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日本橋川沿いの5つの再開発+首都高地下化一体の「日本橋リバーウォーク」

日本橋川沿いの5つの再開発を推進する事業者および首都高地下化を進める首都高速道路は、周辺一帯を指すエリア「日本橋リバーウォーク」について、4月1日に法人組織として「一般社団法人日本橋リバーウォークエリアマネジメント」を発足。街づくりのプレゼンテーション拠点「VISTA」を6月16日に開設し、情報発信を本格的に開始する。

日本橋川沿いでは竣工予定順に、「日本橋一丁目中地区」「八重洲一丁目北地区(通称:呉服橋プロジェクト)」「日本橋室町一丁目地区」「日本橋一丁目東地区」「日本橋一丁目1・2番地区」の、5つの再開発事業が進められている。中地区が26年竣工、呉服橋プロジェクトが29年度から順次竣工、そのほかは31年度から順次竣工を予定している。

日本橋リバーウォークで行なわれる5つの再開発事業

再開発のイメージパース

日本橋一丁目中地区
八重洲一丁目北地区(呉服橋プロジェクト)
日本橋室町一丁目地区
日本橋一丁目東地区
日本橋一丁目1・2番地区

計画地の現在の様子

日本橋一丁目中地区
八重洲一丁目北地区(呉服橋プロジェクト)
日本橋室町一丁目地区
日本橋一丁目東地区
日本橋一丁目1・2番地区

5つの再開発に加え、首都高速道路日本橋区間地下化事業が進められている。都心環状線の神田橋JCTから江戸橋JCTに至る1.8kmの区間を地下化するという計画で、35年度の地下ルート完成、40年度には現在の高架部撤去等まで完成の計画。

2025年現在の日本橋付近の景観イメージ。首都高速道路の高架橋が日本橋を覆う
2040年ごろには高架橋が撤去される予定
日本橋の頭上に首都高がある
日本橋から日本橋川を望む
日本橋頭上の首都高と建設が進められている日本橋一丁目中地区

日本橋リバーウォークは、5つの再開発区域とその周辺一帯を指すエリア名称で、首都高地下化と再開発事業が連携し、空と川に開かれた街づくりを国・東京都・中央区・首都高・再開発事業者を始めとする民間事業者、および地域が一体となって進めている。5つの開発区域を合わせた面積は約11haで、広大な親水空間を創り出すことで、日本橋・八重洲エリアが東京の“水都”としての新しい顔となることを目指す。

新たに開設される拠点「VISTA」に展示されている首都高地下化後の模型。手前を流れるのが日本橋川
2040年頃首都高速道路の高架橋が撤去された後のイメージ
夜景イメージ

日本橋川沿いのインフラ整備と街づくりの中で、日本橋リバーウォークでは以下の6つの重点課題に取り組む。

  • 東京の新しいランドマークとなる景観形成
  • 環境や生態系の確保による豊かな水辺の再生
  • 国内外の注目を集める国際都市へのさらなる進化
  • 高速道路機能の維持、舟運の活性化など交通利便性の維持・向上
  • 地域が育んできたイノベーションの連鎖の促進
  • より多様な文化・産業の創出

取り組みを通じて、「水と緑 広がる街」「東京の新しい顔」「創る人 支える街」の3つのテーマを実現する街づくりを目指す。

江戸時代に整備された日本橋川と1964年に整備された首都高

「水と緑 広がる街」を目指す背景には、日本橋川の歴史と、高度経済成長期に建設された首都高など時代とともに変化してきた日本橋川沿いの景観がある。

1603年に徳川家康が江戸幕府を開いて以降、五街道と水路網が整備された。全国の物流と移動を支えた水運の中心を担ったのが日本橋川で、川沿いの魚河岸や娯楽の場は人々で賑わい、生活の中心だったという歴史がある。

近代に入り、魚河岸の物流は次第に陸路へと移行し、川沿いには近代建築やガス灯など時代を象徴する景観が生まれた。1964年の東京オリンピック前には都心の渋滞解消を目的に、日本橋川上空に首都高速道路が建設され、川沿いの景観は概ね現在の姿となった。

19世紀の日本橋から見た魚河岸(画像提供:イマジンネット画廊)
1920年代初めの日本橋(画像提供:ⓒクリスチャン・ポラック コレクション/ⓒCollection Christian Polak)
VISTAに展示されている「江戸の水路と首都高速道路」

首都高は建設から60年以上が経過し、老朽化が進んでいる。そのため「首都高の整備」と「日本橋川沿いの景観のありかた」を巡り、議論や検証を行なうため多くの有識者会議が開催されてきたほか、官民多様なプレイヤーがこの2つのテーマに向き合い、首都高地下化のプロジェクト決定に至った。

日本橋リバーウォークでは、街が川に向かって再び開かれ、人・川・街が一体となった都市空間「水と緑 広がる街」を整備。人と川の距離が近づく居心地よい親水空間を創出するほか、水質改善や陸域での緑地環境も整備し、自然との共生を目指した水辺とする。

「東京の新しい顔」に向けては、再開発を通じて、商業、オフィス、居住環境のさらなる充実、ラグジュアリーホテルやサービスアパートメント、ホールといった都市機能の整備を推進。もともと職住近接の街だったが、国際的なMICEにもふさわしいビジネスの街への進化を図る。加えて、水辺の魅力を活かしたイベントや舟運など、観光面でも世界が注目する“水都”を目指す。

再開発の推進により回遊性が向上
水辺の都市空間イメージ

「創る人 支える街」については、日本橋・八重洲エリアは江戸時代から、イノベーションの街として全国から集まる挑戦者を受け入れ、支えてきた街であり、当時の「イノベーター」が現代の「老舗」となり、新たな挑戦者を受け入れて成長を重ねてきたという。日本橋リバーウォークでは、金融・ライフサイエンス・宇宙・食など様々な領域の挑戦者がこのエリアに集う場となることを目指す。

街づくりのプレゼンテーション拠点「VISTA」

VISTAは、首都高速道路および三井不動産、東京建物、東急不動産が共同で運営するプレゼンテーション拠点。街づくりの全体像に加え、地上と地下が一体となり開発される特徴を、映像や模型などの多様なツールを通じて発信する。

VISTA

首都高地下化工事の概要や特徴、日本橋・八重洲エリアの地域資源やエリアの可能性を示したグラフィック展示も展開する。

模型では地上部だけではなく地下を走る首都高や鉄道なども光の演出で表現している
首都高地下化に関する展示

運用開始日は6月16日。所在地は東京都中央区日本橋室町1丁目8-3 室町NSビル3階。開館時間は平日の10時~11時、11時30分~12時30分、14時~15時、15時30分~16時30分。事前予約制。

VISTA内の撮影・録音は禁止で、記事中の写真は許可のもと撮影している。

室町NSビル(写真中央)。日本橋室町一丁目地区再開発エリア内に位置する
VISTAから見た日本橋一丁目中地区の様子