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AIによる生産性向上は高学歴タスクで顕著 Anthropic調査
2026年1月19日 10:00
Anthropicは16日、AIが世界の仕事や経済にもたらす変化を調査した第4回「Economic Index Report(経済指標レポート)」を発表した。ClaudeとClaude APIの利用状況を分析したもので、職種によって異なるAIの浸透や人間との協働についてまとめている。
新たにAIによる働き方の変化を可視化する指標「経済プリミティブ」を導入。タスクの複雑さ、成功率、時間短縮効果、AI に与えられている自律性の程度などが含まれ、AIの利用用途の実態把握につなげている。従来の指標と組み合わせることで、AIが対応可能な業務内容だけでなく、実際に成果を上げている業務領域を把握できるようにしたという。
AIが仕事に与える影響は職種によって異なり、放射線科医やセラピストなどの専門職においては、AIが業務の一部を担うことで、人間のスキルが部分的に強化され、患者やクライアントと向き合う時間が増える可能性がある。一方、データ入力担当、ITスペシャリスト、旅行代理店などは、AIが業務の大部分をカバーできる場合が多く、人間の業務が単純化されたり、スキルの低下(デスキリング)につながる可能性があるとする。
タスクの複雑性については、より複雑なタスクほど、Claudeによる処理速度向上が顕著と判明。会話の入力内容を理解するために必要な学歴年数は、高校卒業相当(12年)の学歴を要するプロンプトのタスクでは9倍、大学卒業相当(16年)のタスクでは12倍の速度向上が確認されたという(APIではさらに大きな速度向上)。現時点でAIによる生産性向上は、比較的高水準の人材資本を必要とするタスクで生じていることを示唆しており、ホワイトカラーの専門家による職場での利用に効果を発揮していることがわかる。
タスクの成功率を調整した場合も、同様の傾向が(弱まるものの)見られる。Claudeは大学卒業レベルのタスクを66%の確率で成功させる一方、高校卒業未満レベルのタスクでは70%の成功率を示す。これにより全体的な効果は減衰するが消滅せず、タスクの複雑度とClaudeの処理速度向上効果の相関は、複雑度と成功率低下の相関よりも急峻に増加する。
人間とAIとの協働についても調査。Claude.aiでは、AIを補助的に使う「拡張型」の利用が会話全体の51.7%と、半数を上回っている。業務が複雑になるほど、人間による判断や監督の重要性は高まるため、AIの力を最大限に引き出し、アウトプットを適切に評価するためには、人間の専門的な知見が不可欠としている。
グローバルでは、米国、インド、日本、イギリス、韓国がClaudeの利用を牽引している。背景には経済水準が大きく影響しており、国民一人当たりの平均所得と密接に関連。一人当たりGDPが1%増加すると、Claudeの利用は0.7% 増加する。現時点では低所得国が急速にこの差を縮めているという兆候は確認できないという。
Claudeは主にビジネス用途で使われているが、バルカン諸国とブラジルでは、ビジネスでの利用率が最も高いが、ブラジルは、法務分野におけるAI活用が多いという。日本は、フィクション執筆での利用が突出しており、インドネシアは、教育・課題用途で先行しているなど、地域差もある。
また、Claudeがカバーできるタスクの数も増えており、49%の職種がタスクの少なくとも 4分の1でAIを活用。以前の調査の36% から増加している。
日本のClaude利用では、言語重視の利用傾向が際立っており、翻訳用途でClaudeを利用する割合がグローバルの2.5倍、テキストや文書を翻訳するタスクが全利用の4.3%を占めている。次いで、プログラミング言語や開発タスク全般にわたるコードのデバッグ、修正、リファクタリングなどで全体の3.8%。日本ではClaudeが主に人間の判断や専門性を支援する「拡張型 AI」として利用されており、「高所得国全体に共通する傾向」としている。

