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ソニーはメタバースとモビリティで成長する。新経営方針

ソニーグループは18日、2022年度経営方針説明会を開催し、メタバース、モビリティを中心とした“感動空間”での新エンタテインメント創出を目指す方針を発表。ソニー 会長 兼 社長 CEOの吉田憲一郎氏は「メタバースとモビリティ」での成長をアピールした。

エンタテインメントで成長するソニー。10億人と“つながる”

ソニーでは、人を軸とした3つの事業領域を設定しているが、その中でも特に.「人の心を動かす」エンタテインメント3事業について強調して紹介した。

  • 「人の心を動かす」事業:ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)、音楽、映画
  • 「人と人を繋ぐ」事業:エンタテインメント・テクノロジー&サービス、イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)
  • 「人を支える」事業:メディカル、金融
エンタテインメント3事業

クリエイティビティ、テクノロジー、コミュニティを軸に事業強化を図るソニーだが、エンタテインメント3事業(ゲーム、音楽、映画)で最も規模の大きい事業が「ゲーム」となる。

PS4は1億1,700万台以上、PS5は累計1,900万台以上を販売しているが、長期的成長を担っているのがPlayStation Networkなどの「サービス」となる。2021年の売上高は1兆8,338億円で、2017年比で8,000億円以上の成長を見せており、月間アクティブユーザーも1億を超えている。

こうした消費者とつながるDTC(Direct-to-Consumer)の成長を軸に据えていく方針で、PSN強化のため、サブスクリプションサービスのPlayStation Plusを6月中に大幅にリニューアル。長期的には、「ソニーグループと直接つながる人を10億人に広げる」という目標を掲げている。

10億人とつながる

ゲームタイトルにおいては、サードパーティスタジオの関係強化とともに、自社スタジオでも多くの買収や出資を実行。また、今後のゲーム強化の施策として「ライブサービス」の強化を予定しており、ライブのマルチプラットフォーム展開に向け、Bungie(バンジー)の買収を決定している。

音楽については、The Orchard を通じてインディーズレーベル所属アーティストをサポートするほか、配信パートナーを拡大。継続的なヒット創出を目指す。

映画事業も音楽と同様に、クリエイターを支え、コンテンツIPを創出。テレビ番組制作に関して、ドラマ制作スタジオなど複数の買収を実行した。また、ゲームのアンチャーテッドの映画化など、ゲームタイトルのIPを活用した映画やテレビ番組展開なども強化していく。

ゲームから映画化された「アンチャーテッド」などIPの垣根がなくなってきている

映画やドラマの配信パートナー経由での配信に加え、アニメでは、自社プラットフォームである「Crunchyroll」などでDTCサービス対応を強化していく。

メタバースの本質はライブ。モビリティで成長

吉田社長が今後の成長を担う領域として強調したのが「メタバース」と「モビリティ」。

メタバースについては、ソニーの多様な事業と核となるゲーム技術を組み合わせ、新しいエンタテインメント体験を創出。モビリティにおいては、移動空間を新しいエンタテインメント空間に変えていく。

吉田社長は、メタバースで重視する要素「ライブ」について説明。「エンタテインメントの本質は、時間と空間をつなぐライブ。それがメタバースで進化している。ライブ空間で人と人をつなぐの技術がリアルタイムを中心とする“ゲームレンダリング“だ。だから、ゲームと音楽、映画のそれぞれが交わるようになっている。フォートナイトでは、ゲームプレイだけでなく、時間と空間を共有するソーシャルの場になっている。それがアーティストの新たな表現な場となり、ゲームにとどまらないIPを創出している。メタバースは、ソーシャルの空間であるとともに、ゲーム、IP、音楽が交差するライブネットワーク空間だ」と語り、そこにソニーならではの強みがあるとする。

その強化のために、買収を決めた「Bungie(バンジー)」のライブサービスを活用し、継続的に進化するサービス創出を目指す。また、PlayStation Studioでも2025年度までに、ライブ対応タイトルを10タイトル以上を投入する計画。スポーツもライブエンターテイメントの一つで、マンチェスター・シティと協業しながら、スタジアムのバーチャル化などに取り組む。

また、「仮想空間に入り込むためのキーデバイス」として、開発中のPlayStation 5向けの次世代VRシステム「PlayStation VR2」を紹介。内蔵カメラを用いて、装着者の視線の動きを検出する機能を備え、「プレーヤーの視野を中心に、映像を高解像度で描写する技術を用いており、体験価値向上に繋がる」とアピールした。

さらに、現実空間の新たなエンタテインメントとして、人工衛星を使った新たなDTCサービスとして「スタースフィア」を紹介した。

モビリティについては、プロトタイプの「VISION-S」を開発したほか、「セーフティ」、「エンタテインメント」、「アダプタビリティ」の3つの領域でモビリティの進化に貢献すると説明。その一環としてホンダとの協議を進め、2025年のEVの販売を目指していく。

VISION-S

吉田社長は、「世界には10億台以上のクルマが存在するが、長期的にこれがネットワーク化される。サービスでアップデート可能になる。『買った後も進化するクルマになる』と語り、センサー技術などを活用した安全技術や車載エンタテインメント技術などのモビリティ進化への貢献をアピール。さらなる進化のためには「自社だけではできないことも有る」として、ホンダとのパートナーシップを紹介した。

ホンダとの提携で2025年のソニーEV発売を目指す