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東京駅のバスが大幅拡張 バスターミナル東京八重洲が第2期開業

東京駅から見た八重洲エリア。左側が地下AのあるTOFROM YAESU TOWERで、右側が地下Bのある東京ミッドタウン八重洲のセントラルタワー

独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)と京王電鉄バスが東京駅前にて整備を進めている「バスターミナル東京八重洲」の第2期エリア(地下A)が2026年3月20日に開業した。

開業前日には開業式典とプレス向けの内覧会が開催されたので、バスターミナル東京八重洲の現状をレポートする。

バスターミナル内のバス走路で実施された開業式典

バスターミナル東京八重洲って?

バスターミナル東京八重洲は、東京駅の東側、八重洲エリアの3つの再開発地区の地下でUR都市機構と京王電鉄バスが整備・運用している、主に高速バスを対象とした大規模バスターミナルだ。

バスターミナル東京八重洲の内部。取材のため特別に走路に入らせてもらっている

バスターミナル東京八重洲は2022年9月に第1期エリアが開業済みで、今回開業するのはそれに続く第2期エリアとなる。いずれも「バスターミナル東京八重洲」という名称だが、今回開業する第2期エリアが「地下A」となり、開業済みの第1期エリアは「地下B」と呼ばれて区別されるようになる。

今後、バスターミナル東京八重洲の乗降ゲートは、A5やB1といったような英字+番号で表記されるようになる。ちなみに2029年に開業予定の第3期エリアは「地下C」になる予定だ。地下Aは緑、地下Bは赤紫、地下Cは青で案内サインなどに採用する。

バスの走路と乗降バースがあるので内部はかなり広い

開業済みの地下Bには乗降6バース、待機3バースがあり、今回開業する地下Aには乗降7バース、待機2バースが用意され、合計で18バースとなる。

現在建設中の地下Cは乗降7バース、待機3バースが予定されており、これらを合わせると合計28バース、約21,000m2という国内最大級のバスターミナルになる。

チケットカウンター。路上に点在するバス停だとこうした施設が利用できないのも問題だった

バスターミナル東京八重洲の地下Aには、東京駅周辺の路上に点在するバス停や東京駅から少し離れた鍛治橋駐車場にあるバス停などの発着便が移管・集約される。なお、地下Bで発着していた便も一部が地下Aに移管される。

例えば京成バスが運行する千葉各地行きの便のうち、アクアラインを経由して館山方面に行くバス便は引き続き地下B発着だが、京葉道路を経由して千葉北東部(銚子など)に行くバス便は地下A発着に変更される。地下Aと地下Bは少し離れた位置にあるので、利用者は事前に確認が必要となる。

バスターミナル東京八重洲 地下Aはどんな場所?

バスターミナル東京八重洲のある八重洲エリアは、南北に通る外堀通りと東京駅から東に伸びる八重洲通りで、東に向いた丁字型になっている。バスターミナル東京八重洲 地下Aは、丁字北東の再開発街区「TOFROM YAESU」(東京駅前八重洲一丁目東地区)の地下1階に作られる。

八重洲地下街の案内板

今回開業する地下Aと開業済みの地下Bは、八重洲通りを挟んだ向かい側にあり、直接は繋がっていないが、八重洲地下街経由で行き来ができる。地下Aには八重洲地下街のユニクロ近くの出口21もしくは東京ラーメン横丁の近くの出口16からバスターミナル東京八重洲にアクセスできる。

地下街経由でも、地下A/Bの行き来には5分くらいかかるので、バスの発着がどちらになるか、事前確認は必須だ。

地下Aの平面図
利用者通路。バス走路を囲うようにこうした通路が1周している
乗降ゲートは自動ドアで、乗降タイミングにしか開閉しない

今回開業する地下Aは、バス走路の外周側に乗降ゲートや通路、待合室などが設けられている。バス走路の中央に地下Aと地上の道路を結ぶ斜路があり、歩行者のルートを妨げないようになっている。この構造のため、八重洲地下街からは階段などなしに、そのまま乗降ゲートになる。

地下B/Cの平面図。一体化するとかなり細長い

ちなみに地下Bはというと、八重洲地下街から1フロア下になるため、エスカレーターなどで降りる必要があるが、島型プラットホームをバス走路が囲む形状で、どの乗降ゲートも最小の移動距離で利用できる。2029年の地下C完成後は、地下Bの壁と走路の一部が撤去され、1つの巨大な島型プラットホームとして運用される予定だ。

連節バス対応などの新しい試みも

地下Aは用途の拡大を想定し、走路が大きめに作られているのも特徴となっている。コーナー部の幅員が広げられ、地上と繋がる斜路も出入り口兼用の2車線で一直線になっているため、連節バスの運用も可能だという。また、高さも最大4.1mの2階建バスにも対応しているという。

地下Aの走路コーナー部分
乗降バース、待機バース、走路があるので内部はかなり広い

ちなみに地下Bも2階建バスに対応できる高さがあるが、連節バスには対応しない。とくに地下Bと地上を繋ぐ斜路は、出入り別の狭い1車線で、2フロア分を上下するので走路が長く、途中にはコーナーもあり、普通の高速バスでも素人目にはハラハラするくらいギリギリな形状だ。

