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IOWNで動く次世代リモート農機 万博会場から北海道のトラクター操縦

NTTと北海道大学は、2025年日本国際博覧会(関西・大阪万博)において、スマート農業技術展示として、リモート農業技術を実演展示する。6月8日~6月15日に開催される「食と暮らしの未来ウィーク」内で行なうもので、会場では実際に万博会場から、北海道にある農機の遠隔操縦を体験できる。

約1,200km離れた万博会場と北海道大学間を、NTTグループの低遅延・大容量通信を特徴とする次世代ネットワーク「IOWN APN(アイオン オールフォトニクス・ネットワーク)」で繋ぎ、北海道大学農場にあるロボットトラクタを万博会場で遠隔監視・操縦する。

ロボットトラクタは自動的に作業もできるが、走行途中に障害物がある時や、位置情報源となるGNSSの受信不良などで作業が継続できなくなる場合がある。そうした場合にロボットトラクタ前方のカメラ映像をリアルタイムに伝送することで、管理者が映像を見ながら遠隔操縦したり作業を継続したりできるようになる。

距離を感じない遠隔監視・操縦を実現するため、展示には2つの技術を活用した。一つは、モニターに映る映像から距離感をつかみやすくする技術。北海道大学が研究開発した、距離を示すゲージ、目標となるガイドラインを表示する技術を活用し、遠隔からの距離感把握を実現した。これにより、ロボットトラクタを運転したことのない人でも安心して操縦できるという。操作にはゲーム用コントローラを使用し操作にも馴染みやすい。

もう一つの技術は、大容量な映像を長距離伝送することで発生する遅延により、映像を見ながらの遠隔操縦が難しくなる課題を解決する技術。NTTの次世代ネットワーク「IOWN APN」により遠隔操縦システムとロボットトラクタをつなぐことで、遅延を感じることなく遠く離れたところにあるロボットトラクタを操縦できるようになった。

また、ロボット農機の試行錯誤による運用を避けるため、デジタルツインによるバーチャルファームも構築。この中でシミュレーションを行なうことで、安全に適切な作業ができるかを事前に確認できる。バーチャルファームと実際の農業現場との複合現実を用いた操縦体験も行なえる。

現在、日本にあるロボット農機は、1人が1台のロボット農機を監視する技術レベルとされ、1人で複数のロボット農機を同時運用するリモート農業の実現が期待されている。今回の遠隔操縦技術は、こうした作業現場に不可欠なもので、来場者に未来の農業を体験してもらうことを狙いとしている。

場所は、大阪府大阪市夢洲EXPOメッセ「WASSE」イベントホール南側 RELAY THE FOOD~未来につなぐ食と風土~「未来へつなぐ」エリア スマート農業ブース。体験は展示会場現地での整理券配布による予約制。