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Wi-Fiルータは主張しない 部屋に馴染むアマゾン「eero」【Watch+】

eero 7(左)とeero Pro 7

先日、AmazonのWi-Fiルーターブランド「eero(イーロ)」の新製品説明会で、アパレルブランド「ビームス」がプレゼンを行ないました。なぜWi-Fiルーターの説明会にビームスが? と思いましたが、話が進むうちに「(eeroは)インテリアとして部屋に置いておけるデザイン」という展開になり、なるほど、と納得しました。

プレゼンは、「ビームス」の執行役員 シニアクリエイティブディレクター兼ディレクターズバンク長の土井地 博氏が行ないましたが、同氏はビームスで働く社員の暮らしにフォーカスした書籍「BEAMS AT HOME」を手がけている方です。そのため、実際に社員の自宅などに数多く訪問した経験があるということですが、「Wi-Fiルーターを目立つところに置いている部屋は一つもなかった」そうです。持っていないわけではなく、持ってはいてもあえて目に見えるところには置いていないということです。

そうした経験から、既存のWi-Fiルーターのデザインには課題を感じていたところ、eeroのWi-Fiルーターを一目見て「インテリアとして部屋に置いておけるデザインだ」と感じたそうです。eeroのWi-Fiルーターは、非常にシンプルなデザインで、LEDも本体前面に一つだけ。基本は本体と同色の白で発光して、オフにもできます。部屋のインテリアの雰囲気を邪魔しない、主張しすぎないデザインと言えるかもしれません。それでいて、Wi-Fi 7に対応した本格Wi-Fiルーターとしての性能を持っています。

これに対して既存のWi-Fiルーターは、角張った独特なデザインであったり、本体表面の分かりやすいところに複数のカラフルなLEDが配置され、常にチカチカと明滅したりしています。ヘビーユーザー向けのハイエンドWi-Fiルーターの場合は、無骨な外部アンテナがいくつも取り付けられ、物々しいデザインのものも珍しくありません。

もちろん、こうした要素が不要だといいたいわけではありません。筆者自身はLEDがきちんと見えたほうが、正常に動作しているかどうかを一目で分かりやすいと思っていますし、トゲトゲとした外部アンテナも、電波に指向性をもたせ、特定のエリアに向けて電波を飛ばしたい、というニーズには無くてはならないものです。モノとして主張するデザインは、それはそれで所有欲や満足感にも繋がるとも思います。

ただ、そうした要素は要らないという人が増えてきた、というのが「部屋に置けるデザイン」に対するニーズなのではないでしょうか。スマートフォンが普及する以前は、現在ほどWi-Fiルーターは広く普及していませんでした。そうした時代にはインテリアとしてのデザインよりも実用性、機能性重視で問題はなかったのでしょう。

また、技術の進歩によってシンプルなデザインが可能になったという側面もあります。無骨な外部アンテナがなくても、必要十分な性能を発揮できるアンテナの開発や、排熱技術の進歩などによって、シンプルなデザインが促進されているとも言えます。

現在では、eero以外にも主張しすぎないデザインのWi-Fiルーターが増えてきているように思います。Wi-Fiルーターがコモディティ化した現在だからこそ、“主張しないルーター”が増えてきているのではないかと考えさせられました。

清宮信志