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海外通販の幅が広がる。荷物転送サービス「Shipito」を使った

海外荷物転送サービス「Shipito」を使えば、海外通販の選択肢が広がる

日本国内では手に入りにくいものも、近頃は海外の大手通販サイトを介して比較的容易に入手できるようになってきた。いわゆる越境ECというやつだ。サイト自体の日本語化も進み、言葉の壁を感じることも少なくなってきている。送料もそれほどかけずに手軽に購入できるのはありがたい限りだ。

ただ、それはあくまでも大手通販サイトの話。メーカー直販サイトだったりすると、日本語化がされていないだけでなく、現地国内にしか発送しない、という場合も少なくない。たとえば米国のメーカーなら、米国とカナダへの発送にしか対応しない、というパターンがよくあるのだ。

よくある代替手段は、その欲しい製品がeBayやAlibabaや海外のAmazonなど、海外発送対応のECサイトでも販売されていないかどうか確認する、というもの。見つからなければ、現地に住んでいる友人にお願いする、という方法も考えられる。けれども、そんな友人がいない筆者のような人はどうしたらいいのか……。

そこで活用したいのが海外荷物転送サービスだ。今回は、いくつかある海外荷物転送サービスのうち「Shipito」を実際に利用してみたので、どんな流れで手続きを進めていくことになるのか、紹介していきたい。

海外荷物転送サービスのメリットとShipitoの特徴

海外荷物転送サービスとは、中間業者に荷物を代わりに受け取ってもらい、日本へ発送してもらうサービス。輸入代行と言い換えることもできる。

海外荷物転送サービスにおける荷物の流れ

このサービスを利用するメリットは大きく2つある。冒頭で説明したように、海外発送非対応のメーカー直販サイトなどからも購入できることが1つ。いったんメーカーから現地近くにある中間業者の倉庫宛に出荷する形にし、その倉庫から日本に向けて発送することで、直販サイト側の対応いかんに関わらず、日本への発送が可能になるのだ。

2つ目は、安価な送料で輸入できる場合があること。大手通販サイト以外で商品を購入するとき、ネックになるのが送料が高くなりがちなことだ。たとえば商品そのものは数ドル程度の安価なものでも、個別発送すると送料の方が高くついたりする。海外荷物転送サービスでは、若干の手数料が別途かかるものの、他の荷物とまとめて出荷することで送料を抑えられるのがポイントだ。

今回、筆者がShipitoのような海外荷物転送サービスを利用しようと考えたのはなぜかというと、まさしく「発送は米国およびカナダのみ」に限定されたメーカー直販サイトでしか手に入らない商品を購入したかったから。

ダメ元でメーカーに「将来的に海外発送に対応する予定はないか」と問い合わせたところ、「予定はないから、海外荷物転送サービスをおすすめします」という回答があったので、じゃあ試しに利用してみるか、と考えたのだ。

購入したいと思っているメーカー直販サイトの商品
「配送先は米国の隣接地域とカナダのみ」との記述がある。隣接地域にはハワイやアラスカが含まれるが、それ以外の国外を含む地域には発送しないということ

いくつかある海外荷物転送サービスからShipitoを選んだのは、少なくとも購入したかった商品について言えば、他のサービスよりも送料が安く済みそうだったため。Shipitoは日本の佐川急便と連携したややリーズナブルな輸送方法を用意しているのが特徴で、他よりだいたい20ドルほど安価に発送してくれそうだった。

利用前にあらかじめ知っておくと便利なこと

海外荷物転送サービスを利用するとき、あらかじめ知っておくと便利なこと、頭に入れておくべきことがいくつかある。主だったところは下記の3つだ。

  1. 梱包時のサイズ・重量
  2. 輸入禁制品に該当しないか
  3. 荷物到着まで時間がかかること

先ほど少し説明した「Shipitoを利用すると他より安くなりそう」という判断は、荷物のサイズや重量がわかっていなければできないことだ。Shipitoには「送料見積り」機能があり、発送先(自宅住所)や商品の金額、梱包時の寸法および重量を入力することで、海外にあるShipitoの倉庫から自宅までの送料の目安をあらかじめ知ることができる。

Shipitoでは、荷物の梱包サイズと重量などを入力すれば、国際便送料の目安がわかる
約10kg、約50×50×25cmの荷物は、最も安価な輸送方法で83.53ドルの見積りだった

倉庫に届いてみないと日本までの実際の送料がわからない、というのでは、安心して買い物もできないだろう。でも、荷物の転送を依頼する(商品を購入する)前に送料を知っておけば、総額に近い金額を元に、本当に購入するかどうかの判断ができる(他に手数料、保険料、関税などがかかる場合もあるので、正確な総額ではないが)。

