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AI議事録のNottaがハードウェア参入 カード型レコーダ「Notta Memo」

AI議事録サービスを展開するNottaは、5月29日に新デバイスを発表した。カード型の録音端末「Notta Memo」と、オープンイヤー型のAIイヤフォン「Zenchord 1」の2製品で、Notta Memoは、6月15日からAmazonで予約を開始する。Notta Memoの価格は23,500円で、発売日は現時点で未定。Zenchord 1は、7月14日までMakuakeで先行販売中で、価格は20,800円からとなっている。一般販売予定価格は26,980円。

Notta Memoは、同社のAI議事録サービス「Notta」のスマートフォン向けアプリとシームレスに連携するハードウェアとして開発された。4つのMEMSマイクと1つの骨伝導マイクを搭載し、対面会議や商談、突発的な電話対応などを高音質で録音できる。本体の重さは28g、厚さは3.5mmで、最大2,000時間の音声を録音可能。

端末はカード型で、スマートフォンの背面にマグネットで装着。ボタンを押すだけで録音が開始される。録音データはNottaに自動転送され、文字起こしと要約が行なわれる。録音はインターネット接続が不要なほか、今後はリアルタイムでの文字起こしにも対応する予定。

専用ケース
液晶を搭載。バッテリー残量や録音モードをチェックできる

Notta Memoの購入者には、5時間分(300分)の文字起こしが利用できる「スタータープラン」が無償で付属する。Nottaの有料プラン「プレミアム」に加入することで、録音時間や機能の拡張が可能となる。

Zenchord 1は、耳をふさがないオープンイヤー型イヤフォンで、音響ブランドZenchordとの共同開発によるもの。イヤフォンとケースの両方にマイクを搭載し、それぞれ単体でも録音が可能。録音内容はNotta Memoと同様に自動で連携される。

アーバングレーとクラシックホワイトの2色展開
Type-C規格で充電する

なぜハードウェアを開発したのか?

最高執行責任者(COO)の田村 清人氏によると、Nottaが取り扱う音声データのうち約8割がオフラインでの会話であったことが、ハードウェア開発の大きな動機となったという。Wi-Fiが届かない現場や、記者会見、対面の商談といった環境では、スマートフォンやPCでは対応が難しく、ICレコーダーで録音し、後からNottaアプリにアップロードする運用が一般的だったという。

このように分断されたワークフローでは、音声から議事録やナレッジを自動的に構造化するというNottaの価値を十分に発揮できない。そこで、田村氏は「音声を起点に、議事録やナレッジの自動化、構造化を進めるための入り口としてハードウェアが必要と判断した」と語る。

発表されたハードウェアは、録音からデータの転送、文字起こしまでを一貫してサポートする端末で、現場での即時録音や後処理の簡素化を可能にする。

Nottaは発表に合わせ、シリーズA+ラウンドで総額9.9億円の資金調達を実施。業界特化型のAIエージェントのリリース・開発、ハードウェアと連携したAIエコシステムの構築などを進め、2027年までに年間MRR(月次経常収益)を現在の4倍規模に成長させることを目標としている。

左から、CEOのRyan Zhang氏、COOの田村 清人氏。