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「空飛ぶクルマ」SkyDrive、東京で初デモフライト 見学自由で"チェックイン"体験も
2026年2月24日 17:21
三菱地所、兼松、SkyDriveの3社は、東京都が推進する「空飛ぶクルマを活用したサービスのビジネスモデル構築に関するプロジェクト」において、実運用を想定した飛行実証を開始した。2030年の市街地での空飛ぶクルマ商用運航の実現を見据え、実際の旅客利用を想定した「ターミナル」を設置し、チェックインから搭乗直前までの一連の旅客体験や運航オペレーションを検証するもので、日本初の取り組みだとしている。
期間は2月24日~28日までの5日間で、初回飛行の2月24日午前の回は、メディア向けに公開された。期間中、デモフライトと旅客ターミナル施設は誰でも自由に見学でき、予約は不要。
使用された機体はSkyDrive製の「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」。機体は東京ビッグサイト東棟屋外臨時駐車場の離着陸場から海面からの高度13mくらいまで浮上し、そのまま海上を約150m、約4m/sの速度でゆっくり飛行した。飛行時間は約3分30秒。
飛行機体だけではなく、今回は顔認証チェックイン等の最新技術を組み込んだターミナル機能や、自動制御・リモート操縦を想定した無人飛行を行ない、その運航情報を空域監視システムに取り込んで飛行経路を可視化するシステムが紹介された。
「ターミナル」も含めた一体運用は国内初
今回の実証では、機体への搭乗はない。あくまで旅客ターミナル運用、すなわち顔認証を使ったチェックインや保安検査、安全ビデオ視聴、搭乗ゲート等を備えた旅客ターミナルを一般モニターに公開し、体験を通じたフィードバックをサービス・運用改善に活かすことと、空域監視システムの検証等を通じた空飛ぶクルマ運用のデモと実務課題の抽出検証を目的としている。
チェックインから搭乗手前まで ターミナルでの一連の流れ
旅客ターミナル体験は一通りの流れとオペレーションシステムの紹介の2本建で行なわれた。まず旅客体験から。入り口から入った客は、空港のチェックインエリアに相当する場所でちょっとくつろいだりできる。デッキエリアも設けられている。
搭乗時間が迫ってくると、実際のチェックインに進む。チェックインは顔認証システムを使う。体重計も設置されており、認証と同時に体重も測って、機体のバランスを見る。ちなみに今回は使えないが、トイレも設置されていた。オフグリッドでも動くように水循環システムも設けられている。
チェックインが完了し、金属探知で保安検査をすませると、隣のエリアに入れるようになる。ここでは空飛ぶクルマと連携する他のモビリティの運行状況、近隣の交通状況なども提示されている。同時に離発着情報なども提示されている。安全ビデオの空飛ぶクルマバージョン映像なども表示される予定だという。
隣にはオペレーションルームが併設されている。Vertiport Automation Systemは離着陸場の空き状況管理や周辺空域の監視などの運航支援、地上設備を始めとしたリソースのデジタル管理、チェックインや顧客管理をシームレスに行なう顧客体験に必要な機材を配置することで、空飛ぶクルマの安全・安心な高頻度運航の実現を支援するシステム。
このシステムが国内で運用されるのは初めて。「『ミニ空港』のようなシステムだとイメージしてほしい」とのことだった。
誰でも手軽に乗れるモビリティ
会見では取組全体を統括する三菱地所 丸の内業務企画部 主事の土山浩平氏が三菱地所、兼松、SkyDrive3社のコンソーシアムについて紹介した。土山氏は「東京都内でのフライトは昨年度の『SusHi Tech Tokyo』でも行なったが、ターミナルも含めた一体運用は今回が国内で初めて。飛行機に空港、電車にとって駅が必要であるのと同様、社会実装においては旅客インフラが必須。飛行はもちろん、旅客体験や運行支援情報提供など最低限のインフラ全てを含めた一体運用ということで意義がある」と述べた。
ターミナルについては「このエリアは様々な使用制限がある。そこでトレーラーハウスとした」と紹介し、「動産を活用したターミナルで、土着しない。こうすることで法令上制限を乗り越え、費用や工期も短縮できた」と述べた。
兼松の中村康平氏は「我々は次世代のエアモビリティに5年以上前から注目している」と同社の取り組みを紹介。イギリスのスカイポート社と資本業務提携を2022年からしており、その運営ノウハウを日本にローカライズして今回導入した。
ポイントは3つあるという。1つ目は旅客管理。誰でも手軽に乗れるモビリティを目指すため、顔パスチェックインシステムを想定し、今回導入した。2つ目は「リソースマネジメントシステム」。離発着や充電機材などを管理し、シームレスな効率的運用を実現する。3つ目は「空域監視システム」。空の交通管理状況や気象状況を監視しながら管理する。何かあったら即応する。この3つのシステムを運営システムとして準備して、実証を行なう。
機体を運用するSkyDriveの福澤知浩氏は「ステップバイステップで実証を進めている。いかにセキュリティ高く、簡単に乗れるか検証を行なっている」と述べ、同社の事業取り組みを紹介した。
「空飛ぶクルマは電動で飛ぶ。安全で静かで環境にやさしい。東京での実装のポイントはいかにコンパクトでどこでも停まれるか。ターミナルに関しても、機体に関してもコンパクトかつポータブルは重要。ポートも20m四方で世界でも一番小さい。マルチローター型ならでは。前後左右、自由自在に動ける。もっとも最適な機体だと考えている」とアピールした。
今回は「今後につながる貴重なステップ」
今回、使われた「SKYDRIVE」は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)での公開フライトに使用された機体と同型実機。自動制御とリモート操縦による無人飛行を行なった。
事業の担当者である東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部 スマートシティ推進担当課長の大井征史氏は飛行終了後、「無事に飛ぶ姿をお見せできてよかった。これから大きな成果につながると思っている」と述べた。実用化は2027年以降を目指している。「東京都としては一つずつ積み上げていくことが重要だと思っている。今回の実証は機体を飛ばすだけではない。サービスとしての一連の流れを行なうということで、今後につながる貴重なステップだと考えている」と語った。
三菱地所としてはeVTOLは都心部にポートを設置して直接乗り入れられることが利点だと考えており、商業施設などにもポートを設置することで、様々なモビリティを使った都市間移動が可能になると考えていると述べた。兼松でも「自動運転との連携を視野に入れて事業を進めたい」とのことだった。






















