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国内最強タッグの誕生 「Rakuten最強U-NEXT」10月スタート 4378円

楽天モバイルとU-NEXTは、携帯電話の料金プランに動画配信サービス「U-NEXT」をセットにした「Rakuten最強U-NEXT」を10月から開始する。価格は4,378円。ベースとなる楽天最強プランが3,278円、U-NEXTが2,189円で合計5,467円のため、Rakuten最強U-NEXTでは1,089円安くなる形だ。ただし、通常のU-NEXTに付帯する月1,200円分のポイントは「Rakuten最強U-NEXT」には付帯しない。

「Rakuten最強U-NEXT」は10月から楽天モバイル公式サイトや楽天モバイルショップなどで申し込み受付を開始する。

プラス1000円でU-NEXTがついてくる

楽天モバイルはこれまで、データ利用量が少なければ段階的に月額料金が安くなる「Rakuten最強プラン」を展開。コストパフォーマンスと楽天経済圏との連携を強みに拡大を続けてきた。

U-NEXTは、有料契約者数が466万人を超え(2025年2月時点)、2024年の定額制動画市場シェアで2位につけているが、他サービスと比べて高めな料金設定であることから、価格ハードルが解約理由の1つにもなっていたという。

そのため今回、両者は「Rakuten最強U-NEXT」(4,378円)を発表。U-NEXTが視聴可能で、U-NEXTで配信している映画、ドラマ、アニメ、音楽、スポーツのほか、200誌以上の雑誌や3,000冊以上の児童書などを、データ容量を気にせずギガ無制限で楽しめる。

ただし、通常のU-NEXTで付与される1,200ポイントが含まれない。ポイントを考慮すると、個別に契約するのとほぼ変わらないので、ポイント利用が多いU-NEXTユーザーは注意が必要だ。一方、楽天モバイルユーザーで「U-NEXTを試したい・使いたい人」にとっては、使いやすいプランで「楽天モバイル(税別)2,980円に、プラス1,000円でU-NEXTがついてくる(楽天三木谷CEO)」という体験を目指す。

楽天の三木谷浩史CEOは、「日本企業の最強タッグ」と紹介し、年間13,000円おトクという「Rakuten最強U-NEXT」をアピールした。また、「三木谷さんからの要望」(U-NEXT宇野康秀会長)で、10月(予定)から、「U-NEXTサッカーパック」で配信している試合の中から、毎月数試合を追加料金なしで提供予定としている。

楽天 三木谷浩史CEO(左)とU-NEXT宇野康秀会長(右)

楽天モバイルの「楽天マガジン」や「楽天ミュージック」等のデジタルコンテンツ特典、「Rakuten Link」や海外ローミングなどの特典も、Rakuten最強U-NEXTには追加される。

なお、通常の「Rakuten最強プラン」は、利用するデータ量によって、3GB/20GB/無制限で料金が変わる段階製のプランだが、Rakuten最強U-NEXTは無制限で4,378円の固定料金となる。そのため、楽天モバイルのARPU(1ユーザーあたりの平均収入)拡大も図られることとなる。

「Rakuten最強U-NEXT」と「Rakuten最強プラン」の比較

楽天モバイルは、6月23日から9月30日まで、初月実質2,200円で「Rakuten最強プラン」のギガ無制限と「U-NEXT」をセットで利用できる「Rakuten最強U-NEXT先行」キャンペーンを実施する。

通信キャリアと動画配信サービスの連携では、6月5日からドコモとDAZNが連携した「ドコモ MAX」がスタート。DAZNの4,200円の月額料金を大幅に割引して、ドコモの料金プランに組み込み、容量無制限で8,448円とした。同様に動画配信とキャリアの連携を進めるものがRakuten最強U-NEXTとなる。

「無制限」がコンテンツの価値を上げる

発表会に登壇した、楽天の三木谷浩史CEOは23年前の「昔ばなし」から切り出した。2003年、U-NEXTの前身となるUSENと楽天が協力してブロードバンド動画配信サービス「SHOWTIME」を展開したが、当時はADSLで通信速度は1Mbps程度、コンテンツ数もそれほど多くなく、成功には至らなかった。

楽天 三木谷浩史CEO
23年前のSHOWTIMEでの協力関係

現在の2025年、5Gの最高速度が4Gbpsで「当時の4,000倍」となっており、若者を中心に月のデータ利用量も31.2GBまで拡大し、その回線が月3,278円(Rakuten最強プラン)で無制限に使える時代となった。

