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清水建設、AIロボットを現場実装 「Torch Tower」建設で実証
2026年7月9日 08:00
清水建設は、AIロボット(フィジカルAI)の現場実装に向けた取り組みを開始した。ヒューマノイドロボットによる現場巡回やロボットアームによる塗装作業の実用化をターゲットに、本格的な実証をスタートさせている。その1つとして、東京駅日本橋口前で開発が進められている、2028年竣工予定の62階建て「Torch Tower(トーチタワー)」の建設現場で実証を行なった。
建設現場における労働力不足の解消と、生産性・安全性の向上を目的とした取り組み。フィジカルAIとは、カメラやセンサーなどによって現実世界の状況を把握してロボットや機械システムを適応的に制御するAI技術の総称で、AIロボットはその代表格となる。現実世界の変化する環境に適応しながら、物理的な動作によってタスクを遂行する能力を持つ。
建設現場ではこれまでもロボットを活用してきたが、従来型はプログラムされた通りの動作しかできず、作業ごとの専用機であることが多かった。これに対してAIロボットは複数の作業をこなす汎用機にできることから、労働力不足が懸念される建設業界にとって課題解消への切り札の1つとしている。
清水建設は、作業の進捗によって日々環境が変化する建設現場や、人手による作業が圧倒的に多い建設業の作業特性から、それらを効果的に代替できる可能性が高いヒューマノイドロボットに着目。手にカメラを持った状態で自律歩行するヒューマノイドロボットによる現場巡回や、作業者の動作を模倣学習したロボットアームでの塗装作業を実証している。
清水建設が施工を進めるTorch Towerの建設現場で実施した巡回作業の実証では、手にカメラを持ったヒューマノイドが1.0m/sの速度で自律的に歩行。現実世界である現場の状況を感知・判断しながら、あらかじめ指定した道順で巡回した。
カメラで撮影・取得した映像を、マルチモーダルLLM(大規模言語モデル)を駆使したAI技術によって解析することで、管理業務(現場巡回)の効率化につなげていくことも検討している。
AIロボットの開発や現場実装など、建設現場でのフィジカルAIの実用化に必要となるのが、建設業に特化したAIエコシステムの構築。建設現場におけるデータ収集・分析やシミュレーション、AI学習モデルの構築、ロボットへの実装(実証試験)のサイクルを着実に回す、といったことが必要となる。
エコシステムの構築の過程で進められるAIロボットへの移植を目的とする技能のモデル化・アーカイブ化は、熟練技能者の高齢化が進む中で、日本の建設業が持つ高度な技能の伝承にもつながるものと期待されているという。
清水建設は今後、建設業に特化したAIエコシステムをつくり上げ、建設作業におけるロボット化の適用範囲を広げていく構え。将来的な労働力不足への懸念という建設業界における共通課題の解決に向けて、ソニーなど複数の企業の技術協力を得ながら、AIロボットの実用化を進める。

