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文字起こしのNotta、音声やデータからAIが資料作成する「Notta Brain」
2025年12月9日 16:32
AI議事録サービス「Notta」は、音声データと外部情報を統合して自動で資料作成を行なう新機能「Notta Brain」を、26年1月に提供開始する。
Nottaは、音声の録音・文字起こしのうえ、AI要約・会話検索・連携などが自動でできるAI文字起こし・議事録サービス。スマホアプリやWebブラウザ、Apple Watch、専用デバイスなどから利用可能で、データは一元管理できる。58言語に対応し、翻訳も可能。月額料金は個人向けのプレミアムが1,980円~、企業向けのビジネスが4,180円~など。1回につき3分まで文字起こしできる無料プランも用意される。
新たに提供する「Notta Brain」は、文字起こしの要約からさらに機能を進化させ、文脈を補填してデータ解析から資料作成までを自動で行なう。
Nottaに蓄積された議事録データや、外部から取り込んだ音声ファイル、PDF資料、インターネット上の公開情報などを横断的に掛け合わせられ、解析結果はテキストとパワーポイント形式で自動生成。
要約ツールではなく、会議での論点を統合的に扱い、他の会議での議決内容との照合も自動ででき、企業全体でのスムーズなコミュニケーションを可能とする。
26年1月の機能開始時点ではWebブラウザからの利用のみで、スマホアプリへの対応は未定。有料会員向けのサービスとなり、料金は検討段階としている。
Notta COO 田村 清人氏は、Notta Brainの開発経緯について以下のように説明。
「Nottaのヘビーユーザーの多くは、あらゆる音声をNottaに集め、文字起こし・要約を利用し、そこからChatGPTやGeminiなどの外部ツールを使って解析や資料作成、複雑なプロンプトによる作業などを行なっています。1つの情報源としてNottaが使われているのが現状ですが、Nottaはその情報源の文字起こし・要約を行なっていて会話の文脈を把握しているので、より状況に適した解析・資料作成がNottaでできるのではと考え、Notta Brainを開発しました」
デモンストレーションでは、建設会社の複数の議事録やファイルを読み込み、中途入社の新メンバー向けの資料作成を行なった。自動生成された資料では、プロジェクトの概要から要点となる会議中の発言、社内特有の知識まで網羅しているほか、音声から発話者を聞き分け、プロジェクトメンバーの名前とポジションまでも表記されていた。
「プロジェクトに新たに参加するメンバーが過去の背景や意思決定の文脈を把握するのに、誰かが自力で資料を作成するといった方法もありますが、Notta Brainならそれが数分で完成します」と田村氏は話す。
Nottaの売上70%は日本
Nottaのユーザー数は現在、国内が300万人、グローバルを含めた合計が1,500万人を突破。グローバルユーザーが圧倒的に多い状況だが無料ユーザーも多く、Nottaの売上は70%が日本国内で、特に法人会員が多くを占めている。
導入企業には、アサヒ飲料、オムロン、オープンハウス・アーキテクト、JR東日本などが名を連ね、多種多様な業界で利用が進んでいる。
オープンハウス・アーキテクトの導入事例では、これまで建設業界特有の議事録文化により手作業の文字起こしなどに時間を割いていたが、Notta導入後は議事録作成時間が月18時間から4.5時間に削減されたほか、会議中のメモ負担がなくなり議論に集中できるといった効果が確認できたという。
国内企業の利用が多いことから、Notta Brainの強みについて田村氏は以下のように語った。
「要約やテキストの解析、資料作成において求められるものというのは、国によって微妙に異なります。現在はさまざまなAIサービスがありますが、Nottaは日本国内の企業のニーズにチューニングしているため、グローバルのAI企業よりも国内ユーザーの求める資料作成を実現できると考えています。Nottaのグローバルユーザーはアメリカ、ヨーロッパが多く、もちろんそれらのユーザーにも向き合って今後も開発を進めていきます」
23億円の資金調達
Notta Brainの発表にあわせ、同社は23億円(1,500万米ドル)の資金調達を実施。シンガポールのGranite-Integral Capitalをリード投資家とし、今後は人材採用や企業ユーザー向けの支援体制の強化などを図っていく。
また、6月に発売した専用デバイス「Notta Memo」に次ぐ新製品の開発、今回発表したNotta Brainをはじめとしたソフトウェア開発も加速を進めていくという。











