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Premiere Proが「Premiere」に一新 Adobe ExpressにはAI編集も

アドビは28日、「Adobe Premiere」および「Adobe Express」の最新アップデートを発表した。今回の発表より、動画編集ソフトの名称を「Premiere Pro」から「Premiere」に変更し、モバイル版とともにPremiereブランドとして統一される。

Adobe Premiere:マスク機能が進化、YouTubeとの連携も

Adobe Premiereでは、マスク機能が大幅に強化された。新たに追加された「オブジェクトマスク」(ベータ版)は、フレーム内の人物やオブジェクトをAIが自動で識別・分離し、動きのある背景も含めた特定の対象だけに、色味の調節やぼかし、エフェクトを素早く適用できる。

従来のマスク機能も再設計され、「長方形/楕円/ペンマスク」(ベータ版)はフレーム内の任意の領域を高精度に指定でき、「高速ベクターマスク」(ベータ版)はトラッキング速度を向上させ、双方向トラッキングや3Dの遠近トラッキングに対応する。

特にモザイク処理では、これまで特定フレームを直すとほかのフレーム位置もずれてしまうといった煩雑さが課題だったが、フレーム単位で個別に調整・固定できるようになり、狙った位置に正確にモザイクを当て続けやすくなった。

メディア管理面では、「メディアインテリジェンス」が拡張され、ベータ版として音楽検索や類似検索に対応した。これにより、料理シーンに対して「グリル」などと入力すると、映像素材だけでなく焼ける音のような関連音源まで候補として提示され、素材探しが効率化される。

類似検索では、プログラムモニターに映る人物と同じ人物が登場する別カットを一覧表示でき、編集前の素材選別が容易になる。このほか、Frame.io V4およびAdobe Stockのパネル統合も11月に行なわれる。

Adobe Premiereでは、YouTubeとの連携も発表。Premiereモバイル版アプリに、YouTube ショート制作に特化した新しい制作スペース「YouTube ショート用に作成」が近日中に追加される。

YouTube ショート作成画面の「Adobe Premiereで編集」アイコンから直接このスペースに移動でき、専用のエフェクトやトランジション、タイトルプリセットなどを活用して動画を作れるほか、完成した動画はワンタップでYouTube ショートとして投稿できる。

Adobe Express:AIアシスタント機能が追加

Adobe Expressでは、AIによる対話型の編集機能「AIアシスタント」(ベータ版)が導入された。ユーザーが自然な言葉で指示するだけでデザインを編集・生成できる機能で、まずはAdobe Expressプレミアムプランのデスクトップ版ユーザー向けに英語のみで提供され、一般提供時には日本語にも順次対応するとしている。

AIアシスタントは、フォントや画像、背景などデザインのあらゆる要素に対して編集でき、ユーザーがどのツールを使えばいいか、どの手順で編集すればいいかを把握していなくても、画像の生成、背景やテキストの変更、配色全体の調整、オブジェクトの置き換えといった操作を行なえる。

感覚的な指示にも対応し、「もう少し明るい雰囲気に」や「ブランドカラーにそろえて」といった曖昧な表現でも編集を進められる。

同機能は近日中にChatGPTとの連携も予定しているほか、開発者やクリエイター向けに対話型インターフェイスを通じてAdobe Express向けの機能や連携を構築できる「DevMCP Server for Adobe Express Add-ons」も導入する。