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AI習熟度と労働格差 高賃金ほど高性能モデル アンソロピック調査

「AI利用の習熟が、労働市場の不平等を深刻化させる可能性がある」。Anthropicが24日に発表した「Anthropic Economic Index(Anthropic経済指数)」で言及している。

この調査は、2026年2月のClaudeの利用状況から、現在のAI利用がどのように行なわれているかを検証したもの。レポートでは、Claudeをより長く使用しているユーザーほど、新規ユーザーと比べて望ましい回答を引き出す能力が高いこと、また、AIの習熟度が労働市場の格差を生む可能性があることなどを紹介している。

コーディングはAPIへ ユースケースは拡大

当初より主要な用途となっているClaudeの「コーディング」については、Claude.aiのサービスにおける補助的な利用から、APIを使い自動化されたワークフローへと移行し続けている。

一方、ユースケースは多様化し、米国の労働者における、Claude上で行なわれた作業の平均経済価値はわずかに低下したという。これは、スポーツ、製品比較、住宅メンテナンスに関する個人のクエリが増加したことが要因で、早期にClaudeを導入した人はコーディングのような高付加価値用途で使い、後発の導入者はより幅広いタスクに取り組んでいるため。

世界的には、利用格差は依然として大きく、上位20カ国が一人当たり利用量の48%を占めており、前回調査時の45%から増加している。ただし、米国内における一人当たりClaudeの利用量の州ごとの差は縮小している。

時給が上がるごとに高性能モデルを活用

今回のレポートで力を入れて説明しているのが「学習曲線」だ。Claudeは、高所得国や、米国内でも知識労働者が多い地域で集中的に利用されており、比較的限られた専門的なタスクや職種の利用が多い。

また、早期導入による恩恵は自己強化的になる可能性があるとする。つまり、早く導入した人ほど、そのプラットフォームでの経験を積み、能力を向上していく傾向がある。

さらにモデル選択は、労働市場における高賃金タスクに対して、高度なモデルが使われる傾向がある。Claudeでは、Haiku、Sonnet、Opusの3つのモデルが用意され、Opusが最も高度で高コストなモデルとなっている。

Claude.aiでは、ソフトウェア開発者のタスクの34%がOpusを利用しているのに対し、家庭教師のタスクで12%にとどまる。タスクの時給が10ドル増えるごとに、Claude.aiユーザーにおけるOpusを使用した会話の比率は1.5ポイント増加するという。APIではさらに傾きが大きく、タスク価値が10ドル増えるごとにOpusの割合が2.8ポイント増加する。

有料のClaude.aiアカウントでは、コンピュータや数学関連のタスク(ソフトウェアのコーディングなど)の55%がOpusを使用しているのに対し、教育関連のタスクでは45%にとどまっている。ただし、パフォーマンスを求めて積極的にOpusへ切り替えている場合だけでなく、効率を重視して単純なタスクにはSonnetを使うことを学習しているケースもある。また、教育関連のタスクの多くがSonnetで対応可能であること、学生の方が利用制限を意識しやすいことを反映している可能性もあるとする。

AIが労働市場における不平等を深刻化させる可能性

レポートが示しているのは、Claudeをより長く使用しているユーザーほど、新規ユーザーと比べて望ましい回答を引き出す能力が高いこと。経験豊富なユーザーほど、Claudeをより協働的に扱い、業務上のより複雑なタスクに適用し、成功裏に活用できる傾向が確認されている。

「実践による学習」、つまり使い続けることでAIの活用スキルが向上している一方で、「こうした成功率の差異は、労働市場における不平等を深刻化させる可能性がある」と指摘。高スキルな労働者の賃金を引き上げつつ、その他の労働者の賃金を押し下げるような可能性もあるとしている。