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三井不動産、ALL木造カーボンゼロのマンション

外観

三井不動産レジデンシャルと三井ホームは、脱炭素社会の実現に向けた、三井不動産グループ初となる4階建てALL木造カーボンゼロ賃貸マンション「パークアクシス北千束 MOCXION」が8月31日に竣工したことを発表した。

「木」を構造材に用いることにより、鉄筋コンクリート(RC)造と比較して建築時のCO2排出量を約50%に削減した。また、再生可能エネルギーの一括受電とオール電化により、入居中のCO2排出量を実質ゼロとして環境と共生するすまいを実現し、グループとしてカーボンニュートラルへの新たな取り組みを進めているという。

パークアクシス北千束 MOCXIONの特徴は以下の3つ。

  • ALL木造・高断熱・高気密の地球環境にやさしい賃貸マンション
  • 入居中のCO2排出量実質ゼロ・創エネを実現
  • 「LEED認証」「優良木造建築物等整備推進事業」に採択

ALL木造・高断熱・高気密の地球環境にやさしい賃貸マンション

同物件は、三井ホーム「MOCXION」の技術を採用し、1階から4階の全フロアの構造部材で木を使用したALL木造マンション。木造はRC造に比べて製造時や加工時、建物建設時に必要とされるエネルギーが少ないため、CO2排出量を約50%削減した。また、「木」の熱伝導率はコンクリートの1/10、鉄の1/350と、熱を伝えにくい特性があることに加え、三井ホーム独自の高断熱・高気密の技術を最大限活かすことで、冷暖房の消費を大幅に抑えることが可能となり、省エネルギー性能が向上したという。

さらに、「木」ならではの安らぎを共用部で感じられるよう、共用ラウンジの壁面に三井不動産グループ保有林から採取した木材を使用。三井不動産グループでは北海道の道北地方を中心に約5,000haの森林を保有・管理しており、木造賃貸ビルや木造住宅などの主要部材、各施設の仕上げ材などに積極的に活用するなど、森林保全活動や木材の利活用を通じて、建築資材の自給自足および森林資源と地域経済の持続可能な好循環の実現を目指している。

共用ラウンジ壁面

屋根には断熱構造材であるダブルシールドパネルを採用。母屋や小屋束から構成される従来の木造建築の小屋組とは異なり、広い空間を作れるため、小屋裏空間を有効利用したロフトを4階の一部住戸に実現した。また、屋根構造体自体が優れた断熱性能を発揮するため、物件全体の断熱性を向上させることに加え、屋根の温度変化の影響が大きいロフト空間でも、快適なくらしを実現したという。

ロフト_402号室

外観デザインとアプローチについては、木目のバルコニースラブと縦ルーバーを外観デザインの軸として、「木」を強調するデザインで統一。1階のエントランスから建物内部のアプローチ、ラウンジ、廊下等に木目調デザインを配置し、外から中への連続性を強調した。また、アプローチ上にある植栽は季節で葉色の変化がある植種を選定し、季節毎の美しさが感じられる植栽計画とした。

バルコニー・縦ルーバー
木調庇
アプローチ
植栽

共用ラウンジ壁面のアートには、国産広葉樹を用いた作品を採用。既存の木材流通ではチップや燃料となる広葉樹をアートとして再生させることで、入居者に「木」をより身近に感じてもらうことが狙い。

広葉樹アート

さらに1階の風除室からエントランスホール、共用部ラウンジの天井は、天然木である赤樺で仕上げた。風除室から、ラウンジ・エレベーターホールまでの動線を赤樺特有のインパクトのあるカラーで統一感を出すだけでなく、天然木ならではの自然な色合いや色の変化が楽しめる空間を創出したという。

共用ラウンジ天井

宅配ボックスには、扉に木製エコ素材の両面化粧パーティクルボードを使用した「グリーンハイブリッドボックス」を採用。本体のパーティクルボードが木質廃材を破砕して活用している環境保全型のエコ素材であることに加え、表面に使用している低圧メラミン化粧層は耐熱・耐汚染・耐摩耗性に優れてるため、従来の宅配ボックスと比較してエコな製品となっている。

グリーンハイブリッドボックス

入居中のCO2排出量実質ゼロ・創エネを実現

同物件は非化石証書付きの再生可能エネルギーを一括受電する。あわせて、オール電化にすることにより、入居中の建物から排出されるCO2排出量を実質ゼロとすることに成功した。

また、給湯設備にはエコキュートを採用。エコキュートは大気熱を利用してお湯を沸かすため、電力使用量が抑えられ、環境にやさしいことに加え、災害時はタンク内の水を生活用水にも利用可能となる。

さらに、物件敷地内で電力を創出するため、屋上には54枚、総面積139.32m2の「太陽光パネル」を設置。これにより、共用部の想定使用電力量を上回る年間約29,566kwhの電気を創出予定。また、電力供給がストップした時には、太陽光パネルで発電した電気を入居者に無償で提供できるよう、共用ラウンジに非常用コンセントを設置し、緊急時も携帯電話の充電等に電力を使用可能としている。

太陽光パネル

「LEED認証」「優良木造建築物等整備推進事業」に採択

同物件は、「環境負荷の低い『木』の構造材採用」、「再生可能エネルギーの一括受電」、「オンサイト太陽光の有効活用」等の環境に配慮した多様な取り組みを行なっていることから、国際的な環境認証の「LEED-BD+C NC(新築部門)」のゴールドランクの予備認証を国内の賃貸マンションで初めて取得。

加えて、断熱性能の高い「木」を構造材に使用するとともに、LOW-E複層ガラスやLED照明の採用による省エネ性能の向上、オンサイト太陽光の活用により、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)に基づく評価「ZEH-M Ready」を取得した。

さらに、国土交通省がカーボンニュートラルの実現に向け、炭素貯蔵効果が期待できる木造の中高層住宅・非住宅建築物に関する優良なプロジェクトに対して支援を行なう制度である'22年度「優良木造建築物等整備推進事業」に採択された。

同物件の所在地は東京都大田区北千束二丁目14番3。敷地面積は731.47m2。建築面積は509.56m2。延床面積は1,666.01m2。間取りは1DK~2LDK。専有面積は28.12~54.95m2。総戸数は33戸。