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「ヤフーの説明は虚偽。主体的にLOHACO移管を画策」。アスクルがヤフーに反論

ヤフーとアスクルの対立している問題で、アスクルは22日、ヤフーが18日に発表したプレスリリースに反論した。ヤフーがLOHACO事業譲渡を申し入れたことを「意向をうかがったに過ぎない」とした件について、「明らかに虚偽」と反論している。

ヤフーとアスクルは、2012年に業務・資本提携契約を締結し、協業。共同でBtoC事業「LOHACO」を展開している。しかし、ヤフーが業績の低迷等を理由にアスクルの岩田彰一郎社長の退任を要求するなど、両社が対立を深めている。

18日のヤフーの発表では、LOHACO事業の譲渡について、「今後もLOHACO事業の譲渡を申し入れる方針はない」とし、1月にヤフーから譲渡を打診した件についても、「譲渡をする考えがあるのかの意向をうかがったに過ぎない」と説明していた。

アスクルはこの説明を、「明らかに虚偽」と指摘する。

2018年11月には、ヤフーから派遣されている取締役からLOHACO事業の今後について相談があり、会議を実施。ヤフーからは「LOHACOを改称し、Yモールのヤフー直営店にしたい」「価格設定と品揃えの判断はヤフーが握りたい」「小売新会社を設立し、LOHACOを移管する」「アスクル岩田社長は新会社の役員に入れない」などの説明があったという。

また、LOHACO事業分社案は(ヤフー親会社の)ソフトバンク経営陣と協議されていることなどもアスクルに伝えられ、'19年1月にはヤフー川邊社長らがアスクルを訪問し、LOHACO事業のヤフーへの譲渡の可能性を検討するよう口頭で依頼した。加えて、アスクルの社外取締役のプラス今泉公二社長からは、「LOHACOの切り離しは、自分が言いだした」、「現状、ヤフーからは2019年の年末までにLOHACOを分離する予定と聞いている」等の言質を得ているとする。

そのため、アスクルは「ヤフーの『LOHACO譲渡について意向をうかがった過ぎない』というのは虚偽にほかならず、むしろヤフーが主体的にLOHACO事業の移管を画策していることは明白」とヤフーを非難している。

また、アスクル岩田社長の再任拒否については、ヤフーは「アスクルの数年にわたる業績低迷の早期回復」を理由としているが、ヤフーから派遣されている取締役2名が参加した、LOHACOの新戦略(独自価値ECへの転換)に基づく計画が着実に推移していることや、仮に業績責任を問うのであれば、6月5日の取締役会で議論すべきとし、「(業績低迷は)真の理由ではない」とする。

アスクルが求める業務・資本提携関係の見直し協議について、ヤフーは「協議は不要」と説明している。アスクルは、ヤフーが提携契約で合意された取締役指名ルールを否定しているにもかかわらず、業務提携関係維持や見直し協議を不要とするのは「暴論」と指摘。

その上で、「社長再任に反対する真実の理由は、LOHACO事業の移管を行いやすくするための社長人事への介入であることは明らか」と指摘し、「こうした状況に至って、友好的な協業により双方の企業価値向上を企図することなど困難。多くのステークホルダーのためにも、早期に協議による提携解消が最適と考えていることに変わりはない」としている。