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君は“黒物家電”を知っているか?

「黒物家電」知ってる?

【黒物家電】《黒い塗装が多いことから》テレビ・レコーダー・カメラなど、娯楽に関する家庭用電気機器。白物家電に対してできた語。黒物。

(デジタル大辞泉小学館)

11月5日にアイリスオーヤマが「黒物家電本格参入」を発表した。これまでの生活家電(白物家電)に加え、11月22日からは4Kテレビなどを発売する。そのニュースの注目度は高く、アクセスランキングの上位に入っていた。

アイリスオーヤマが“黒物家電”参入。4Kテレビ発売で総合家電メーカーを目指す

AV Watchで詳しく読む

ところが、だ。

周囲に聞くと、「黒物家電」という言葉は、家電業界関係者以外にはあまり知られていないようだ。

筆者は10年以上AV Watch(“黒物家電”のメディア)を担当しているので、「黒物家電参入」という表現は“普通”に感じる。しかし、編集部界隈の若手はどうもぴんと来ていない様子。インターンの大学生は、「なんですか? 白物家電なら聞いたことがあるけど……」とのこと。

白物家電。アイリスオーヤマの「スチーム流水解凍オーブンレンジ」

であれば、白物家電との違いを含めて、説明したほうがいいだろう。記事中に以下のような注釈を入れた。

「黒物家電」は、生活家電と異なり、テレビやオーディオ機器など、娯楽性の高い家電製品に使われる言葉。

洗濯機や冷蔵庫などの生活家電がかつては白色が中心だったことから「白物家電」と呼ばれることに対し、テレビやオーディオなどは黒を基調とした製品が多いこともも「黒物家電」の由来とされる。

すると、社内外から「知らなかった」とか、「黒白ってそうだったの?」といったコメントが。そしてどうやら、「黒物家電」を知らないのは若者だけではないようだ。

気になってきたので、Twitterによるアンケート調査を行なってみると、ほぼ半数が「知らない」という結果に。何となく聞いたことがあるというのが2割程度だ。個人的には予想からそれほど離れた結果ではなかった。

せっかくなので読者がより黒物家電に強いと思われる、AV WatchのTwitterでも聞いてみたところ……

“黒物家電専門メディア”なのに「知らない」が4割を超えている。こちらは予想外だ……。しかし、考えてみると、自分が黒物家電という言葉を発するのもメーカーや量販店の人と話すときぐらいかもしれない。

業界団体でも定義していない

業界団体では、「黒物家電」はどう使われているのだろうか?

テレビやオーディオ機器などの電子機器の業界団体といえば、JEITA(電子情報技術産業協会)。JEITAに聞いてみると……。

JEITA広報部:弊協会の対象分野である民生用電子機器を、白物家電(民生用電気機器)に対して「黒物家電」と各種記事等で掲載いただくケースはありますが、弊協会の文書やリリース等では使用していないため、特段の定義等は定めてございません。

つまり、「黒物家電」は、業界的に定義があるわけではなく、「白物家電」に対して、慣例的に使われてきた用語のようだ。なお、「白物家電」については、関連業界の団体JEMA(日本電機工業会)の一部公式文書でも使われている。

もっとも今の家電製品は、そもそもがカラーバリエーションが豊富だったり、IoTやネットによって、生活家電と情報家電が相互に連携するようなものが増えてきている。そういう意味では、業界外の人が積極的に使う意味とは今後さらに薄れていくのかもしれない。

最後に、元家電量販店員の弊社社員のコメントを。

店内では『黒物』と「白物』は普通に使ってましたよ。でも、お客様には説明する時には使わないですね。『情報家電』『生活家電』とかいってたかな。