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棚を運ぶ・片付ける。新しい家庭用ロボット「カチャカ」登場

Preferred Roboticsの家庭用自律移動ロボット「カチャカ」。左はPreferred Robotics 代表取締役CEOの礒部 達氏

Preferred Robotics(プリファードロボティクス)は、専用のキャスター付きシェルフを自動運転で運んでくる家庭用ロボット「カチャカ」を発表した。2月1日から先行予約を開始しており、出荷および一般発売は5月を予定する。

本体価格は一括で228,000円、48回払いが月額4,980円。組み合わせて使う専用のキャスター付きシェルフは3段が29,800円、2段が23,800円で、それぞれ48回払いも可能。これとは別にカチャカのサービス利用料として月額980円がかかる。

先行予約は公式サイトに加えて、実店舗では「b8ta」(ベータ)の4店舗や「蔦屋家電+」でも展示とともに開始している。

カチャカと専用シェルフ
価格
実店舗でもデモや予約

棚を持ってきて、片付けてくれる新提案の家庭用ロボット

自律移動ロボット「カチャカ」は、キャスター付きの専用シェルフ(ワゴン)の下に潜り込んでドッキングし、目的の場所に移動させたり、元の位置に戻したりできるという家具移動用のロボット。同社は“スマートファニチャー”と謳う。ロボットは1台でも専用シェルフは仕事用、食器など、複数を使い分けることができる。

音声認識に対応、声による指示が可能なほか、スマートフォンアプリで支持が可能。スケジュールを組んでおくタイマー機能もあり、習慣化している家事や作業のサポートもできる。

技術的には、自己位置推定とマッピング(SLAM)、ナビゲーション、画像認識、音声認識、ハードウェア設計を高度に融合し、細かな物の配置が変わるなど状況の変化が大きい家庭内でも、柔軟な自律移動ができるのが特徴とする。

これらの技術開発は、同社の母体であるPreferred Networksの技術や計算基盤により短期的な開発が可能になり、内容も磨かれているという。

なお、基本的にはバリアフリー対応住宅向けとなる。高度な認識力によりケーブルや厚みのある絨毯を識別でき、これらを避けて移動するナビゲーション性能を備えている。

発売時点で、家庭の外から遠隔操作できるといった機能は用意されない。他社クラウドサービスやデータセンターの利用は、ファームウェアアップデートの配信など限定的な利用にとどまる。「カチャカ」が認識・分析するデータはすべてロボット内部で完結する形で処理される。

カチャカ本体
カチャカ側面
専用シェルフ
下に潜り込んでドッキング
移動中の様子

「使う人の創意工夫で、どこまでも便利になる」

Preferred Robotics 代表取締役CEOの礒部 達氏は、カチャカを5年をかけて開発してきたと説明。同氏は「家具は一度設置すると動かさず、役割が固定され、部屋の使い方も固定される。家の中では、家具に合わせて人が動いている。ではもし家具が動いたら? 住環境ははるかに自由で直感的なものになる」とカチャカの背景にあるコンセプトを解説する。

「カチャカは全く新しいコンセプトのスマートファニチャー。アイデア次第で使い方は無限に広がる。家庭には、少し移動させる、片付けるといった“名もなき家事”がたくさんあり、こういう少しの家事もサポートできる。普段は邪魔にならない場所に置いておき、使う時だけ収納場所が自動でやってくるので、生活空間が圧迫されない。使う人の創意工夫でどこまでも便利になる」(礒部氏)

音声やアプリで指示をすると、目的の棚とドッキング、移動する

Preferred Networks 代表取締役最高経営責任者の西川 徹氏は、既存のコンピューターはどこまで高度になっても、現実世界でアクションが行なえないという問題があったとし、アクションできるコンピューターであるロボットが「コンピューターにさらなる価値を与える」と語る。パーソナルロボットの開発に強くこだわってきた背景には、より生活を豊かにできるという想いがあるとし、「カチャカのリリースは非常に重要な一歩」(西川氏)と位置づけている。

また西川氏は、Preferred Networksが得意とする深層学習の発展が大きく影響しているとも指摘する。さまざまに変化する家庭の環境に柔軟に対応できるというカチャカの特徴は、深層学習の発展によってプログラミングのパラダイムが変わり、(その時の状況に応じて)最適なルールを自分で見つけ出すといった技術により実現できたという。

Preferred Networks 代表取締役最高経営責任者の西川 徹氏
動けるコンピューターであるロボットは、今後もさまざまな場面で活躍できるという
カチャカのデザインを担当したTakram Japanの田川欣哉氏(左)、GEN SUZUKI STUDIOの鈴木 元氏(右)
専用シェルフの側面に取り付けられるカバーパネル

販売目標などは明らかにされていないが、礒部氏は「中長期的な視点で、しっかりと市場を作っていく活動をしていく」とコメントしている。