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東京で自動運転タクシー実現へ Waymoと日本交通、GOが車両テスト開始

Waymoの自動運転試験車両が日本に

タクシーアプリの「GO」と米Alphabet傘下のWaymo、日本交通は、東京で自動運転タクシーのテストを開始する。

今後、トレーニングを受けた日本交通の乗務員の“手動運転”により、東京都心の7つの区でWaymo車両の走行を開始する。Waymoは、米国でサンフランシスコやロサンゼルス、フェニックス、オースティンなどで自動運転タクシーを展開しているが、今回のテストの目的は、日本交通のドライバーの走行により道路データ等を収集、活用し、Waymoの自動運転技術を日本向けに適応させていくことにある。第一弾として導入されるWaymoの車両は25台。

10日にはWaymo車両を日本で初公開し、GO、Waymo、日本交通と、JR東日本らが協力して、推進してくことを表明した。

今回のテストはドライバーによる運転で東京の道路を学習するためのもの。Waymoの自動運転技術「Waymo Driver」は、カメラやLiDAR、レーダー、AI計算プラットフォームなどを活用し、周囲360度の世界を3Dで描写して、夜間や雨天などの環境下でも最大300m程度の距離を確認。Waymoのソフトウェアが周囲の状況を理解し、予測、次に取るべき行動を判断して自動運転を実現する。

カメラやLiiDAR、センサーなどを多数搭載する

このための基盤となる地図やデータの取得が、今回のテストの目的。そのため、現時点では日本における自動運転タクシーの実現時期は「未定」としている。今回のテストにより、Waymoは日本での自動運転技術運用に向けた導入と検証を行ない、日本交通はWaymo車両の整備と運用を担う。GOはプロジェクトの推進と社会受容性の向上をサポートする。

テストでは、米国で訓練した日本交通のドライバーが手動で運転して、東京都内の港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区の7区を走行。データを取得する。テスト車両は米国で運用しているジャガー製のものでミラーなど日本の交通法規などに準拠したかたちで、導入する。

米国との違いとして、交通ルールや標識など日本ならではのルール対応が必要になることから慎重に対応を進めていくという。

TAKANAWA GATEWAY CITYでテスト走行(ドライバーが運転)

日本のための自動運転 テストで交通事情を学習

日本交通/GOの川鍋 一朗会長は、2024年の8月に米国フェニックスでWaymoに乗車。「その道のプロとしてあら探ししながら、3回乗ったが問題は見つからなかった」という。「これは日本のため、少子高齢化対応、移動の足の確保に役立つと思った」と説明。規制当局などと連携しながら、安全を重視して自動運転タクシーの日本導入を進めるとした。

Waymoシニアディレクター 事業開発部門・パートナーシップ部門責任者 ニコール・ガベル氏は、Waymoとして初の海外展開になると説明。日本用に運用プロセスなどを構築しているが、「まだ課題や学ぶことがある」として、日本交通やGOとのパートナシップにより、日本の交通事情を学習していく姿勢を示した。

左からGO中島宏社長、日本交通若林泰治社長、 Waymo ニコール・ガベル氏、日本交通/GO川鍋 一朗会長、JR東日本喜㔟 陽一社長

日本交通の若林泰治社長は、「今回は日本交通に所属するドライバーが、米国でみっちりと訓練をうけたうえでテスト走行を担当する。日本交通には長年にわたる運行管理ノウハウがあり、これを世界最先端の自動運転技術と融合さえることで、より安全安心に利用可能なタクシーサービスを提供したい。将来の労働人口減少という社会課題に対応するため、タクシー会社がこの取り組みに参加することはとても意義がある」とコメント。

現在、タクシードライバーは、新規採用と退職者により、年間5~10%程度の人員入れ替えがあるという。完全自動運転を導入する際には、新規採用分を自動運転車両で置き換えていくことになるため、人間のタクシードライバーとは競合しないとしたほか、長期的には無人タクシーと有人タクシーは共存していくことを想定しているという。

来賓として挨拶した、JR東日本の喜勢陽一社長は、「昨年の夏、ロサンゼルスでWaymoの試乗をしたが、最初のうちこそ運転席に人がいない、ということに違和感を覚えたが、直ぐに慣れ、その技術力の高さに驚かされた。その頃から、いつの日か日本で走る姿を見てみたいと思っていたが、これほど早く実現するとは思わなかった」とコメント。

記者会見は3月27日にまちびらきが行なわれたばかりの「TAKANAWA GATEWAY CITY」で行なわれたが、喜勢社長は「この地は今から150年前となる1875年に日本で初めて鉄道が走った場所。日本のモビリティのイノベーションが始まった場所でもある。同じ場所から新たに日本のモビリティのイノベーションが始まり、28年にはこの地から空飛ぶクルマの発着も行なう予定になっている。今後も日本の交通の課題を一緒に解決していきたい」とした。

発表会はTAKANAWA GATEWAY CITYで行なわれた