地下Aから地上に出る斜路。一直線になっていて、八重洲通りに出られる
大型バスがすれ違える幅員(通常時は歩行者の出入りには使えない)

とはいえ、地下Aも現状では連節バスや2階建バスの乗り入れが決まっているわけではないとのことだ。しかしキャパシティに余裕がある時間帯に観光バスや貸切バスの受け入れを積極的に進めていく方針だという。

高速バスはその性質上、長距離路線の夜行バスは深夜早朝、中距離路線は通勤時間帯となる朝夕に集中するが、昼間の本数は少ない。一方で観光バスは昼間がメインなので、そこでバスターミナル東京八重洲を使ってもらおう、という考えだ。

地下Aのバス出入り口

また、広い空間を活かし、災害発生時には帰宅困難者の受け入れスペースとしての利用も想定している。バスも災害時の移動手段として使われる想定だが、このバスターミナル自体も最大72時間の電力供給を可能に、災害発生時にも運用できるようにしている。

コインロッカーは大小さまざまなタイプが用意される

このほかにも地下Aにはコインロッカーも多数、設置されている。バス乗車前に八重洲地下街で食事をする際などにオススメだ。地下Bにもコインロッカーはあるが、数や規模は地下Aの方が大きい。

チケットカウンター前の待合スペース。自販機も設置されている
こちらは通路途中にある待合スペース。やや簡素

地下Aには、何箇所かの待合スペースが用意されている。売店や自販機コーナーも設置される予定だが、地下A開業のタイミングでは一部の自販機を除いて工事中となっている。

出発時刻とゲートを案内するサイネージ

バスターミナル東京八重洲は、京王バスとWill Smartが共同開発した「スマートターミナルシステム(STS)」を導入することで、運用の効率化・少人数化を実現している。こちらは地下Bでもすでに運用中だ。このシステムにより、バスの搭乗開始や乗り場変更などは各所に配置されたサイネージにリアルタイムで表示され、利用者がサイネージを見ればいつどこに行けばよいかわかるようになっている。

バス停車位置の天井に設置されている運転手向けサイネージ
乗降ゲートの外側に設置された運転手や係員向けの端末。これでターミナル運営側と連携する

こうした運行システムは、ターミナル運営側と利用者だけでなく、このターミナルに乗り入れるバス運行会社の負担も減らすことも目的としている。例えばダイヤ変更や続行便があった際には、バス運行会社がウェブ経由で変更情報を登録できる。バスの停車位置の前方には運転手向けのサイネージもあり、そこで発車タイミングなどが運転手側に知らされる仕組みもある。

高知駅前観光のフルフラット夜行高速バスの車内。こうした付加価値のある高速バスが増えることで、需要も売上も成長している

2024年の法改正によって運転手の労働時間に厳しい制限が入るようになったことで、バス・トラックの運転手は深刻な不足状態に陥っている。

高速バスはコロナ禍で減便したまま再増発しないケースもあるなど、どちらかというと減便傾向にある。一方で高速バスの市場は需要も売上も成長していて、増便したくても人手が足りない、という面もある。バスターミナル東京八重洲のような効率化は、そうした人手不足を補う狙いもある。

多数の再開発計画で賑わう東京駅八重洲周辺エリア

バスターミナル東京八重洲 地下Aの上には、2月28日に竣工した地上51階の超高層ビル「TOFROM YAESU TOWER」がある。こちらは中低層に商業施設や劇場・カンファレンス施設、医療施設が入り、9階より上がオフィスフロアとなる複合ビルだ。

TOFROM YAESU TOWERの裏手路地側
意匠のイメージ

TOFROM YAESU TOWERのある一角は、もともとは小さな雑居ビルが集まるエリアだったが、まとめて「東京駅前八重洲一丁目東地区」として再開発されている。隣接区画には雑居ビルが残っており、やや雑多な昔ながらの都会らしい町並みが残っているため、それに合わせ、TOFROM YAESU TOWER裏側の低層部はあえてビシッと平面に揃えるのではなく、雑居ビルが集まっているかのようなデコボコとした意匠としている。また、以前存在した桜並木も再現し、1階部分には通り抜けできる半屋外通路も設けられているなど、周囲の町並みや暮らしている人たちに溶け込むような作りになっているのも特徴だ。

TOFROM YAESU TOWER地上部にある通り抜け通路
TOFROM YAESU TOWERオフィスへのエントランスフロア
TOFROM YAESU TOWERの48階からの風景。周囲のビル群よりも高いので、遠くまで視界がひらけている

TOFROM YAESUの再開発地区では、バスターミナル東京八重洲 地下Aが先行してオープンする形になり、ついで2026年春に劇場・カンファレンス施設が、6月30日に医療施設(日本医科大学八重洲検診ステーション)が開業を予定している。中低層のレストランやショップは2026年秋より開業予定だ。