ただ、メーカー直販サイトだと、事前に梱包サイズや重量まで知ることは難しいかもしれない。Amazonだと商品情報の1つに「梱包サイズ」が明記されていることもあるが、直販サイトの販売ページにはこういった形での記載がないことがほとんどだ。そのため、メーカーに直接問い合わせるなど、ひと手間必要になってしまう。

今回筆者が購入した商品については、メーカーに海外発送の計画を確認したときのメールの返信で、梱包サイズと重量も丁寧に教えてくれたので、スムーズに送料の事前見積りができた。外国語が苦手でも、今では翻訳ツールを使えば相手に理解してくれるレベルのメールは作れるはずなので、勇気をもって問い合わせたい。

2つ目の「輸入禁制品に該当しないか」については、ShipitoではWebサイト内で案内があるので、必ずチェックしておきたい。禁制品と知らずに購入した場合、倉庫に到着した時点で破棄してもらうことになるので、お金を無駄にするだけだ。

あらかじめ「禁制品 配送ガイドライン」はチェックしておくべし

そして、海外からの輸入ということで物理的な距離があり、荷物の到着まで時間がかかってしまうことは覚悟しておこう。通常、安価な輸送方法であるほど日数を要する。Shipitoでは優先的に発送手続きするオプションや、より迅速に届けてくれる輸送業者を選択することもできるが、費用がかさんでしまう。

加えて、メーカーからShipitoの倉庫までの現地輸送の時間がかかることも当然ながら考えておかなければならない。今回筆者が購入した商品は手元に届くまで結果的に3週間弱かかったので、欲しいと思ってもすぐに手に入らないことは理解しておこう。

ちなみに、11月、12月のタイミングでは、ブラックフライデーから始まるクリスマス商戦のせいで、海外での配送処理が遅れることも予想されるので注意しよう。

Shipitoを使ったユーザー登録から荷物発送までの流れ

では、Shipitoを利用して海外から商品を手に入れるときはどんな手順で進めることになるのか、順を追って説明していきたい。

先ほどの送料の目安を確認して、これなら商品を購入してもいいかなと思えたら、Shipitoにユーザー登録する。無料プランと月額・年額料金がかかる有償プランがあるが、頻繁に個人輸入するような予定があるなら別として、とりあえず単発で利用してみたいなら無料プランでOKだ。

Shipitoのプランは3種類。とりあえず単発利用を考えているなら無料プランでOK

ユーザー登録時にはフルネームと、ログインに使うメールアドレス・パスワードを登録することになる。が、ここで注意しておきたいのは、名前をローマ字で記入すること。Shipitoのサイトは日本語対応していて、姓名を漢字・ひらがなで入力しても良さそうな雰囲気が漂っているが、ローマ字にするのが無難だ。

自分の名前とログインに使うメールアドレス・パスワードを登録

なぜなら、入力した名前などの情報は、後述する「マイ倉庫の住所」というShipitoの倉庫の宛先情報に含まれることになり、そうなると商品の購入先となるECサイトで発送先住所を入力するときにも同じ宛先を利用することになるから。

もしECサイト側が日本語非対応(漢字・ひらがなが認識されないなど)だと、購入手続き自体ができなくなる可能性があるので、それを防ぐためにもローマ字にしておくのがおすすめというわけ。誤って名前を漢字・ひらがなにしてしまっても、後で設定画面から修正は可能ではあるけれど、面倒な手間はできるだけ減らしたい。

誤って漢字で名前を登録してしまい、「マイ倉庫の住所」が日本語混じりになってしまった
そんなときはアカウント設定の「アカウント情報を編集する」からローマ字に変更しよう

ユーザー登録が完了すると、ユーザーごとの「マイ倉庫の住所」というものが発行される。これは、Shipitoの倉庫の住所にユーザー別のコードが付加されたもの。このコードを含む宛先情報を、ECサイトでの商品購入時の発送先に指定することで、Shipitoの倉庫に商品が届いたときに、どのユーザーの荷物かを特定できるようにしているのだ。

「マイ倉庫の住所」が生成される。この宛先情報を使って買い物をすればよい

というわけで、ユーザー登録が完了したら、ECサイトでの商品購入手続きに移る。「マイ倉庫の住所」を発送先に指定し、電話番号を指定する場合は自分のものを入力する。購入手続きが完了したら、Shipitoの倉庫に荷物が到着するのを待つ。その間にShipito上で最終的な配送先となる自宅住所を登録しておこう。

