文具知新

刃がないペーパーカッター「ヨンブンカッツ」 裏紙をメモ帳に超速変換

ハサミにカッターナイフ、裁断機、レターオープナーなどなど、紙を切るための道具は数多あります。そして当然ですが、それぞれに得意なことと苦手なことがあります。曲線など自由な形に切り抜こうと思えばハサミやカッターナイフが必要ですが、よくよく考えてみれば「紙はただ真っ直ぐに切れさえすればいい」という場面って、意外と多くないですか?

そう、例えば印刷に失敗したコピー用紙を裏紙として再利用するために、4分割してメモ帳にしたい時とか。

そんな超ピンポイントなニーズに特化したペーパーカッターとして今回ご紹介したいのが、クツワの「ヨンブンカッツ」(880円)。その名の通り、A4サイズのコピー用紙を4分割にするためだけに最適化されたツールです。

ヨンブンカッツ

あっという間にコピー用紙を4分割してそのままメモ帳に

論より証拠。まずは実際にやってみましょう。使い方はいたってシンプルで、基本的には裏面のガイドに合わせて紙をセットし、紙の右上を持ってえいっ! と左ななめ下に向かって引く。この2ステップだけです。

紙をガイドに沿ってセットし、左ななめ下に向かって引く

ただのプラスチックの板に見えるけど? 本当に大丈夫? と疑う気持ちをグッとこらえて、思い切って勢い良く引くのがコツです。ビリビリビリビリ~と小気味良い音を響かせながら、あっという間に左下の部分が切り取られます。

左下が終わったら次は左上の部分、最後は右下の部分と、ガイドに合わせる場所を変えながらあと2回繰り返せば4分割の出来上がり。裏面のガイドはちょっと出っ張っているので、紙をピタッと所定の位置にセットできます。

セットする位置を変えながら3回繰り返す
ガイドは出っ張っているので紙をピタッとセットできる

あれ? 左下の次はどこだっけ? と分からなくなっても大丈夫。本体にガイドを合わせる順番が表示されていますので、迷ったらここを見れば解決します。

カットの順番は本体にも表示されているので迷わない

「ガイドに合わせてビリッと破る」を3回繰り返すだけで、数分もかからずに紙を4分割できました。そしてヨンブンカッツは用意のいいことに、上部に紙をはさむためのクリップがついています。切った紙をここにセットすれば、そのままメモ帳として使うことができるのです。

切った紙をはさめばそのままメモ帳に

仕上がりはそこそこ でも手軽さと快感はピカイチ

ヨンブンカッツはペーパーカッターを名乗りつつ実質的には切るというよりも破いているので、切り口はどうしてもちょっと毛羽立ちます。また、切った紙のサイズもめちゃくちゃ正確にそろっているとは言えません。

切断面はやや毛羽立っている

しかし、裏紙をメモ帳化するという用途を考えれば必要十分ですし、むしろ全然これでいいと思います。

何ものにも代え難いのは、やはりこれひとつで作業が完結する点です。例えばハサミならフリーハンドではここまで真っ直ぐ切れませんし、もっと時間もかかります。カッターナイフはちゃんと使えば仕上がりが美しいですが、そのためにはカッティング定規やカッターマットなどを別に準備する必要があります。またいずれの方法でも折るなり測るなりして切るための目印をつける必要もありますし、切った紙を束ねるにはステープラーやクリップも用意しなくてはなりません。

その点ヨンブンカッツなら、「測る・切る・束ねる」がこれ一つで完結するのです。なんという手軽さでしょう。

また便利なだけではありません。単純に、めちゃくちゃ気持ち良いのです。小さい子供が感触を楽しむためだけに紙をビリビリと破って遊んでいることがありますが、ヨンブンカッツを使うとそれと同じプリミティブな快感を味わうことができます。

しかもただ遊んでいるのではなく、「裏紙を再利用してメモ帳にしているのだ」という大義名分まで与えてくれるわけですから、大人でもその快感を堂々と楽しめるのです。あまりに気持ちよくて、使う分以上にメモ用紙をジャンジャン生産したくなってしまうほどです(大義名分はどこへ行った)。

刃がなくても気持ち良く紙が切れるヒミツ

それにしても、ヨンブンカッツは全体的にプラスチック製で、刃がついているわけでもありません。それなのになぜこんなにも気持ち良く紙が切れるのでしょう。

実はこの「刃を使わずに紙を切る」というのは、クツワのお家芸でもあるのです。おそらく前身となったのは、「紙がキレイに切れるアルミ定規」(30cmのタイプで660円)。2013年に発売されたロングセラーですが、ここで培われたのであろうノウハウがヨンブンカッツにも活かされているのです。

紙がキレイに切れるアルミ定規

ポイントの一つ目は、紙を切る側がななめ45度になっているところです。一般的な定規より鋭角にすることで切れ味が増し、切断面の毛羽立ちも抑えられています。もちろん、鋭いといっても刃物ほどではありませんので、指を切るようなこともなくお子様でも安心して使えます。

紙を切る端が45度になっている

もう一つのポイントは、紙を引く向きを示すガイドがついていることです。定規で紙を切る時、切断ラインからみて引く角度が右すぎても左すぎてもキレイには切れません。もちろん慣れればコツは分かりますが、ガイドのおかげで初めてでも失敗しにくくなっています。

ガイドに沿って引けばコツいらず

冒頭にも述べたように、紙は意外と「ざっくり直線で切れればそれでいい」という場面が多いのです。学生であればプリントをノートに貼ってもはみ出さないように大きさを調整したいとか、社会人ならコピーした宅配伝票から余白部分を落として荷物に貼りたいとか。そうした時、刃のない定規であれば安全かつ作業効率も高いので、私自身も会社員時代は重宝したものです。

そんな「紙がキレイに切れるアルミ定規」は2013年発売、「ヨンブンカッツ」は2024年発売ですので、およそ10年の歳月をかけて新たな地平にたどりついたとも言えます。定規を直角にくっつければ2辺同時に切れちゃうな? って気づいた人、天才すぎませんか。しかもそこにクリップをつければそのままメモ帳になるな? まで思いつくんですから、もはや天才・オブ・天才です。

捨てられない紙のコレクションにも

最後に、ヨンブンカッツのちょっと裏ワザ的な使い方を一つ。実はこれ、左下のガイドをきっちり合わせなくても、任意の場所で紙を切り抜くのにも使えます。

好きな位置に合わせてカット
紙を180度回転してもう一度カット
好きな部分を切り抜くことができた

透明なので切る場所を狙いやすいですし、かわいくて捨てられないけど全部とっておくのには場所を取る包装紙など、紙ものを切り抜いてコレクションしておく、なんて使い方もできますよ。

発売当初は人気すぎてちょっと品薄気味だったヨンブンカッツ、最近では安定して手に入りやすくなりましたので、「メモ用紙は裏紙派!」の方はぜひ一度お試しください。

ヨシムラマリ

ライター/イラストレーター。神奈川県横浜市出身。文房具マニア。子供の頃、身近な画材であった紙やペンをきっかけに文房具にハマる。元大手文具メーカー社員。著書に『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)。