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ソフトバンクの空飛ぶ基地局「HAPS」 8月に日本で飛行試験

ソフトバンクは、“空飛ぶ基地局”として開発を進めている「HAPS」の試験サービスを8月中旬以降に日本国内で実施する。災害時の運用を想定したもので、日数は7日~10日間を予定。場所は東北や四国、九州など複数の候補があり、気象条件などで実施場所を決定する。今回の試験サービスは「プレ商用サービス」と位置付けており、2027年に商用サービスの開始を予定している。

HAPS(High Altitude Platform Station、成層圏通信プラットフォーム)は、高度20kmという成層圏において、長期間飛行できる飛行船やグライダー型の航空機を飛行させて、地上のモバイル端末が直接つながる通信エリアを上空から構築するシステム。1機が構築できる通信エリアは最大で直径200kmにおよび、収容人数やアップロード速度などの面でも地上の基地局に近い、高い品質のエリアを構築できるのが特徴。その特性から、スターリンクなどのLEO(低軌道衛星)よりも、災害時やイベント会場に出動する移動基地局車を空に浮かべたものに近いとしている。

ソフトバンクは巨大なグライダーのようなHTA型の機体の開発を進めており、こちらの商用化は2029年以降を見込んでいる。一方、より早期の商用化を見込み、飛行船のようなLTA型のHAPSを開発する米Sceye(スカイ)に出資。3月~4月にかけては、12日間以上にわたって約1万km以上を飛行する試験を成功させており、機体性能の確認は完了しているという段階。

日本で今夏に実施される試験サービスは、大規模災害時の運用を想定したもの。すでに実施した試験結果をもとに、日本の気象環境への適応性や定点滞空性能が確認されるほか、通信性能のテスト、既存の地上ネットワークへの干渉影響について確認される。地上の可搬型ゲートウェイ設備についても開発されており、展開を確認する。今回のHAPSはソフトバンクの通信機材のため、試験サービスを利用できるのはソフトバンクの端末。

試験サービスに使う機体は米・ロズウェルのハンガーにあり、太平洋を約2週間かけて横断し、日本で試験サービスを実施する。機体の冷却の観点から、ひとつの場所にとどまるのではなく、20km程度の範囲をぐるぐると飛行するような形になるという。

将来的な運用イメージは、有事の際に(国内に設置を検討している)ハンガーから出動するのではなく、平時から飛行して地上の通信エリアを補完するような運用を行ない、災害発生時にはすばやく現場に駆けつけるというもの。また平時に法人向けの特別な需要に応えるサービスや、政府・官公庁向けの通信サービスの提供も検討中で、ビジネスモデルが拡大する場合は複数機体の運用も視野に入れる。

HAPSは太陽光発電や蓄電池により、現在の仕様でも3カ月半~半年といった長期間の飛行が可能で、電力効率の進歩など機材の進化でさらに運用可能期間が伸びる可能性があるとしている。このほかHAPSと低軌道衛星との連携や、光無線通信についても開発中で、こうしたHAPSのバックボーン回線についても発展させていく方針。非地上系ネットワーク(NTN)を強化することで「ネットワークが3次元になる」(ソフトバンク 技術統括 プロダクトR&D本部 ユビキタスネットワーク企画統括部 統括部長の上村征幸氏)と意気込む。

ソフトバンク 上村征幸氏