ECサイトで「マイ倉庫の住所」を発送先に指定する
Shipitoでは、住所の各行をクリックするだけで情報をコピーできるので、それをECサイトの方に貼り付けていけば間違いは少ない
アカウント設定の「アドレス帳を変更する」で発送先となる自宅住所を登録しておく

荷物が倉庫に到着するとメールなどで通知がある。ページ上では荷姿を複数枚の写真で確認でき、届いた荷物の実際のサイズ、重量も表示される。購入した商品であるようなら、続いて自宅への発送手続きに入ることになるが、もし荷姿だけでは不安なら、オプションの手数料を支払ってShipitoの倉庫担当者に開封してもらい、中身の写真を撮影してもらうこともできる(追加8ドル)。

荷物が倉庫に到着。次にユーザーが行なうべきアクションが指示される
荷姿を写真で確認可能

また、この後発送手続きのためにユーザーがしなければならないアクションは「税関申告書」の作成となるが、この税関申告書の記入自体もオプションで代行してもらうことができる(追加7ドル)。ただ、税関申告書は紙で提出したりする必要はなく、Shipitoのページ内から簡単に入力が可能。商品の名称、金額、種類などを画面上で入力していくだけので、中身が明らかなら自分でやってしまう方が早いだろう。

税関申告書の記入や、内容物の写真撮影などを有償で依頼することもできる
今回は中身がわかっているので、自分で税関申告書提出のための情報を登録する

必要な対応を完了し、Shipito上でのステータスが「出荷準備完了」となったら、次に「荷物を発送する」ボタンを押して発送手続きへ。「配送先住所」が確実に自宅のものになっているかを確認したら、配送方法を選択して送料を確定し、配送保険の有無を決める。輸送途中に行方不明になったときなどのために、念のため配送保険は加入しておいた方が良さそうだ。

ステータスが「出荷準備完了」となったので、「荷物を発送する」ボタンをクリック
登録しておいた配送先住所(自宅)を指定
配送方法を選択。結局送料は当初目安から20ドルくらい上がってしまった
念のため配送保険には加入しておいた方がいいだろう

次に商品の詳細なカテゴリーを選び、必要に応じてオプションサービスとして緩衝材の追加や補強などを指示する。おしまいにPayPalやクレジットカードなどで決済し、手続き完了だ。その後の出荷状況は「追跡履歴を見る」から随時チェックできる。

商品のカテゴリーを選択
緩衝材の追加や補強などのオプションサービスもある
支払い方法を選択
合計金額を確認し、問題なければ支払いを実行
手続き完了。出荷状況は「追跡履歴を見る」から

発送元・倉庫内で処理ミスがありながらも3週間で到着

筆者がECサイトで商品の購入手続きをしたのは10月28日。6日後の11月3日にメーカー元からFedExで出荷されたとの連絡があり、翌4日にShipitoの倉庫に到着予定となった。ただ、今回なぜかECサイト上で入力した「マイ倉庫の住所」の固有コードが荷物のラベルに記載されておらず、倉庫到着後の荷物確認に時間がかかってしまったようで、Shipitoのマイページに情報登録されたのは11月9日となった。

追跡すると、11月11日時点で日本に到着した、らしい
が、その後履歴が書き換えられ、別便での手続きに
11月15日に佐川急便に引き渡された
商品が到着。時間はかかったが、無事届いてなにより

今回の商品購入までにかかった費用の内訳は下記の通り。米国内の輸送費用、保険費用なども含め、商品本体を除く合計金額は約17,298円で、決して安くはないが、商品自体の価格や、10kg弱(到着後にチェックすると約8.7kgだった)で大きめの荷物だったことを考えると許容範囲内かな、という感じだ。

商品を手に入れるまでにかかった費用の内訳

項目費用
商品本体代金449ドル
米国内配送料金40ドル
Shipito配送手数料3ドル
国際便送料100.5ドル
配送保険8ドル
関税3,230円
合計約71,792円
うち送料約17,298円

全体を通してみると、時間がかかってしまうのは仕方ないとして、(今回について言えば)荷物の転送に必要な手間は少なく、気軽に利用できるサービスだな、という印象。海外通販で連続して購入するようなときは、Shipitoの倉庫でひとまとめの荷物にして輸送料を節約することもできる。国内では手に入らない、かつ急いで入手する必要のないアイテムは、こうした海外荷物転送サービスを積極的に利用するのもアリだろう。

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターとして執筆・編集業を営む。AV機器、モバイル機器、IoT機器のほか、オンラインサービス、エンタープライズ向けソリューション、オートバイを含むオートモーティブ分野から旅行まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「できるGoProスタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS+Androidアプリ 完全大事典」シリーズ(技術評論社)など。Footprint Technologies株式会社 代表取締役。