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ヤフーのeコマースは外出自粛で拡大。PayPayは収益化を前倒し

ZHD 川邊健太郎 CEO

ヤフー親会社のZホールディングス(ZHD)は30日、2019年度通期決算を発表した。売上高は前年同期比10.3%増の1兆529億円、営業利益は同8.4%増の1,522億円、当期利益は13.1%増の880億円。ZOZOの連結効果もあり、初の売上高1兆円超えとなった。

新型コロナの影響はポートフォリオ経営で対処

ZHDの川邊健太郎 代表取締役社長 CEOは、2019年度を「激動の一年だった。ZOZOなどの大きな投資や組織の再編で、『急ぎすぎではないか?』との意見もあったが、重要な手を打てた。通期でも増収増益で、ガイダンスを上回ることができた」と2019年度を振り返った。

一方で新型コロナウイルスの影響も見え始めている。コマース事業においては、外出自粛に伴い、Yahoo! ショッピングやPayPayモールは前年比で39%増と成長しているが、宿泊や外食などの事業ではマイナスの影響がでている。PayPayはオフラインでの利用減などの影響はでているが、影響は現時点では限定的とした。ヤフーニュースなどのメディアのトラフィックは伸長、旅行や人材などの業種での広告減の影響はあるが、エンタメ等は好調とする。

川邊社長は、「見通しは立てづらいが、100以上のサービスに分散していることが強み。財務を含め安定経営で、全体としては影響を抑えたポートフォリオ経営ができる」と説明した。ただし、経費については、予算対比で100億円規模の抑制を行なう。

ZOZO連結でコマース伸長。PayPayは圧倒的No1で収益化へ

コマース事業は、取扱高が前年比14.3%増の2兆5,396億円に拡大。ショッピングはZOZOの連結により34.5%増となったが、ZOZO無しでも15.7%の成長。ヤフオクなどのリユース事業の取扱高は1.3%減の8,041億円。eコマースの営業利益は801億円で「国内最大規模」とする。

また、ZOZOの連結により相互送客などでシナジー効果がでてきており、PayPayモールとYahoo! ショッピングのファッションカテゴリ拡大に寄与しているという。

PayPayは、加盟店数215万カ所、登録者数2,800万人で、「スタートから1年半で、圧倒的ナンバーワンのスマホ決済に成長した」(川邊社長)。想定を超える成長のため、「マネタイズも計画を前倒しする」とし、YJカードと連携した「PayPayあと払い」をスタート。現在は一部ユーザー向けのテストだが、夏以降は全てのユーザーに開放する。

新型コロナによるPayPayへの影響については、もっとも使われるコンビニやスーパーでの利用は減ってないが、飲食は大きく減少。ただし、高齢のユーザーの増加などの新たな傾向も見られるという。

金融事業は、自社サービスと連携した「シナリオ金融」を推進。Yahoo!カーナビと自動車保険の連携や、PayPayモールの分割払い導入などを想定する。

2020年度は、ポートフォリオ経営を推進するほか、ソフトバンクとの連携を強化。また、LINEとの経営統合によるマーケティング強化などを目指す。