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スターシップ、史上初の"ブースター再利用"実現へ 28日に打上げ

出展:SpaceX

SpaceXは、9回目となる超大型宇宙輸送システム「スターシップ」の打上げを、早ければ5月27日に行なうと発表した。打上げウィンドウは米国時間18時30分から(日本時間5月28日9時30分)。

スターシップは8回目の打上げを3月6日(現地時間)に行ない、スターシップ本体は制御不能で空中分解を起こしていたが、スーパーヘビーブースターについては無事に3回目の着陸を果たしている。今回の打上げでは信頼性を向上するためのさらなるアップデートが行なわれている。

今回は、使用済みのスーパーヘビーブースターを初めて実際に再利用する試みが行なわれる。スターシップでは元々、スターシップ本体やスーパーヘビーブースターについても再利用することを前提として開発が続けられているが、実際に一度打ち上げたスーパーヘビーブースターを再度打ち上げるのは今回が初めての試みとなる。

打上げに使用されるのは7回目の打上げで帰還したブースター。帰還後に徹底した検査が行なわれ、ハードウェアの健全性を評価し、必要な部品を交換している。たとえば、アブレーション熱シールドなどの使い捨て部品は交換済みで、33基のラプターエンジンのうち29基は前回と同様のエンジンが再利用される。今後はさらに開発を進め、将来的には再利用によって1日に複数回の打上げを実現するのが目標。

なお今回の打上げでは、ブースターの回収は行なわず、打ち上げ後に新たな試験を行なって着水する予定。ブースターはこれまで、スターシップとの分離後に機体を反転させてエンジンに点火することて減速を行なっていたが、これまで反転する方向は制御されておらず、ランダムだったという。今回の試験では意図した方向に制御された反転を行ない、これによって予備燃料の使用量などを減らす狙いがある。

また、降下中にはこれまでよりもより高い迎え角で飛行を行なう。進行速度に対して迎え角を大きくすることで機体の空気抵抗を増やし、降下速度を低下。結果として着陸時に必要な推進剤の量を削減する。

着陸寸前にはエンジンについての実証も行なう。着陸の最終段階で使用される3基の中央エンジンのうち1基について、中間リングのバックアップエンジンが着陸噴射を完了できるかどうかのデータを収集するため意図的に停止。着陸噴射終了時には中央エンジン2基のみに切り替え、最終的にアメリカ湾(従来のメキシコ湾)上空で停止し、着水する予定。

前回空中分解したスターシップは、前回行なわれなかった飛行試験を再度実施。次世代スターリンク衛星と同等の8基のスターリンクシミュレーター(ダミー)の展開や、将来スターシップが発射場に帰還するためのデータ収集を目的とした実験などが行なわれる予定。