできません。

たとえば室内のスマート電球の明るさを変えたり、オンオフしたりする操作は、通常の音声指示で行ないます。「OK、Google、部屋の明かりを点けて/消して」みたいな使い慣れたフレーズで実行できるわけです。

しかし、Gemini Liveだと「ライブモードではまだその操作を行なえません」と言われてしまいます(将来的に可能になりそうな雰囲気ではあります)。

できればGemini Liveの自然な会話のなかで家電も操作したいところ。ではあるものの、通常の音声指示も以前より柔軟に対応してくれるようになり、曖昧な言い方であっても何度か対話を繰り返しながらユーザーの目的を達成できるようになっています。

照明の例で言うと、「部屋の明かりを少しだけ明るくして」と言えばわずかに明るさがアップしますし、その後に続けて「オレンジ色にして」と言えばオレンジ色に変えてくれます。複数個をセットにしている照明のうち「どれでもいいので1つだけ点けて/消して」のようなざっくりとした指示にもちゃんと対応してくれます。

きっちりとした言い方をしなくても、照明のオンオフや色変更など、いい感じに対応してくれる

また、音声指示してそれが実行された後も、数秒間は(OK、Googleと言うことなく)次の指示をそのまま受け付けてくれるので、ある意味Gemini Liveに近いやり取りができることになります。「連続的に、しかも曖昧な指示にも柔軟に対応してくれる」だけでも、使い勝手の向上を実感するところです。

なお、先ほど例に挙げた照明の色変更は、フルカラー対応の照明でのみ有効な指示です。たとえばPhilips Hueのスマート電球だと、昼白色のみ対応の製品は明るさのみが変更できます。しかし、色変更や暖色・寒色の調整も(電球自体は対応していても)できません。

色を手軽に変えたいならRGB電球が必要(いずれにしても暖色・寒色の変更指示は受け付けてくれませんが)、ということで、Google Home スピーカーの音声指示をフル活用するために、この際全てのスマート電球をRGBにしたくなってしまう、かもしれません。

Gemini Liveはまだ未完成 Googleサービス連携を期待

しかし通常の音声指示が半リアルタイム的に使えるとなると、Gemini Liveはどういうときに使えるのか、という話になってくるでしょう。

Gemini Liveは「OK Google、話そう」で起動でき、一問一答の会話をずっと続けられ、AIが話している間も割り込んで発言し、軌道修正できたりもします。が、照明をはじめスマートホームデバイスの操作や状態確認などは不可です。

「OK Google、話そう」で起動できるGemini Live

そのため必然的に、ちょっとした調べものをしたいときや、ブレスト的に会話したいときなど、ある意味「壁打ち」のような用途で使うことが多くなります。夕食の献立が思い浮かばなければ、その時の気分や手元の食材をざっくばらんに話してレシピを詰めていくとか、最新のネットニュースをラジオ的に話してもらって、気になる事柄があったら突っ込んで聞いて深掘りしていくとか。

一度Gemini Liveがオンになると、何もしゃべらなくても通常の音声指示より長く待機してくれますし、言い間違えたり、言いよどんだりしても適切に受け答えしてくれます。そうした使い方がハンズフリーでできるのはたしかに便利。

とはいえ、料理レシピを音声で伝えられてもユーザー側としては全ては覚えていられないでしょう。深掘りしたニュースの詳細情報も手元に残しておかないと、それらの情報を後で振り返って活用することができません。

スマホのGemini Liveでは会話のログがチャットに残るのでそこから再利用できますが、画面のないGoogle Homeスピーカーではそれも不可能ですし、Google アカウントのアクティビティログにも細かな会話は残らないようです。

また、通常の音声指示ならたとえばやり取りした内容をKeepにメモとして残すことも可能で、料理レシピやニュースの概要、参照リンクなどを後でスマホから確認できます。でも(Google Homeスピーカーの)Gemini Liveでは今のところそうした連携ができません。

