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Claudeが広告を入れない宣言 「思考空間」強調し、OpenAI批判もアルトマン氏反論

AIサービス「Cluade」を展開するAnthropicは4日、同社のビジネスモデルについての声明を発表した。Claudeをビジネスや思考のためのツールとして強化し、「広告」は導入しないと強調している。

OpenAIは、無料版の「ChatGPT」や低価格プランの「ChatGPT Go」において、AIとの対話となるチャットUIに広告表示を開始する(米国から)。こうした流れに対する、Anthropicの立ち位置を表明したもの。「Claudeとの会話に広告を挿入することは、私たちがClaudeに求める姿である『仕事や深い思考のための真に役立つアシスタント』と相容れない」と説明し、広告導入はユーザーの利益にならず、広告を入れないという選択をしたという。

「Claudeは広告なしのまま。ユーザーはClaudeとの会話の横に『スポンサー提供』リンクが表示されることはない。またClaudeの応答が広告主の影響を受けることも、ユーザーが求めていない第三者の製品配置が含まれることもない」(同社)。

Webコンテンツや検索では、あたりまえに広告が存在するが、AnthropicはAIとの会話では、「ノイズから有用な情報を取り除くことが、そのインタラクションの一部」と説明。ユーザーは検索クエリよりも多くの文脈を共有し、より多くの情報を開示することが多いことに「AIとの対話の価値がある」とする。

また、AIモデルが利用者に与える影響については、まだ解明すべき点があり、現段階で広告インセンティブを導入すれば、「さらに複雑さが増す。広告ベースのシステムは予測不可能な結果を招きかねない」としている。

また、「真に役立つこと」が、Claudeの憲法の中核原則の一つだが、広告ベースのビジネスモデルは、この原則に反するインセンティブを導入する可能性があるとする。

一例として、ユーザーが睡眠障害に悩んでいると述べた場合、広告インセンティブのないアシスタントは、ユーザーにとって最も有益と思われる情報(ストレス、環境、習慣など)に基づき、様々な潜在的原因を探求する。一方、広告収入型のアシスタントは、その会話が取引の機会となるかどうかという要素が入ってきてしまう。「ユーザーは、AIが真にサポートしているのか、それとも収益化可能な方向へ会話を巧妙に誘導しているのかを疑わなければならない状況に置かれるべきではない」とする。

同社では、より透明性の高い手法やオプトイン方式(ユーザーが明示的にスポンサーコンテンツの表示を選択)であれば、懸念の一部は回避できる可能性はあるものの、広告収入型製品の歴史上、広告インセンティブは導入されると、収益目標や製品開発に組み込まれるにつれ強化され、「かつては明確だった境界線が曖昧になる」とする。そのため、Anthropicでは、Claudeに広告を導入しないことを選択した。

Anthropicのビジネスモデルは、企業契約と有料サブスクリプションで収益を創出し、その収益をユーザーのためのClaude改善に再投資するというシンプルなものとなる。同社でも、トレードオフを伴う選択であり、他のAI企業が異なる結論に達するのも当然のことと認識している、とも言及している。

今後も無料提供を継続するが、小型モデルへの投資を継続し、明確な需要がある地域では低価格サブスクリプションプランや地域別価格設定を検討する可能性があるとする。また、方針を見直す必要が生じた場合、理由を透明性をもって説明するとしている。

コマース支援も強化し、特に「エージェント型コマース」の可能性に注目し、Claudeがユーザーに代わって購入や予約をエンドツーエンドで処理する仕組みを追求。製品検索・比較・購入、企業との連携などを可能にする機能開発を続ける。

Anthropicはこの宣言とともに、4本のCMを公開。「Can I get a six pack quickly?(どうすればすぐにシックスパックになれる?)」というCMでは、懸垂をしている華奢な男性に筋肉隆々の男性が腹筋を割る(シックスパック)ためのコーチングを行なうが、身体の鍛え方ではなく、「まずは自信が最も重要だ」と語りだし、関係のない「1インチ背が高くなるインソール」をおすすめするというもの。

米ウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、これらのCMはNFLの「スーパーボウル」でテレビCMとして放送されるという。スーパーボウルのCMは、最も単価が高い広告枠とされている。

Can I get a six pack quickly?
What do you think of my business idea?
How can I communicate better with my mom?

Anthropicは「二枚舌」 誰もにAIを届けるとサム・アルトマン氏

こうしたAnthropicの広告に対して、OpenAIのサム・アルトマン氏は、Xの投稿に反論している。

アルトマン氏は、広告の良い点として「笑えた」と語りながらも、Anthropicの対応を「明らかに不誠実」と言及。Anthropicの広告に描かれたようなことは、「我々がまさに『これをしない』というもの。私たちは愚かではなく、ユーザーがそれを拒否することを知っている」と語り、「Anthropicの二枚舌が、現実にはない欺瞞的な広告を批判するために欺瞞的な広告を使うのは彼らのブランドに合致するのだろうが、スーパーボウル広告でそれをやるのは予想外だ」と皮肉っている。

加えて、OpenAIが重視するのは、「誰もがAIを利用できる権利を持つと信じ、無料アクセスを推進している点」と強調。「アクセスこそが主体性を生むと確信している。米国ではChatGPTを無料で利用するテキサス州民は、Claudeの全米利用者数を上回っている」と、圧倒的にChatGPTが使われているとアピール。「サブスクリプション料金を支払えない数十億の人々にAIを届ける必要性を強く感じている」と語る。

なお、OpenAIのスーパーボウル広告は、コーディングエージェントの「Codex」に関するもので、「これは創り手(ビルダー)のための物語だ」としている。Codexは、2日のアプリ公開からダウンロード数は50万件を超え、「今後数週間で提供される新機能は創り手を本当に喜ばせるものになる。Codexは勝利すると信じている」と説明。

アルトマン氏は、「ユーザーに、より低価格で、より多くの知性を提供できるよう、努力を続ける。この時代は、ビルダーたちの時代。彼らを支配しようとする者たちの時代ではない」とAnthropicの姿勢に異議を唱えている。