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Amazon版スターリンク「プロジェクトカイパー」配備開始 9日打上げ

Amazonは、低軌道衛星による衛星コンステレーション「Project Kuiper(プロジェクト・カイパー)の本格配備に向け、27基の衛星を4月8日(米東部夏時間)12時(日本時間4月9日1時)に打上げる。ミッション名は「Kuiper アトラス1(KA-01)」。

打上げは米国のユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のアトラスVロケットによって行なわれ、衛星は高度280マイル(450km)の地球周回軌道に投入される。

Project Kuiperは、SpaceXの衛星コンステレーション「スターリンク」と同様に、地球上のほぼすべての場所・地域に高速かつ低遅延のインターネットを提供することを目指す低軌道衛星。25年後半には、サービスの提供を開始する予定で、プロジェクトの第1世代衛星システムとして3,200基以上の低軌道衛星を打上げる計画。

この初期コンステレーション配備には、1回の打ち上げごとに数十基ずつ、合計80回以上の打上げが行なわれる予定。「KA-01」は、本格的な導入プロセスの中の第一歩になる。

今回打上げられる衛星は、2023年10月に打上げられた2基の試作衛星から大幅にアップグレードしたもので、フェーズドアレイアンテナ、プロセッサ、太陽電池アレイ、推進装置、光衛星間通信システムなど、あらゆるシステムのパフォーマンスが向上している。

さらに、Kuiper独自の誘電体ミラーフィルムでコーティングされ、反射した太陽光を分散することで、地球から宇宙を観測する天文学者からの可視性を低減する。

Project Kuiperの衛星の積載量は、ULAのアトラスVロケット史上最重量となるため、ULAはアトラスVを最も強力な構成で打ち上げる。ロケットには、メインブースターのほかに5つの固体ロケットブースターが搭載され、積載量は高さ77フィート(23.5m)、幅16.4フィート(5m)となる。

2023年に行なわれたProject Kuiperのプロトフライト打ち上げの様子

今回の目的は軌道投入後に衛星が単独で起動し、地上のKuiperチームと通信ができるようにすること。分離からシステムが作動するまではほぼ自動で行なわれ、衛星の電気推進システムにより地上392マイル(630km)の軌道まで上昇する。衛星は軌道上を時速17,000マイル(時速27,359km)以上の速度で移動し、約90分ごとに地球を一周する。

衛星が上昇プロセスを完了するまで、最終的なミッションとなるエンドツーエンドのネットワーク接続を実施。地上にあるユーザーのターミナルアンテナと衛星の間でインターネットによる相互通信ができることを確認する。

今後数年をかけ、アトラスVによる打ち上げを7回、ULAの大型ロケットであるバルカン・ケンタウルスによる打ち上げを38回実施する予定。さらに、欧州のアリアンスペース、米国ブルーオリジン、SpaceXなどによる30回以上の打ち上げを計画している。

次回の「KA-02」についても同じくアトラスVロケットが使用され、米国のケープカナベラルから打上げられる。