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LINEヤフー「真の統合」に向けたクラウド基盤「Flava」 AIエージェント加速
2025年6月30日 15:54
LINEヤフーは、グローバルを含むグループ企業のエンジニア等によるカンファレンス「Tech-Verse 2025」を6月30日から7月1日まで開催する。30日の基調講演では、LINEヤフー の朴 イビンCTOと、執行役員 サービスインフラグループ長の冨川 修広氏が経営統合後のインフラ投資や、AIエージェント展開について説明した。
「Tech-Verse 2025」はLINEヤフーの開発体制や開発環境などを社内外に共有するカンファレンス。基調講演では、LINEとヤフーのプラットフォーム統合の進捗とともに、新たな基盤となるプライベートクラウド「Flava」を紹介。また、全てのサービスをAIエージェント化する方針などが語られた。
真の統合へ 新プライベートクラウド「Flava」
LINEヤフー 執行役員 サービスインフラグループ長の冨川修広氏は、統合過程での課題を踏まえた大規模なプラットフォーム統合について説明した。
2023年に経営統合したLINEヤフーだが、統合前は、別の技術、エンジニア、設備により大規模なITサービスが展開されていた。ただし、AWSやGoogle Cloudのような「パブリッククラウド」ではなく、自社構築の「プライベートクラウド」で運用されてきた。
プライベートクラウド導入の理由について、富川氏は「圧倒的なコストメリット」とし、平均で4倍ほどの価格差があるとする。LINEヤフーでは、50万以上のサーバーと、3TBpsのトラフィック、1.2Ebyteのデータを扱う巨大なインフラが必要となるが、「この規模だから信頼できるパートナーと共同で構築し、徹底的なコスト削減を図っている」とする。また、約300のプラットフォームを1,700名という少数精鋭で運営できているという。
一方、300以上のプラットフォームを展開しているほか、日本、韓国、台湾、ベトナム、タイなどアジア地域で幅広く事業を展開しているため、共通項を横断的に運用できる仕組みが必要となる。その基盤となる「CatalystOnePlatform」では、LINEとヤフーの2重環境の解消やセキュリティ強化、イノベーション加速など新たなサービスを生み出すためのインフラとして進める。
LINEとヤフーの2重環境解消を目指したプライベートクラウドが、コードネーム「Flava」と呼ばれる新たな基盤だ。パブリッククラウド比較で概ね20%の性能向上を図れるほか、セキュリティ等の向上も見込まれている。すでにいくつかのサービスで、Flavaを導入しており、最適化と機能拡張を進めている段階。今後、機能性、性能、セキュリティ性の向上とコスト効率の向上により、結果としてLINEヤフーのサービス品質向上が図れるとした。
あわせてデータや機械学習(ML)インフラも刷新。LINEとヤフー個別に存在していたデータを集約し、「真の統合を目指す」とした。
LINEヤフーの全サービスが「AIエージェント」化
こうした新たな基盤のもとでLINEヤフーが進めるのが、「全てのサービスのAIエージェント化」と「生産性を2倍にする」という目標だ。
2025年度からAIエージェント化をすすめ、1,000万以上のエージェントを構築。Yahoo! JAPANアプリによるAIアシスタント、Yahoo! ショッピングによる還元率を自動で計算提案する「スペシャルオファー」やプロダクト比較、LINEにおける「LINE AI」や今後登場予定の「LINE AI Friends」などを紹介した。
そのうえで、各サービスに「AIエージェントロゴ」を付与。ユーザーからもわかりやすいAIサービスを作っていく。
サービスのAIエージェント化は、2025年度から順次進め、各アプリでAI機能を導入しながら、重複する機能などを整理していく方針。
現在、AIの効果を生んでいる部分は「カスタマーサポート」。LINEヤフーの9つのサービスにおいて、月間8,000件のメールの問い合わせの92.1%がAIによる返答で完了できているという(3月時点)。業務においては「Scout」という多言語通訳ツールを開発し、日本語、英語、韓国、タイ語など異なる言語間での社内コミュニケーションを活性化している。
社内の人事や財務、法務などの情報をAIで整理する「SeekAI」などの導入を進めているほか、開発者向けには「Ark Developer」とよぶツールを導入。UIデザインからコードを自動生成する「UI to Code」やコードレビュー、Code Assist、ドキュメントの自動作成「Docs」、オートテスト、「QA Support」などを統合し、Ark Developerの導入により、25年度で10~15%の開発生産性向上が図れるという




















