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レベル4解禁で“ゲームチェンジ” KDDIとJAL、ドローン自律飛行で協業

日本航空(JAL)とKDDIは、ドローンの運航管理の体制構築やビジネスモデルを共同検討する基本合意書を締結した。KDDIはまた、ドローンの遠隔自律飛行に必要なツールを揃えたサービスパッケージ「スマートドローンツールズ」の提供も開始している。

2022年度はドローンの遠隔・自律飛行の「レベル4」が解禁される予定で、これによる需要の拡大を見据えた両社の取り組み。KDDIとJALはすでにスマートドローン関連のさまざまな実証実験を行なっており、JALは安全性を高める運航体制の構築を、KDDIは運航管理システムの開発を行なってきた。

今回の合意により、これらの取り組みを強化。今後は、JALは安全性の向上や運航の効率化に、KDDIは空域利用ルールのシステム化などに取り組んでいく。ドローンを活用したい企業や自治体向けにビジネスモデルの検討も行ない、まずは2022年度の取り組みとして、離島地域において小型・大型ドローンで物品を輸送する取り組みを行なう予定。今後もさまざまなビジネスモデルを構築していく。

スマートドローンツールズ

KDDIはまた、ドローンのモバイル通信、運航管理システム、クラウドへのデータアップロードと解析など、ドローンの遠隔自律飛行に必要なツールを揃えた法人向けのサービスパッケージ「スマートドローンツールズ」の提供を開始している。ドローンを運用したことがない企業も利用できるようにしたもので、基本の「4G LTEパッケージ」では、ドローンで利用する4G LTEの定額の通信サービスに加えて、運航管理システムや100GBまでのクラウドサービスをセットにしているのが特徴。月額は49,800円。

スマートドローンツールズにドローンの機体は含まれていないが、オプションとしてラインナップされるほか、センサーや衛星通信などのオプションも用意される。

さらに期間限定・50社限定で「4G LTEパッケージ」を2022年12月まで無料で利用できる「トライアルキャンペーン」を2月15日から3月31日まで実施する。

ドローン専用の通信モジュール

このほかKDDIはドローン専用の通信モジュール「Corewing 01」も開発。耐ノイズ設計や電波ログ解析機能、運航管理システム連携機能を標準装備しているのが特徴で、9社11機種のドローンに組み込み予定となっている。

なおKDDIは、スピンオフベンチャーとしてスマートドローンの事業会社「KDDIスマートドローン株式会社」を4月1日に設立すると発表済み。上記スマートドローンツールズなどを含めて、4月1日からKDDIのドローン事業を継承し提供する。

2022年度はレベル4解禁で“ゲームチェンジ”

KDDIは、「2022年度はレベル4が解禁され、ゲームチェンジの年になる」(KDDI 執行役員 事業創造本部長の松田浩路氏)としており、法施行がドローンビジネスの起爆剤になり、特に農業、点検などの分野で発展、約5倍の市場になると見込む。

すでにスマートドローンに関する同社の実証実験は6年以上に及んでおり、ドローンが飛行する150mまでの上空を対象とした電波の管理の仕組みも構築している。「基礎固めが終わって、応用の段階」(KDDI松田氏)としており、今回の発表で、すでに共同で取り組んでいたJALとの安全な運航体制での協業を明確にした形。JALは安全運航の仕組みをサービスに持ち込むほか、関連した人材育成の取り組みもサポートしていく方針。