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衛星やHAPSに搭載可能な2Tbps空間光通信 世界初実証
2025年12月16日 15:49
情報通信研究機構(NICT)は、衛星やHAPSに搭載可能な小型光端末で、2Tbit/sの空間光通信に世界で初めて成功した。
空間光通信は、光ファイバを使わず、空間中をレーザー光で伝送する次世代通信で、地上・上空・宇宙間の大容量通信を支える基盤技術として注目される技術。
これまで空間光通信の実証は、欧州を中心にテラビット超えの通信実証が進められているが、いずれも大型の据置型装置による実験室レベルの構成で、衛星やHAPSなどの移動体へ搭載するには、サイズや重量の制約をなど課題があった。また、アジアでは、テラビット超えの空間光通信実証は報告されておらず、最大でも100Gbit/s程度に留まっている。
NICTでは、新たに持ち運び可能な2種類の小型光通信端末を開発。高機能型のFX(Full Transceiver)をNICT本部(東京都小金井市)に、簡易型のST(Simple Transponder)を7.4km離れた実験地点(東京都調布市)に設置し、その間で水平空間光通信を実施した。
これにより、光のビームの乱れを生じさせる都市部特有の大気ゆらぎのある条件下でも、5チャネル(各400Gbit/s)の波長分割多重(WDM)伝送による計2Tbit/sの通信を安定して維持が可能であることを実証した。
今後は、端末をさらに小型化し、6Uキューブサット衛星に実装する予定。2026年には低軌道衛星(高度約600km)と地上の間、2027年には衛星とHAPSの間の空間光通信実証実験(10Gbit/s)を行なう予定。今後10年以内に衛星、HAPS、地上局間でテラビット超えの光通信リンクの実現を目指して研究開発を進める。