通常の音声指示なら、Keepと連携して情報をメモしてもらうことができる

なので、Gemini Liveが本当の意味で実用になるシーンというのは、今はまだ限られているような印象です。

せめてやり取りをKeepに保存できるようになれば日常的にGemini Liveを活用したくなるでしょうし、仕事やプライベートで役に立つ場面も増えるはず。将来的なGoogleサービス連携に期待したいところです。

ステレオペアで空間オーディオを体験! 要注意ポイントも

2台のGoogle Home スピーカーでステレオ化可能

ところで、Google Home スピーカーは2つ同時に使うことでステレオ化(ステレオペア)でき、特定のデバイスとの組み合わせで空間オーディオにも対応します。1台は筆者が自腹購入しましたが、もう1台をGoogleからお借りすることができたので、ステレオ化にもチャレンジしてみることにしました。

設定画面の「音声」→「ステレオペア」から設定
Google TV Streamerなどのデバイスの画面からも連携やステレオペアの設定が可能

で、実際に試してみたところ、ステレオ化&空間オーディオ対応についてはいくつか注意しておきたいところがありました。

ステレオペアとして設定すると、YouTube Musicなどの音楽再生を指示した場合はもちろんステレオで楽しむことができます。1台でもしっかりとしたメリハリのあるサウンドですが、ステレオになることで当然ながらそこに音の広がりが加わり、臨場感もぐっとアップします。

スマホやPCなど他のデバイスからは、ステレオペアのGoogle Home スピーカーは1台のBluetoothスピーカーとして認識されるので、ペアリングすれば普通のBluetoothスピーカーとして使えます。ただし、音声の遅延が大きいため動画視聴やゲームには向きません。あくまでも音声コンテンツ再生用のステレオスピーカーとして考えるべきでしょう。

ただし、音声の遅延なく動画再生する方法もあります。それは、Google TV Streamer、またはChromecast with Google TV(Google Storeでは取り扱い終了)を組み合わせるというものです(Android TVには対応しないようで、スマホなどと同様に普通のBluetooth接続での利用になります)。

テレビに接続しているGoogle TV Streamerと連携
スピーカーからの距離やスピーカー間の距離をカスタマイズして空間オーディオの効果を最大化できる

Google TV Streamerと連携して空間オーディオに対応した動画を再生すると、ステレオよりも一段臨場感アップし、大画面テレビならホームシアターのような雰囲気が味わえます。

本格的なマルチチャンネルオーディオのような「音に包まれている感じ」まではいかないものの、立体的な音像を感じることができ、何度も見た映画であっても新鮮な気持ちで視聴できます。コンパクトなスピーカーで配置の自由度も高いので、簡単にシアタールームを作りたいときにも良さそうです。

総合的には「買い」だけれど、Gemini Liveは今後の発展次第

Google Home スピーカーは、柔軟な音声指示を可能にするGemini for Homeにより、従来のモデルよりも使い勝手がアップしています。音質向上もあって、活用したくなるシーンはますます増えるのではないでしょうか。

さらに、Google TV Streamerなどの特定デバイスとのセット利用が前提になるとはいえ、ステレオペアにしてさらなる臨場感を得る楽しみもあります。総合的には最新モデルなりの満足感が得られることは間違いありません。16,800円という価格も、手に取りやすく感じられます。

一方で、Gemini Liveによるリアルタイム会話は、他のスマートホームデバイスやGoogleサービスとの連携が不可能ということもあり、筆者としてはまだ使いどころを見いだせていません。

将来的には通常の音声指示と同様の連携が可能になる(もしくはGemini Liveに統合される)ことも考えられます。スマートスピーカーとしては、おそらくはそこからがGemini Liveの本領発揮、ということになるでしょう、今後の展開に大いに期待したいと思います。

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスに。オーディオ・ビジュアル、PC、モバイル、ガジェット、ソフトウェア、モビリティ、フード、トラベルなど、いろいろな分野に首を突っ込む「なんでもやる系」ライターとして活動中。Footprint Technologies株式会社 代表取締役。