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渋谷駅再開発が最終章に 東西南北へ自由に歩ける

東急、JR東日本、東京メトロが推進する渋谷駅街区計画が最終段階に入る。5月に渋谷スクランブルスクエアの第II期(中央棟・西棟)工事が着工され、2030年度には渋谷の東西南北が地上・デッキ階でつながる一大歩行者ネットワークが誕生する。

計画の最終章と位置づける工事がスタート。2030年度~2034年度は「まちびらき最終章」として、段階的に設備や施設がオープンする。

東西自由通路や歩行者デッキ

2030年度には、渋谷駅や東西南北を地上およびデッキ階で結ぶ、多層の歩行者ネットワークが誕生する。渋谷駅とその周辺のアクセス性が飛躍的に向上するという。JR渋谷駅は、改札およびコンコースの整備が概ね完了し、駅の東西を結ぶ、最大幅員20m超という自由通路も整備される。

具体的には、JR線や銀座線のコンコースの概成に併せて、銀座線渋谷駅の直上や、第II期工事の渋谷スクランブルスクエア西棟の西側に約3,000m2の歩行者デッキを整備。渋谷駅を中心に東西南北につながる、2~4階の歩行者ネットワークが完成する。

スクランブル交差点方面からの視点
宮益坂交差点方面からの視点

地上レベルでは、JRハチ公改札前に最大幅22m、JR南改札前に最大幅23mの、東西を結ぶ自由通路が整備される。これにより東側の宮益坂方面、西側の道玄坂方面へのアクセス性が大きく向上。渋谷駅の課題だった混雑を緩和し、快適で分かりやすい歩行環境を目指す。

歩行者デッキや自由通路の整備により、渋谷スクランブルスクエアを中心として「デッキ上からの渋谷のダイナミックな街並みを楽しみながら」、宮益坂上と道玄坂上をスムーズに移動できるようになるとしている。

3階改札前コンコースのイメージ
自由通路のイメージ

2031年度には、渋谷スクランブルスクエア第II期(中央棟・西棟)が完成する。商業フロアは、完成済みの第I期(東棟)と併せて、1フロアあたりの売場面積が最大約6,000m2の、首都圏最大級の商業施設になる。

中央棟の10階屋上には、各国大使館などと連携したグローバルな文化交流体験を提供する施設が整備される。ここでは、渋谷スクランブル交差点など世界でも有名な景色と新宿方面の街並みの両方を見渡せる「唯一無二の体験ができる空間」を提供するとしている。

渋谷スクランブルスクエアの中央棟・西棟完成後、2033年度には、中央棟4階とハチ公広場をつなぐ歩行者ネットワーク向上のための縦軸移動空間「アーバン・コア」が完成する。アーバン・コアは、エレベーターやエスカレーターで上下の移動をサポートする空間。

2034年度までには、渋谷駅直近に5つの広場も誕生する。「ハチ公広場」「東口地上広場」「中央棟4階広場(JR線路上空)(仮称)」「西口3階上空施設(仮称)」「中央棟10階広場(仮称)」の5つで、計約20,000m2が整備される。広場は非常時の一時避難場所としての機能も備える。これら広場の完成で、計画の全体が完成する。

100年に一度の大規模再開発と謳う「渋谷駅街区計画」ではこれまで、渋谷スクランブルスクエア開発、渋谷駅改良、ハチ公広場や東口広場といった広場整備などが、同時並行で進められてきた。2019年には渋谷スクランブルスクエア第I期(東棟)が開業している。

なお、来街者ニーズや機能、安全性などを考慮して施工計画が見直されており、渋谷スクランブルスクエア第II期工事の完成時期は、当初の2027年度から2030年度へと変更されている。そのほかの駅機能や都市基盤施設が段階的に完成・開業を迎える時期も2030年度~2034年度になっている。

渋谷スクランブルスクエア第II期の階数は、中央棟が約61mで地上10階・地下2階、西棟が約76mで地上13階・地下4階。開業済みの東棟は約230mで地上47階。