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ドイツ腕時計「ジン」 オイル充填ウォッチなど今夏モデルをチェック

質実剛健なドイツの腕時計ブランド「Sinn」(ジン)から、2024年に展開する主要モデルが2月に発表された。また5月13日にはナビゲーション・クロノグラフの新作も発表されている。

本稿では、初夏の発売を控えているこれら最新モデルのほか、既存の定番モデルや注目モデルについて、実機写真を中心に紹介していく。詳細な仕様などは、ジンの製品情報Webページを参照していただきたい。

手巻きクロノグラフ「103.St.Ty.Hd」

103.St.Ty.Hd

2024年モデルとしてまずラインナップされたのは、クラシックな手巻きのクロノグラフ「103.St.Ty.Hd」(66万円、世界1,000本限定)。外観は、オリジナルが数本しか現存していないという貴重なモデルのデザインを復刻させたものになる。

アクリル風防やステンレススチール製の裏蓋、手巻きムーブメントの採用など、ジンを代表する103シリーズをクラシックな仕様で仕上げている。クロノグラフながら20気圧防水に対応、パワーリザーブは58時間以上と、日常でも使いやすい仕様を備えている。ケース径は41mm、厚さは14.8mm。

風防はアクリル製。硬度は劣るがクラシックな仕様で、ガラスのように冷たくなく、柔らかな雰囲気が特徴
裏蓋はステンレススチール製

41mmになった5000m防水のオイル充填ウォッチ「U50ハイドロ」

ダイバーズウォッチの新作

新作のダイバーズウォッチとしてラインナップされるのは、「U50.HYDRO.S」「U50.HYDRO.SDR」「U50.HYDRO」の3機種。価格は596,200円~で、世界500本限定。新作はケース径が41mmと従来より小型化され、厚さは11.8mm。シンプルなデザインを継承しており、日常使いもしやすいモデルに仕上がっている。

U50.HYDRO

「U50ハイドロ」は、ダイヤル部分を含め内部に特殊オイルを充填するというハイドロ・テクノロジーを採用し、ユニークで優れた視認性を備えるダイバーズウォッチ。ハイドロ・テクノロジーにより500気圧防水(水深5,000m)という非常に高い防水性能を備える。ケース素材として、ドイツの潜水艦にも採用される高い海水耐性を備えるUボート・スチールを採用する。

ハイドロ・テクノロジーではまた、針が動いているダイヤル部分を含めて特殊オイルが充填されているため、斜めからダイヤルを見ても、針やインデックスがガラスの表面に浮き上がって見え、時刻を確認できるのが、日常で使用する上で最大の特徴になる。この非常に高い視認性のほか、水中で鏡のようになる反射や曇りがないないなど、メリットは多岐にわたる。

オイルが充填されており、斜めから見ると針が表面に浮かび上がって見え、時刻を読み取れる

一方、内部をオイルで満たす液浸機構の都合上、ムーブメントはジンで一般的な機械式ではなく、電池駆動のクオーツ式を採用する。電池交換はドイツ本国でしか行なえず、ハイドロ・テクノロジーのメンテナンスを担当できる技士は一人しかいないとのことで、交換完了までには長い時間がかかる。もっとも、そうしたデメリットを理解した上でも、ユニークでほかにはない視認性や高い防水性能を誇るハイドロ・テクノロジーに魅了されるファンは多いという。

ハイドロ・テクノロジーを搭載したUXシリーズ、「UZ.GSG9」(EZM 2B)。ケース径は44mm

全面夜光ダイヤル「U50.S.L」

ダイバーズウォッチでは、ダイヤル全面が夜光の「ルミナス・ダイヤル」を備えた「U50.S.L」もラインナップされる。価格は803,000円~で、世界500本限定。

「ルミナス・ダイヤル」は、一般的な夜光塗料を塗布したものではなく、夜光塗料を硬化させたハイブリッド・セラミック部品として製作されており、広い面積と高濃度夜光塗料で、高い輝度と視認性を実現する。こちらもケース径は41mmと比較的コンパクトに仕上げられている。

U50.S.L

実用性も正統進化の計算尺クロノグラフ

903.St.HB、限定モデル

5月13日に発表されたばかりなのが、回転計算尺を備えるナビゲーション・クロノグラフ「903.St.II」シリーズ。価格は858,000円。3つのバリエーションのうちライトブルーのダイヤルは世界500本限定モデルとなる。ケース径は41mm。

「903」シリーズを再設計したもので、確かな手応えとともに無段階で回転する計算尺ベゼルを装備。クロノグラフのプッシュボタンや回転ベゼルを備えながら20気圧防水に対応するなど実用性も進化させているのが特徴。

903.St.B.E.II

外観上のハイライトは、バーインデックスなどの夜光塗料部分。上記の「U50.S.L」でも採用されている、ハイブリッド・セラミックとして成型された夜光塗料パーツを使用しており、立体的なバーインデックスは側面も含めてパーツ全体が光るという仕様。暗い場所でも、立体的に光るインデックスで高い視認性を確保する。

立体的なバーインデックスはパーツ全体が夜光塗料で発光する

定番人気は「556」シリーズ

ここからは、ジンのラインナップの中で人気の製品や注目製品を紹介していく。

販売面で最も人気のモデルは、ブラックのダイヤルを備えたシンプルな「556」シリーズとのこと。パイロット・ウォッチの流れをくむ、高コントラストで視認性に優れたデザインで、ジンの代表的な特徴を備えている。写真のステンレススチール製ブレスレットのモデルの価格は297,000円。

定番人気の556シリーズ

ドラマ・映画で人気「ミッションタイマー」シリーズ

ドラマや映画で使用するため依頼が多いというモデルが、特殊部隊や救護任務などに向けて開発された「EZM」(ミッションタイマー)シリーズ。ミニッツトラック(分目盛り)も大きく、視認性を高めた実用性重視のデザインになっている。写真の「603.EZM-3」は44万円、「EZM13.1」は748,000円。

「EZM」(ミッションタイマー)シリーズ。さまざまなモデルが存在

定番ミリタリークロノグラフ「103」シリーズ

ジンを語る上で外せないのが、ミリタリークロノグラフを起源とする「103」シリーズ。風防やベゼルを現代的な仕様にしたモデルのほかに、強化アクリル風防とアルミベゼルを採用してオリジナルに近い雰囲気を残す「103 B AUTO」もラインナップする。価格は517,000円~。

103 B SA AUTO
103 B AUTO。強化アクリル風防とアルミベゼルのモデル