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千歳烏山の団地がマンションに再建されるまで 築50年の物件を建替え
2025年7月23日 21:02
旭化成不動産レジデンスと丸紅都市開発は、1971年に建設された団地・給田北住宅の建替え事業による再建マンション「アトラスシティ千歳烏山グランスイート」が7月31日に竣工すると発表。旭化成不動産レジデンスはメディア向け内覧会を実施した。
両社が参加組合員として参画し、給田北住宅マンション建替組合とともに進めてきた事業。耐震性不足の老朽マンションの建替えを促進するマンション建替え円滑化法第105条に基づき、団地における容積率緩和が全国で初めて適用された事例となる。なお同法第105条では、耐震性不足による要除去マンションの認定を受けたマンションの建替えにあたり、一定の敷地面積を有し、市街地の環境の整備改善に寄与するものについて、容積率制限を緩和できる。
所在地は東京都世田谷区給田3-9-1,2で、京王線 千歳烏山駅から徒歩9分。敷地面積は13,247m2。杜ノ棟と風ノ棟の2棟構成で、いずれも地上4階・地下1階、延床面積は杜ノ棟が10,113.21m2、風ノ棟が10,022.07m2。戸数は計248戸。
建替え前の物件は1971年12月20日竣工で、再生マンションと同様に2棟構成。7階建て、171戸で、東京都住宅供給公社が分譲にて供給していた。
再生検討のきっかけとなったのは2011年の東日本大震災。ひび割れ等の被害があり、翌12年に耐震診断を実施した結果、建物の耐震性基準を満たさないことが判明し、給田北住宅管理組合が中心となり再生プロジェクト委員会を発足して検討に入った。
旭化成不動産レジデンスと丸紅都市開発が建替えに携わることになったのは18年。17年に組合が事業協力者の募集を行ない、両社のグループを選定して、合意形成を推進することとなる。
21年5月には団地の一括建替え決議が行なわれ、団地所有者167名に対し、賛成151、非賛成16と、賛成者90%で可決となった。非賛成者16名については、14名が建替えに参加、2名はマンション建替組合から売渡請求権行使し、権利を買い取る手続きを行なった。
従前の物件は7階建てだったが、後に「第一種低層住居専用地域」へと都市計画が変更され、10mという高さの制限が設けられた。これに対し、居住者以外も通れる貫通通路の設置等の工夫により、高さ制限が12mへと緩和。これにより4階建ての設計が可能となった。
容積率緩和については、耐震性不足を認定された要除去マンションを対象に、隣地からの隔離や空き地の確保など、様々な設計上の条件を満たすことで特例の対象となる。アトラスシティ千歳烏山では居住者以外にも開放する歩道状敷地や広場状空地を設けることなどで容積率の特例の許可を適用したことにより、指定では100%程度のところ、約140%の容積率を可能とした。
杜ノ棟は敷地面積6,045.35m2、容積対象延床面積8,298.50m2で、容積率は137.27%、風ノ棟はそれぞれ5,986.93m2、8,392.70m2で、容積率は140.18%となる。
アトラスシティ千歳烏山グランスイートの住環境
アトラスシティ千歳烏山グランスィートの設計のポイントは、武蔵野の面影を残す緑のネットワーク、周辺環境との調和を図った邸宅性の高いデザイン。温かみのあるレンガ調のタイルや、アースカラーを基調としたヴィンテージ感のある色調を採用している。
高さや容積率の緩和に寄与した貫通通路、歩道状空地、広場状空地に加え、敷地内の中庭の緑化を図り、開放的なランドスケープを形成。各棟間の視認性の高い場所にはシンボルツリーとしてシダレザクラを植栽した。
住民間のコミュニティ醸成を図り、居住者同士で交流できる専用のアプリ「GOKINJO」を導入。情報交換に活用できるほか、マンション内イベントの企画・運営、管理会社や理事会からのお知らせなどにも利用できる。
リアルな場としては、中庭が住民の憩いと交流の場となるとしているほか、コミュニティスペース、集会室、杜ノ棟の屋上「コモンテラス」を設置した。
そのほか、入居者が不在でも配達員が入館して住戸前に置き配ができるシステムを導入している。
間取りは1LDK~4LDK、専有面積は39.6~90.98m2。なお従前の物件の間取りは3DK、50.25~57.53m2。
販売価格は、3LDK・70m2前後で9千万円前後など。24年2月に販売を開始しており、25年7月23日時点で残4戸となっている。















