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給与口座振り分けのエニペイ、デジタルマネー支払いに対応 労基法改正

Payment Technologyは、4月の労働基準法施行規則改正による給与デジタル払い解禁にあわせ、給与口座振り分けシステム「エニペイ」を、毎月の給与をデジタルマネーを含む最大5口座に振り分けられるサービスに、4月にリニューアルする。

エニペイは、2020年に開始したサービス。従業員が指定した支払い先に自動で給与を振り分けられる。リニューアルは、2023年4月の労働基準法施行規則の改正によりデジタルマネーアカウントへの給与支払いが可能となり、25年振りに給与振り分け先が広がることから実施する。

新機能については4月から順次、デジタルマネーアカウントへの給与振り分け機能、「%」での振分け機能を実装する。

給与振り分けは、au PAY、LINE Payなどに代表される資金移動業者の口座への給与振り分けが可能となる。ただし、4月1日以降、資金移動業者による厚生労働省に対する申請、厚生労働省による審査、給与デジタル払いの対象と指定するかどうかの書面での通知を経て、指定を受けた資金移動業者の決済アプリ・電子マネーだけが対象となる。そのため、au PAY、LINE Payを例として挙げているが、現状では振り分けの対象となることは確定していない。

振り分けの指定については、例えばこれまでは「50,000円を任意の口座で、残りは銀行口座へ」と「円」で指定する形だったが、機能実装後は従業員が指定した「%」ずつ振り分けられる。これにより、給与が変わるたびに指定する金額を変更するといった手間がなくなる。

そのほか、UIをシンプルにして、口座追加の操作やテンプレートの登録をより使いやすくしている。

デジタル給与払いを活用したい人は7割以上

Payment Technologyは法改正に先駆け、1月に「従業員のデジタル給与払い(デジタルマネーアカウントへの給与支払い)に対する意識調査」を実施。デジタル給与払いの活用について、「積極的に活用する予定」「活用したいと考えている」の回答が合わせて7割を超えていることから、多くの従業員がデジタルマネーアカウントでの給与の受け取りを望んでいるとする。

同時に、全額をデジタルマネーで受け取りたいというニーズは少なく、給与の振り分けを希望する声が多いという。

一方で、勤め先における給与のデジタル化の推進状況については、具体的なアクションを取れていない企業が多いことが分かる調査結果となった。また、企業が給与デジタル払いを導入するには、振込データ作成やシステム改修といった手間やコストが課題とある。

こういった課題に対しエニペイでは、企業側の手間を増加させることなく、従業員の新たなニーズに応えるとしている。

企業に対する月額利用料金は従業員数に応じた形で、最低1万円から、最高でも20万円程度だという。その他のコストとなる振込手数料については、従来の銀行口座への振込分は企業側の負担、その他の口座は自己都合となるため従業員側の負担となる。

Payment Technologyはエニペイリニューアルに合わせ、給与DX推進アクション「給与口座の多様化で日本を元気に」プロジェクトを始動。証券総合口座での給与受け取りによる「貯蓄から投資へ」、地方銀行へのお金の動きを生み出す「地方創生」、デジタル給与解禁による「キャッシュレス決済の推進」への貢献を目指す。

プロジェクトには、証券会社からはSMBC日興証券、SBI証券、野村證券、事業会社からはBOD、Branding Engineer、ベアーズ、ベクトル、リネットジャパングループが賛同しており、今後地方銀行、資金移動業者の賛同企業の発表および募集を開始する。