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SLにバイオ燃料 東武鉄道が「大樹」で国内初

SL大樹

東武鉄道と東武商事は、「SL大樹」の燃料(石炭)の一部を、植物原料由来のバイオコークスに置き換える実証実験を、1月31日から約1年間実施する。SLにバイオ燃料を使用する取り組みは国内では初となる。

SLのボイラーの圧力維持と保護をするため常時石炭を燃焼させる保火作業において、燃料の40%をバイオコークスに置き換え、燃焼効率やボイラーへの影響など実用性を検証する。あわせて、DL大樹(ディーゼル機関車)の燃料(軽油)の約50%を、バイオディーゼル燃料混合軽油「B5」に置き換える。

DL大樹

効果として、年間150トン(一般家庭約50世帯分の年間CO2排出量に相当)以上のCO2排出量削減を見込む。

SL大樹は「鉄道産業文化遺産の保存と活用」と「地域の観光活力創出」を目的に、2017年8月10日に復活運転を開始し、約49万人が乗車している。現在は下今市駅-東武日光駅間、および下今市駅-鬼怒川温泉駅間で運行している。実験期間中は、検証を行なうSLのナンバープレートを緑色に、DLについては所属札を緑色に塗色して運行する。

ナンバープレートと所属札(イメージ)

現在運行している3両の蒸気機関車は、検査・修繕・工事を行なう日以外は常にボイラーを保火しており、'24年度は保火のために約160トンの石炭を使用する予定。今回、そのうち40%をバイオコークスに置き換え、燃焼効率、作業性、ボイラーへの影響について検証する。

SL大樹

現在運行している2両のディーゼル機関車では、'24年度は約40,000Lの軽油を使用する予定。そのうち1両のディーゼル機関車の燃料をバイオディーゼル燃料混合軽油「B5」に置き換え、燃焼効率、内燃機関への影響について検証する。

バイオコークスは、木くず、そばがら、樹皮、コーヒーかす等の植物由来の廃棄物を砕いて乾燥後、圧力をかけて体積を圧縮、加熱した上で円柱状に成形した燃料。B5は、廃食油由来のバイオディーゼル燃料を5%混合し、「揮発油等の品質の確保等に関する法律」で規定されている軽油の規格を満たした燃料。

バイオコークス

バイオコークスは滋賀バイオマスから、バイオディーゼル燃料混合軽油は三和エナジーから東武商事が調達する。

実験の結果を踏まえて本格運用を検討するほか、将来的には日光エリアでバイオ燃料バスを運行する東武バス日光が目指す「地産地消型のエネルギーサイクル」構築に向けた取り組みと連携しながら、バイオ燃料の使用比率を上昇させる試験を継続する。