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メルカリ、台湾進出 日本の商品を買える「美露可利」
2024年8月29日 15:17
メルカリは8月29日から台湾に進出する。グローバル戦略の一環として「越境取引」を通じて台湾で事業展開するもので、台湾在住者は、「メルカリ」に会員登録し、Web版「メルカリ」を通じて日本で出品された商品を購入可能になる。現地でのサービス名称「美露可利」(読み方はメルカリ)。
台湾進出は、越境取引の仕組みを活用。台湾のユーザーは、日本のメルカリに出品された商品で越境対応の商品を自由に購入できるようになる。
台湾では、3人に1人は訪日経験があり、日本の商品が受け入れられやすい市場のため、越境取引を通じた海外進出の第1弾として参入を決定。現在のメルカリの越境取引で台湾は取引金額・取引件数ともに中国に次ぐ2位となっており、すでに越境取引が活発な市場となっている。
今回、WebのUIが繁体字中国語したほか、価格表示も台湾ドルにデフォルト設定するなど、台湾ユーザーの使いやすさに配慮。「日本のメルカリの商品をすぐに購入できる」という特徴を、台湾で実現していく。
メルカリでは、これまでも提携事業者を通じて台湾における越境取引を実現していた。ただし、ユーザーが越境EC事業者のプラットフォームを通じて、“間接的”にメルカリの商品を購入する仕組みだった。今回の参入では、日本のメルカリにユーザーが直接アクセスし、対象製品を探し、直接購入。提携事業者を通じて発送される仕組みとなり、台湾のユーザーが「メルカリで直接購入」できる。
手数料や配送時間は商品によって異なるが、手数料は500~1,500円、配送は1~2週間程度が多くなる見込み。
ただし、越境取引の仕組みを使うため、使えない機能も多い。例えば、台湾向けにアプリは用意されず、メルペイなどの金融サービスやコメントの機能は利用できない。また、「出品できない」点がもっとも大きな違いといえる。
一方、メルカリでは米国(USメルカリ)のように、現地法人を立ち上げて独自にサービスを展開する地域もある。今回の“台湾進出”はそれとは異なり、配送などで提携事業者の協力を得ながら、日本のメルカリが現地に進出する、という形を取る。
越境取引での台湾進出について、メルカリ 執行役員 General Manager Cross Borderの迫 俊亮氏は、「購入のニーズが高いことはわかっているので、そこをやっていく。また進出によりお客様の声をより聞きやすくなる。現地の意見を把握しながら出品対応も検討していく」と説明した。
日本のユーザー(出品者)としては、特別な対応は必要なく、台湾からの購入者とのコミュニケーションは発生しない。なお、輸出が禁じられているものや大きさなどによって、台湾から購入できないものもある。メルカリでは、台湾を皮切りに様々な国や地域に越境取引を拡大していく。
USED IN JAPANに支持 越境で成長するメルカリ
メルカリでは、2019年から越境取引を開始し、2023年には店舗によるメルカリ出店「メルカリshops」でも越境対応。越境取引の規模は大きく伸びており、2024年6月度の越境取引のGMV(総流通額)は前年比3.5倍に成長。累計の越境取引は1,700万件を突破した。
世界的にも越境ECの規模は拡大しており、2030年には7.9兆ドル、2021年との比較で約10倍の成長が見込まれる(経産省調査)。その中でもメルカリの越境取引は、ドラマやアニメなどグッズ販売などが大きく伸びており、動画配信サービスの世界的な普及により日本のIP(知的財産)を使った「COOL JAPAN」商品が人気を集めているという。
ジャンルとしては「エンタメ・ホビー」を中心に推し活グッズが人気で、ピンズ・バッジや、CD(K-POP/アジア)、アイドルグッズ、アクリルスタンド、アニメ関連のフィギュアなどが取引上位となっている。
またブランド品も人気で、日本市場のブランド品は「USED IN JAPAN」として品質への信頼も高いという。人気取引ブランドは、LOUIS VUITTONやBURBERRY BLUE LABEL、COACH、GUCCIなど。日本の中古カメラも信頼されており、取引が活発化している。
今回、台湾進出することで、提携事業者のサービスを使わずに、一貫性ある「メルカリ体験」を提供。次いで、グローバルな顧客基盤拡大を目指す。
台湾が第1弾となったのは、すでに越境取引の実績が高いだけでなく、リユース品への抵抗が少ない点も参入理由という。また、日本では「売る時に備えて箱や付属品を取っておく」という人も多いが、「これは世界的には一般的ではない。日本ならではの特徴」という。こうした“文化”がUSED IN JAPANとしての信頼につながっているとする。
台湾への拡大による日本のユーザーのメリットとしては、「買い手が増える」ことで出品した商品が売りやすくなる。また、将来的にはメルカリShopsでの対応も予定。事業者がメルカリShopsを通じて、海外へ販路を拡大できる。
まずは台湾ユーザーの購入からスタートするが、今後は日本のユーザーが海外の商品の購入できる体験も強化する方針。
メルカリでは、韓国の大手フリマ「雷市場(ポンジャン)」と連携した実証実験を開始しており、雷市場の「メルカリ」タブから韓国のユーザーがメルカリの商品を購入できるほか、日本のユーザーは「メルカリ」から「雷市場」の商品が購入できる。こうした事例を増やしながら、越境取引の拡大を目指し、「CtoC取引の国境をなくす」とする。
越境ECとしては、安価に新品を販売する「TEMU」や「SHEIN」なども存在する。メルカリ迫氏は、「海外でのEC購入があたりまえにというトレンドは影響がある。ただ、“すごい安い”が価値ではなく、メルカリでは“お宝探し、買い物の楽しさ”などを重視している」と違いを説明した。
メルカリでは、台湾を皮切りに対象地域・国を拡大していくが、エリア選定については、「越境取引ですでに取引規模が大きい国や地域、インバウンド人気の高い地域、ゲーム、アニメが人気の地域など。アジアだけでなく世界中に候補がある」と説明。出品についても、日本・アメリカ以外での対応を中長期的に視野に入れて開発し、「グローバルマーケットプレイスを目指す」とした。