楽天モバイルの契約者数もまもなく900万回線となるなか、データの利用は「コンテンツ」「エンターテインメント」により拡大しているもの。テレビだけでなく、スマートフォンやタブレットで外出先で動画を見ることは当たり前になっている。そこで、コンテンツパートナーとしてのU-NEXTに言及し、「日本の最強タッグ」として「Rakuten最強U-NEXT」を発表。「データ無制限✕動画見放題。スマホもエンターテインメントも“無制限”に楽しめる時代を目指す」と「無制限」を強くアピールした。

U-NEXTの宇野康秀会長は、U-NEXTの特徴について、見放題では圧倒的ナンバー1の32万本の動画だけでなく、雑誌200誌以上・児童書3,000冊以上読み放題、ファミリーアカウントで家族4人まで利用可能などの特徴を紹介。契約者数は466万人で、(4つまでの)ファミリーアカウントを考慮すると「視聴可能数は軽く1,000万を超える」とする。国内シェアもNetflixに次ぐ2位となっており、「少しずつNetflixとの距離を詰めている」と成長について説明した。

コンテンツについては、オリジナルだけでなく、「見たいものが揃っている」という「数」にこだわった編成が特徴。アニメ・映画見放題は「圧倒的ナンバーワン」で、ドラマはTBS・テレビ東京、HBO Maxなどのコンテンツを揃えており、そのうえで、音楽ライブやサッカー、格闘技などのスポーツなどライブにも強みを持っている。音楽や舞台は年間400以上、スポーツは2,800以上の中継を行なっている。

こうしたコンテンツとともに、必要なインフラ、回線が必要となるが、この部分を楽天モバイルとの連携によって実現。(SHOWTIMEで頓挫したが)「23年前に我々がやりたかった世界観を実現できる」と言及。「通信・エンタメの世界は今後も進化していくが、我々が最強であり続ける」と訴えた。

デジタル赤字に対抗する「最強タッグ」に

なお、今回の提携は楽天側からU-NEXTに持ちかけたという。「私から宇野会長に提案させていただいた。ギガ放題の楽天モバイルと見放題のU-NEXTのライブラリの組み合わせは、メイクセンス(筋が通っている)するはずと」(楽天三木谷CEO)。その提案に対し、U-NEXT宇野会長も「凄く魅力を感じた。U-NEXTでもスマホのユーザーは多い。本当にいろいろな景色が変わっていく世界が実現できると思った」と語る。

また、宇野会長は、新プランのユーザーのメリットとして「なにも考えずにエンターテインメントを楽しめるようになる。利用制限がなくなれば、外でもどこでもエンタメを楽しめ、解き放たれる。エンタメそのものが変わると期待している」とする。

三木谷会長は、「コネクティビティ(接続性)は基本的人権といっても過言ではない。楽天がこれに挑んで適正な料金で使えるようになったことで、コンテンツの料金を気にせず楽しめる環境ができる。AIがでてきて、単純にコンテンツを楽しむだけでなく、生活自体がコネクティビティを前提にしている。そのうえで3GBまでとの制限がなく、自由になるというのがポイント」と無制限であることを何度も強調した。

U-NEXTの宇野会長は、日本の大手同士のタッグとして、「最近はデジタル赤字(AmazonやGoogleなどの海外企業のデジタルサービスがインフラ的に使われ、国内からの資金が流出すること)が騒がれている。そこに対応できている楽天とU-NEXTの日本企業同士が組んで世界と戦う。産業を守ることが重要だし、そこはみなもっと考えてほしいと思っている」と言及した。

Rakuten最強U-NEXTの獲得目標などは非公開だが、「バンバン申し込んでほしい」(三木谷CEO)と説明。楽天側のメリットとして、「単純に加入者が増えるほか、ARPU(1ユーザーあたりの平均収入)も向上する。解約リスクも低くなる。強力なプランができたと思っている」とした、

U-NEXTは、「現在466万契約で、500万が見えてきた。これを大きく伸ばして700万ぐらいまで持っていきたい」(U-NEXT宇野会長)としている。なお、U-NEXTの「ポイント」は付与されないが、「プラス1,000円で見放題は十分最強だと思っている」と語った。

三木谷氏は今回の取り組みを「運命共同体」と表現し、他の動画配信サービスとの連携は考えていないとした。資本提携については、現時点では「話していない」(楽天三木谷CEO)としているが、楽天とU-NEXTのポイント相互交換については「今後検討するかもしれない」(U-NEXT宇野会長)とした。