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大手テック企業規制へ スマホソフトウェア競争促進法案が閣議決定

政府は26日、スマートフォンのOSなどを手掛けるGoogleやAppleら大手テック企業の規制を想定した新たな法案を閣議決定した。

閣議決定された「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案」は、スマートフォンが国民生活や経済活動の基盤となっている中で、そのOSやアプリストア、ブラウザ、検索エンジンなどの「ソフトウェア」における市場競争環境の確保を狙うもの。

スマートフォンのOSやブラウザ等、社会インフラのような重要性を持つ一方で、大手事業者による寡占状態となっている。大手事業者による競争制限行為がなされると、公正で自由な競争環境が失われるが、これらの巨大市場では新規参入等による自発的是正は難しい。また、独占禁止法による個別対応では長い時間を要するため、公正で自由な競争を回復することも困難とする。そのため、スマートフォンのOS、ブラウザ、アプリストアなどにおいて、セキュリティの確保等を図りながら、競争を通じた市場活性化や多様なサービスの選択が可能な環境の整備を目指す。

具体的には、公正取引委員会が、OS等の「特定ソフトウェア」を提供する事業者のうち、ソフトウェアの種類ごとに、一定規模以上の事業を行なう場合に規制対象事業者として指定する(指定事業者)。

指定事業者は、一定の行為の禁止(禁止事項)や、一定の措置を講ずる義務付け(遵守事項)が定められる。主な禁止・遵守事項は、「他の事業者のアプリストア提供を妨げない」、「他の課金システムの利用を妨げない」、「デフォルト指定を簡単な操作で変更できるようにする」など。


    【主な禁止事項と遵守事項】
  • 他の事業者がアプリストアを提供することを妨げてはならない
  • 他の課金システムを利用することを妨げてはならない
  • デフォルト設定を簡易な操作により変更できるようにするとともに、ブラウザ等の選択画面を表示しなければならない
  • 検索において、自社のサービスを、正当な理由がないのに、競争関係にある他社のサービスよりも優先的に取り扱ってはならない
  • 取得したデータを競合サービスの提供のために使用してはならない
  • アプリ事業者が、OSにより制御される機能を自社と同等の性能で利用することを妨げてはならない

指定事業者には、毎年の報告書の提出を求める。違反が認められる場合は、勧告・命令のほか、国内での売上の20%を課徴金として課す措置などを盛り込んでいる。

独占禁止法とは異なり、指定事業者やアプリ事業者など、ステークホルダーと継続的に対話しながら、ビジネスモデルの改善を求める新たな規制とする。

EUや米国でも、デジタルプラットフォーム事業者による市場支配に対した規制が導入されており、EUでは3月からデジタル市場法(DMA)の本格的運用が開始、米国においても司法省によるプラットフォーム事業者の提訴などの動きがある。こうした流れにあわせ、日本でも新たな法律の枠組み構築をはじめる。同法案は、今国会での成立を目指しており、法律が公布されてから1年半以内の施行を予定している。