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LINE証券、証券事業から撤退。野村に移管

LINE Financialと野村ホールディングス、LINE証券は、「LINE証券」の金融サービス事業の再編を発表した。LINE証券の証券事業は野村證券に移管され、既存ユーザーの証券口座の資産は野村證券に引き継がれる。LINE証券はFXを軸に事業を継続し、再編は2024年中の完了を予定する。

LINE証券は事業再編により、今後は外国為替証拠金取引(FX)の「LINE FX」を軸にサービスを展開する。

証券事業は会社分割の方法で野村證券に移管され、既存ユーザーの証券口座の資産は野村證券に引き継がれる。移管されるLINE証券の証券サービスは、「いちかぶ」「投資信託」「取引所取引」「信用取引」「つみたてNISA」。法令に従った信託保全などの分別管理がされており、移管にあたって資産に影響はないとしている。

いちかぶ取引・現物取引は、7月中旬頃に買付を終了し、売却は2024年中に終了予定。売却、もしくは他証券会社への移管(出庫)手続きを希望する場合、LINE証券での取扱終了までに手続きするよう求めている。

また、つみたて投信(課税)・つみたてNISA(非課税)の積立契約は2023年12月の買付(11月下旬お引き落とし)をもって終了。他の金融機関へ移管する場合は、取扱終了までに一般口座もしくは特定口座(課税口座)へ振替後、移管できる。

なお、2023年8月頃よりいちかぶ取引の売却時スプレッド、および取引所取引の売却時手数料を無料化する予定。

また、株式等、投信信託の他証券会社への移管(出庫)手続き手数料も無料化予定。いずれも決まり次第告知するとしている。

このほか「LINEのiDeCo」は新規受付を速やかに終了し、すでにユーザーが契約しているiDeCoは野村證券で管理される。「LINE CFD」は2023年8月以降に新規を停止、12月まで決済を行なった上で、2024年3月末までに口座閉鎖を実施する予定。

「LINE証券」は、「LINE」ユーザーの資産形成や潜在的なニーズに応えるという内容で2019年8月にスタート。“金融の民主化”を謳い、1株から購入できる株取引「いちかぶ」のほか、「LINE FX」「LINE CFD」、つみたてNISAなどさまざまなサービスを提供、2022年9月末で150万口座を突破していた。なかでもFX口座は2022年12月末時点で57万口座を超えるなど成長していたという。

口座数の上では成長していたものの、「LINE証券を取り巻く経営環境の変化や各事業の収益性の見通しを踏まえ、最適な経営資源の配分を検討した結果、本事業再編の合意に至りました」と、今後の成長を見越した判断だとしている。

野村ホールディングスは自社でのアプリ開発やWebサービスの充実など、デジタルサービスの強化を進めており、独自のデジタル戦略に経営資本を投下する方針になっていることも、今回の再編につながったとしている。

LINEは'19年10月にZホールディングスと経営統合。2023年度中にヤフーとLINE、ZHDの合併を予定しているなど、経営体制変更の最中にある。グループ内にはPayPayも抱えており、3月にはみずほ銀行と進めてきたLINE Bankの設立断念も発表している。

なお事業再編に関連した特設Webサイトが設けられ、ユーザー向けに案内が行なわれている。