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スターシップ、3連続でのミッション失敗 ブースター再利用はほぼ成功
2025年5月28日 15:19
SpaceXは27日(現地時間)、超大型宇宙輸送システム「スターシップ」の9回目となる飛行試験を実施した。初めてブースターの再利用を試みるとして注目されていたスーパーヘビーブースターの試験にはほぼ成功したものの、スターシップについてはトラブルが発生し、三回連続でのミッション失敗となった。
今回打上げに使われたスーパーヘビーブースターは、7回目の飛行試験で使用して帰還したものを再利用したもので、ブースターの再利用は史上初。ブースターのほとんどが流用され、33基のラプターエンジンのうち、29基が前回飛行したものをそのまま使用している。
今回の飛行試験では他にもいくつかの新しい試みも行なわれた。ブースターは降下開始前の減速時、機体を反転させてからブースターを点火することで減速を行なってきたが、これまで反転する方向はランダムで制御されていなかった。今回の飛行テストではこれを制御された反転として、意図した方向に反転させることに成功。これによって、使用燃料が削減できるようになる。
その後、より減速をスムーズにするため、進行方向に対してこれまでよりも高い迎え角を維持する実証にも成功。これにより空気抵抗を増やし、減速に貢献することで消費燃料の削減に繋げる。
今回、スーパーヘビーブースターは回収を行なわないため、機体はこの後、アメリカ湾(メキシコ湾)の着水予定域に向かいながら、中央リングとミドルリングに搭載された13基のラプターエンジンを再点火した。しかし、着陸噴射の開始直後、打上げから約6分後に予定外の急速な分解が発生し、機体が炎にまみれて通信が途絶えている。
スターシップについては分離後、6基のラプターエンジンの点火に成功し、上昇を続け、予定されたタイミングでエンジンをカットオフすることにも成功した。この後、次世代スターリンク衛星のダミーを放出する試験や、単一のラプターエンジンの再点火などの計画がされていたが、スターシップのペイロードドアが開かず、ダミー衛星の放出に失敗。その後、姿勢制御エラーも発生し、スターシップは再突入予定位置に到達することができないため、自動安全化プログラムによって残留推進剤などを放出したのち、再突入を実施。約46分後に通信が途絶えている。破片はインド洋に計画された危険区域内に落下するという。
今回の飛行試験はロケットの再利用に向けた大きな節目とされ、今回得られたデータから次期スターシップやスーパーヘビーブースターに向けた新たな改良が行なわれる見込み。
SpaceXのイーロン・マスクCEOは自身のXで「次の3回の打上げ頻度は約3~4週ごとに1回のペースになる」とし、より打上げペースを上げていくことを表明している。
Starship made it to the scheduled ship engine cutoff, so big improvement over last flight! Also, no significant loss of heat shield tiles during ascent.
— Elon Musk (@elonmusk)May 28, 2025
Leaks caused loss of main tank pressure during the coast and re-entry phase. Lot of good data to review.
Launch cadence for…