ミニレビュー
AirPodsが通訳に? iPhoneの「ライブ翻訳」を試す
2025年11月8日 09:15
11月4日、iOS 26.1が公開され、iPhoneで日本語の「ライブ翻訳」に対応しました。AIにより電話やメッセージ、FaceTimeなどのアプリでリアルタイムに「翻訳」ができるようになりました。
さらにAirPodsを装着すると、画面だけでなく音声でのライブ翻訳にも対応します。そのためSNSなどでは、「iPhoneが通訳代わりになる?」などの期待が高まっているようです。
スマホとイヤフォンを連携させたリアルタイム翻訳は、Googleなど他社でもすでに対応済みではありますが、日本でシェアの高いiPhoneとAirPodsが日本語に対応したことは大きなトピックといえそうです。iPhoneとAirPodsのライブ翻訳を試してみました。
対面での「通訳」が期待されるiPhone+AirPods
ライブ翻訳に対応するのは、「Apple Intelligence」対応の「iPhone 15シリーズ」以降で、iOS 26.1以降。ライブ翻訳は、電話、FaceTimeなどのアプリで、音声、テキストなどの翻訳が可能になったのが特徴ですが、イヤフォンのAirPodsが対応することで、対面での会話でも異なる言語でリアルタイムに会話できるようになります。
対応のAirPodsは、「AirPods Pro 3」。「AirPods Pro 2」、「AirPods 4」の3機種。英語だけでなく、日本語、中国語(簡体字と繁体字の北京語)、韓国語に対応し、ライブ翻訳できます。
AirPodsを使った「対面」での会話のライブ翻訳では、画面などを見ずに、相手が話している言葉を日本語に翻訳してAirPodsで聞けるようになります。
例えば、相手が英語、自分が日本語の場合、相手が話した言葉をリアルタイムで日本語に翻訳してAirPodsで聞き取れます。もし、相手もiPhoneとAirPodsでライブ翻訳を使っている場合は、日本語が英語に通訳されるため、お互い異なる言語を話しながら、「会話」が成り立つかもしれません。
音声のリアルタイム翻訳だけでなく、iPhoneの「翻訳」アプリを使えば、翻訳している音声をリアルタイムでテキストで確認しながら、話すこともできます。
設定や主な操作はiPhoneの「翻訳」アプリを使います。AirPodsを装着して、iPhoneで「翻訳」アプリを開き、画面の下部にある「ライブ」をタップしてから、言語を選択します。言語は「相手」と「自分」のそれぞれの言語を選ぶ必要があり、使用する言語は利用前にダウンロードする必要があります。
- 相手の言語: 相手が話している言語。
- あなたの言語: AirPodsで聞きたい言語。
ライブ翻訳の開始は、両方のAirPodsのステム部分を同時に長押しする、もしくは「翻訳」アプリで「ライブ」から「翻訳を開始」をタップで始められます。また、「Hey Siri、ライブ翻訳を開始して」でも開始できます。ただし、音声を聞きながら「テキスト」も確認したい場合は、翻訳アプリを使うのがよいでしょう。
会話は結構ちゃんとわかります
今回、翻訳アプリとともにAirPodsでライブ翻訳を試してみました。といっても多言語の話者がいないので、「Google Pixel 10 Pro」の「Gemini Live」と会話してみることにしました。Gemini Liveが英語で応答し、私は日本語で応答します。
「あなたはホテルのスタッフです。私は日本語で話しかけますので、英語で応答してください。」とGemini Liveにお願いしたあと、AirPodsを装着し、iPhoneのライブ翻訳を使ったのが以下の動画です。
実際に試すとホテルのチェックインから、スタッフのやりとり確認などはほぼ問題なく「通訳」できているようです。動画のようなホテルチェックインの流れのほか、モーニングコールのお願いや近隣施設についての相談などもしっかり行なえ、かなり「実用的」という印象です。
音声の翻訳はテキスト表示とほぼ同時ですので、遅れもさほど気になりません。ただ、時折通訳が遅れる時があり、その場合「伝わらなかったかも?」と思い改めて言い直すと、実は通訳中だったため、やりとりがややこしくなる、というケースはたまにありました。とはいえ実用上はほぼ問題なさそうです。
応答する側のGemini Liveの出来がいいのもありますが、このケースでは、iPhoneとAirPods Proが「通訳代わり」といっても過言ではなさそうです。
ただし、この「通訳」性能は万能ではありません。
アップルの「WWDC」における発表や英語のYouTube番組をなど再生しながら、ライブ翻訳しみましたが、確かに逐次通訳してくれるのですが、発言が長くなると発言の途中から訳し始めて、全体としてなにをいっているのかわからなくなってしまいます。また実際の音声からかなり遅れて音声が翻訳されることもあり、趣旨を理解しにくく感じました。
日本語では後半に来ることが多いなど、英語とは語順や構造が異なることから、文章の途中で「通訳」するのが難しいためと思われます。また、iPhone/AirPodsのライブ翻訳は、リアルタイムにクラウドを使わない「オンデバイス」で逐次処理していることもあり、複雑な文章構造や長い文章について、修正しながら訳すといったことが難しいということもあるでしょう。
講演やYouTube番組などを見る場合、YouTube側の翻訳や字幕などを使ったほうが使いやすいと感じます。ライブ翻訳は、理解の「補助」には使えますが、頼りすぎるのは危険かなという印象です。ただし、「全く知らない言語」であれば、「あるだけでも助かる」というシーンは大いにありそうです。
AirPodsは言語の壁を(ちょっと)超えた
今回は、英語と日本語で試しましたが、スペイン語や中国語(簡体字と繁体字の北京語)、韓国語などにも対応しています。海外旅行や出張だけでなく、昨今では訪日観光客も増えていますので、日本において訪日客とのやりとりなどにも大いに使えそうです。それが「普段使いのiPhone/AirPodsで対応」できる、というのがこの機能のポイントでしょう。
比較的短い会話のやりとりなど、「自分の希望を伝える」「簡単な挨拶やコミュニケーションを取る」といったことであれば、ライブ翻訳はかなり便利に使える機能といえますし、こういうことが「当たり前」になっていくのは、テクノロジーの進歩だなと感じます。
過大な期待は禁物ですが、多くのユーザーにとって、言語の壁を超える素晴らしい機能になると思います。













