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高校生はポイント還元を「気にしない」 割り勘は「現金」が主流

MMD研究所は27日、「高校生と高校生の親のキャッシュレスの座談会」を開催し、高校生とその保護者あわせて7名が参加した。PayPayや楽天ペイなどのQRコード決済が若年層にも広がるなか、保護者と高校生の間で利用目的や意識に差があることが明らかになった。特に、保護者が重視していたポイント還元について、参加した高校生はあまり重視していないことがわかった。

参加した高校生はいずれもコード決済だけではなく、現金決済と組み合わせて利用している。利用シーンは自販機、コンビニ、飲食店などの少額支払いが中心で、保護者からPayPayなどで送金で受け取り、必要に応じてお小遣いから現金チャージして使うケースが多かった。参加した高校生は現金を持ち歩かなくても済む手軽さを理由にコード決済を選んでいる傾向にあった。

一方で、参加した高校生はポイント還元について「意識していない」という声が多数を占めた。高校1年生の小林さんは、「PayPayのチャージは親が行なっているが、ポイントは意識していない。自販機や昼食の支払いなど、使いやすいから使っているという」と語る。また、高校3年生の田中さんは「ポイントがどれだけ貯まっているかは把握していない。気づいて貯まっていることが分かったら、アプリの課金に使っている程度」と話した。高校1年生の山田さんは「ポイントを意識していない。残高がなければ現金を使っている」、「楽天ポイントを貯蓄して投資に回しているが、PayPayのポイントはあまり使っていない。オンライン決済はPayPay、街中では楽天ペイが多い」(高校3年生 佐藤さん)と、場面ごとに使い分けている様子だった。

保護者側では、ポイント制度やキャンペーンを決済手段選びの要素として重視する傾向がみられた。楽天市場やd払いの活用により、還元率を比較しながら使い分けるケースもある。小林さんの保護者は「楽天市場の買い物でポイントをまとめて使っている」としたほか、田中さんの保護者も「地域限定のPayPayキャンペーンを確認してから決済している」と語った。ポイントは「家計全体に還元されるもの」と捉えている保護者も多い。

また、送金機能に関しても、家庭内での利用が進んでいた。PayPayや楽天ペイの請求リンク機能を活用し、親から子どもへの送金に使われている。「財布に現金がないときに『PayPayで送って』と連絡があれば即時に対応できる」「請求リンクを使えば、送金の記録が残るので管理しやすい」といった利便性が評価されていた。

一方、高校生の友人同士での送金や割り勘においては、現金によるやりとりが依然として主流。参加者の多くが「送金機能は知っているが、周囲で使っている人は少ない」「相手が対応していないと使いにくい」「現金だとシンプルで分かりやすい」といった理由で利用機会が限られていると述べた。

高校生のコード決済利用は、スマートフォンさえあれば支払いが完結する利便性が支持されていた。ポイントや送金機能などの付加価値機能に関しては、実際に活用しているのは主に保護者であり、若年層にはまだ広く根付いていなかった。

同研究所は「高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査」の結果を7日に公表している。同調査では、「高校生が直近半年に利用した決済方法(複数回答可)」では92%が現金を選択、QRコード決済は50.8%だった。さらに高校生における送金機能の利用状況については、34.7%にとどまり、その多くが「家族間送金」であることが明らかになっている。

座談会の終盤では、紙幣にまつわる俗称にも話題が及んだ。若い世代を中心に、1万円札を「ユキチ(福沢諭吉)」と呼称することは以前から広まっていたが、新紙幣への切り替えにより、現在では「エイイチ(渋沢栄一)」と呼ぶ高校生もいるという。ただ、呼称については「ユキチ」と「エイイチ」、場合によっては「万札」が混在して使われているようだ。