ニュース

ローソンとKDDIが“オールドニュータウン”再生 大阪・池田から

26年夏、池田市伏尾台に開店するローソン店舗の外観イメージ

大阪府池田市とKDDI、ローソンは12月5日、ローソン店舗やKDDIのインフラ技術を活用し、地域の活性化を図ることなどを中心とした包括連携協定を締結した。

いわゆるニュータウンのひとつで、少子高齢化が課題になっている大阪府池田市の伏尾台地域を対象に、地域密着型のローソン店舗を2026年夏にオープンし、最新技術も駆使しながら、店舗内外でさまざまな活性化策を講じる取り組み。

3者による包括連携協定の調印
取り組みの対象になる伏尾台地域
包括連携協定

ローソンはこの「ハッピー・ローソンタウン」構想について、池田市での取り組みを皮切りにして全国に広げる考えで、2030年に100件に拡大するのが目標としている。

店舗内外で活性化策
池田市での取り組みを皮切りに、100件に拡大するのが目標。右はローソンの竹増社長

1970年代に全国に広がったニュータウンは現在、全国に2,022地区あるとされるが、少子高齢化などが急速に進んだ結果、利便性が低下した“オールドニュータウン”として全国で課題になっている。一方で例えば、良品計画が“無印の団地リノベ”などとして住戸の再生に取り組んだ結果、若年層の入居が増えるといった例もあり、再生の手がかりが無いわけではない状況。もともと集会所や広場などの設備は充実しており、ここにローソンやKDDIといった民間企業のアイデアや技術を盛り込み、活性化を図っていく。

ローソンが住民と街づくりや再生を図る「ハッピー・ローソンタウン」構想

伏尾台での取り組みでは、阪急がデリカ工場を池田市に構えていることから、工場直送のベーカリーや惣菜をローソンで展開。内装や雰囲気にもこだわったイートインカフェやコミュニティスペースも整備する。

KDDI本社にある実験店舗での成果として、地域の利用や行政サービスの相談をローソンの店舗からできる「リモートよろず相談」を提供。スターリンクを整備した災害対応コンビニとしても運営する。

伏尾台での取り組み
ローソン店内に設置されるよろず相談所ブースのイメージ(東京のローソン高輪ゲートウェイシティ店)
災害対応コンビニとしても機能させる

今後は池田市と連携しながら、ドローン配送や自動ロボット配送、住宅リノベ、畑の活用、集会所をミニシアターとして運営するなど、さまざまな構想が明らかにされている。

KDDIは全国1,000カ所を目標にのドローンポート(発進基地)を整備中。遠隔操作により“10分でかけつけ”なども実現できるという
KDDIの松田社長(右)

池田市市長の瀧澤智子氏は、人口減少や少子高齢化が進行していることについて「持続可能にするには企業などとの連携が不可欠になっている」と指摘。ニュータウンの再生にローソンが参画することについては、住民から期待の声が上がっているとし、「定住人口の増加につなげていきたい」と意気込みを述べている。

ローソンの竹増社長は、通信やロボティクスといったKDDIの先端技術の協力が大きな力になっているとした上で、これら先端技術とローソンの店舗を組み合わせて、全国の衰退するニュータウンの活性化に活用していく考え。「若い人たちが帰ってきて、活気ある街に生まれ変わる。そんな思いを馳せている」(竹増氏)。

伏尾台では、構想段階としながらも、仮に“特区”のような指定ができれば、ドローン配送や自動運転バスの運行で、買い物や移動が困難な住民にもサービスを届けやすくなるとしている。

こうした地域に出店するローソンは、地域密着型を大きく打ち出すのも特徴。例えば、大阪府豊中市の千里中央公園内に「パークローソン千里店」を23年にオープンしているが、セルフレジとアバター接客のみにするなど、公園内という環境を考慮した形にしているのも特徴。一方、和歌山県の龍神村では、閉店した“最後のスーパー”跡地に待望される形で出店。生鮮食品を充実させるなど、地域の事情に合わせた形にしている。

竹増氏は、現在のローソンは弁当や飲み物だけでなく、生活用品や衣料品まで、生活に関わるさまざまな商品を安心のブランドとともに提供する場になっているとした上で、今後、こうした地域の事情を考慮した、地域密着型店舗が増加する見込みとしている。