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ホンダ、TSMCと戦略的協業 ビークルOSや新EVなど投入

ホンダは26日、電動化を含む企業改革に向けた取り組みについての説明会を開催。その中で、半導体の安定供給に向けたTSMCとの戦略的協業や、新型EVなどについて語られた。

世界的な半導体不足による生産遅延に対応するため、短期・中長期の両視点からの対策を実施。短期的な取り組みとしては、取引先との関係を強化し、部品のデュアルソース化や、代替品を開発することで対応している。

中長期的な取り組みとしては、リスクセンシングを強化しながら、台湾の半導体メーカー「TSMC」との戦略的協業をはじめ、半導体メーカーとの協力関係を構築。連携を強化することで半導体の安定調達を目指す。

EV・バッテリー事業を強化

EV事業としては、日本で2024年前半に「N-VAN」ベースの軽商用EVを発売。2025年には「N-ONE」ベースのEV、2026年にはSUVタイプを含む小型EV2機種を発売する。

EVのラインナップ拡充にあわせ、充電サービスも提供。家庭用充電については、北米で展開しているEV向け充電サービス「Honda Smart Charge」をベースとし、EVの電力供給能力を活用したエネルギー事業を順次展開予定。公共充電については、利便性・信頼性の高い充電ネットワークと連携し、充電サービスの利用環境を整備する。

バッテリー事業については、現在から当面の間は、地域ごとに液体リチウムイオン電池の外部パートナーシップを強化し、グローバルでのバッテリー必要量を安定的に調達する目途が立ちつつあるという。2020年代後半以降は、液体リチウムイオン電池の進化に加え、半固体電池・全固体電池などの次世代電池を開発・投入していく計画。GSユアサとの合弁会社で高容量・高出力なEV用液体リチウムイオン電池を開発するほか、2024年に全固体電池の実証ラインを立ち上げ、2020年代後半に投入するモデルへの採用を目指す。また、EV用バッテリー研究開発会社であるSESへ出資し、半固体電池(リチウム金属二次電池)を共同開発する。

車両販売後もアップデート可能なビークルOSを開発

ソフトウェアがハードウェアやサービスの価値を定義する「ソフトウェアデファインドモビリティ」の発想に基づき、ソフトウェアの開発を加速。

具体的には2025年に北米で投入する中大型EVからの採用を目指して、E&Eアーキテクチャーをさらに進化させ、独自のビークルOSの開発を進める。このビークルOSを基盤とし、車載ソフトウェアを常に進化させることで、車両販売後も機能やサービスを進化させていく。

車載OSや、AD・ADAS、コネクテッド領域における、ソフトウェアの独自開発に向け、従来の採用数を倍増させたうえで、高度ソフトウェア開発人材の採用をさらに強化。KPITテクノロジーズをはじめとした、ソフトウェア開発に強みをもつパートナーとの提携を加速し、ホンダの強みである制御技術や安全技術と、パートナーの強みであるソフトウェア開発力を組み合わせ、ソフトウェアがもたらす新たな価値の実現を目指す。

なお、UX・デジタルサービス領域においてはグローバルUXオフィサーを新たに設置し、デジタルエキスパートを積極的に採用することで、北米を中心に開発を強化していく。

また、新たな価値の創造に向け、知能化、バッテリー進化、水素活用、サステナブルマテリアルなど5つのキーファクターに関連するカーボンニュートラル技術を中心とした基礎研究領域に、年間1,000億円レベルの研究予算を安定的に確保し、研究を推進。年間100億円レベルの出資枠を用意し、スタートアップとのオープンイノベーションを積極的に展開していく。オープンイノベーション活動のグローバル本社機能として、ホンダ・イノベーションズ株式会社も設立している。