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グーグル「NotebookLM」の「音声概要」が素晴らしい【Watch+】
2025年5月3日 09:00
Googleは30日、個人やチーム専用のAIデータベース「NotebookLM」を強化し。ソース情報から音声要約を自動作成してポッドキャスト風に紹介する「音声概要(Audio Overview)」を日本で開始しました。この機能がとても優秀で使いやすいので、軽く紹介してみます。
NotebookLMは、ローカルで用意したデータをもとに、Geminiが回答や要約などを行なう「AIリサーチアシスタント」です。Google Workspaceでも利用可能で、編集部でも「ノートブック」(プロジェクト)を作成し、社内のドキュメントなどを登録して経費精算のルールについて尋ねたり、新たな法制度についての政府公開の資料を登録し、その内容を調べたり、原文を知りたいときなどに活用しています。自分が持つデータということもあり、間違いが少なく、すぐに元資料を確認できることも使いやすさの特徴といえます。
新機能の音声概要は、アップロードした資料をもとに「要約」し、ポッドキャスト番組のような会話形式で再生できるサービスです。米国では24年12月から開始していましたが、今回のアップデートにより、日本を含む50以上の国と地域でも対応しました。先行導入していた英語版でも人気の機能だったようですが、実際に試してみるとたしかにかなりの高品質です。
今回、先日メタやXが指定された「情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)」について、総務省が公開しているPDF資料の「情報流通プラットフォーム対処法」、「 情報流通プラットフォーム対処法の施行について」と、Webサイト「インターネット上の違法・有害情報に対する対応」を3つの資料をソースとした「ノートブック」を作成し、音声概要を作ってみました。
音声は約6分で、男女の2人の掛け合いで軽妙に法律の趣旨などが解説されていきます。
男性:こんにちは。あなたが共有してくださった資料、えっと、今回はインターネット上の権利侵害情報、特にま、誹謗中傷とかへの対策に関する法律の改正。これですね。大規模なSNSプラットフォームなんかがこうどう動くのか。その新しいルールを一緒に見ていきましょうか。
資料を読むとですね、月間1000万人以上が利用するような、いわゆる大規模プラットフォーム事業者ですか?ここに何か新しい義務が課せられると。今回の掘り下げと言うかポイントは、この新しいルールが、えっと具体的に何を求めていてそれが私たち利用者にどう関わってくるのか。その核心を掴むことですね。
女性:ええ、そうですね。これは通称「情報流通プラットフォーム対処法」とも呼ばれる法律の改正なんです。正式名称は特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律というちょっと長い名前ですけども。法律自体は令和6年の5月にもすでに施行されていて、関連するあの具体的なルール、省令とかガイドラインですね。これが令和7年の3月に出て4月から施行という流れです。
で、ここで、あの非常に重要なのが被害を受けた方の権利を守ること。それと情報を発信する側の表現の自由。この2つの価値の、ま、バランスをどう取るかという、そこがポイントなんですよね。
男性:ああ、バランスですか。(続く)
聞いていただけるとわかると思いますが、情プラ法における、「(被害者の)権利を守る」「表現の自由」というポイントを抑えながら、対応の迅速化と運用の透明化という法律が求める内容がしっかり整理されています。「令和6年の5月に施行」はおそらく法改正の誤りと思われ、少し踏み込み過ぎな表現もあるようですが、全体の流れはかなりわかりやすく整理されていると感じました。
また、話し言葉なので資料を読むときの“堅苦しさ”が緩和される印象で、「ただ、一方で~」、「なるほど」など、合いの手の入れ方もスムーズ。人間らしさを保ちながら、聴きやすさや親しみやすさも感じれる内容になっています。資料を読んだ時より理解が深まる気がしますし、音声を聞いたあとは資料のポイントを見つけやすくなります。
NotebookLM自体が優れたサービスで、チャットで必要な情報を取得できるのは非常に便利なのですが、音声要約の追加により、「全体像を把握する」という新たな価値が生まれているように感じました。
なお、正確な音声概要を作成するには、しっかり整理された資料が必要です。なんでもきちんと要約できるというわけではありません。しかし、法律などの“難しそう”な内容をここまで噛み砕いて、親しみやすさを感じながら理解できるというのは画期的です。例に挙げた法律だけでなく、勉強などでも相当に役立つものになりそうです。