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新マイナンバーカード'26年度導入へ 重点計画が決定

政府は6日、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を決定した。券面の刷新などを含む「次期マイナンバーカード」の検討を開始する。次期マイナンバーカードは2026年中の実現を目指す。

「デジタル社会のパスポート」と位置づけるマイナンバーカードについては、「利便性向上」「機能向上」「安全安心対策」の3本柱で推進する。

今回、公表されたのが「次期マイナンバーカード」についての検討だ。マイナンバーカードの発行開始(2016年1月)から10年を迎えるタイミングを目処に、現在指摘されている課題や新たな技術を盛り込みながら、2026年度中の導入を目指す。

具体的な検討事項としては、券面デザインの変更を想定している。現在、券面掲載事項として、性別、マイナンバー、かな、国名、西暦等を記載しているが、性別の表示を望まない声が高まっており、またマイナンバーの券面記載についても「不安」という声が多いとする。券面記載事項の変更などは法改正が必要となるため、今年度中に「次期マイナンバーカードタスクフォース(仮称)」を立ち上げて検討を開始する。

現行のマイナンバーカード

タスクフォースにおいては、暗号アルゴリズム、偽装防止技術を含めた券面デザインの見直し、性別、マイナンバー、国名、西暦等の券面記載事項、電子証明書の有効期間の延長、発行体制の在り方、マイナンバーカードの公証名義等についての検討を予定している。法改正が必要な場合は、次期通常国会への法案提出を目指す。

カードの機能向上については、「カードの更新のオンライン化」の検討も進める。現在、マイナンバーカードの更新時も役所等に出向いた本人確認が必要となるが、オンラインで更新を実現する仕組みについて検討する。2016年のマイナンバーカードの発行開始から10年を迎えるタイミングとなり、更新も増えていくことから、新たなカードとともに更新しやすい環境も整備していく。一定の期間は従来カードと新カードが併存する見込み。

また、非対面の本人確認手法について、マイナンバーカードによる公的個人認証に原則一本化することも検討。運転免許証等を送信する方法や、顔写真のない本人確認書類などを廃止していく。また、対面においても公的個人認証による本人確認を進め、本人確認書類のコピーは取らない形を目指す。

重点計画では、マイナンバーカードの機能拡充と安全安心対策についての工程表も公開している。

利便性向上については、健康保険証との一体化を進めるほか、運転免許証や外国人の在留カードの一体化などで、利用シーン拡大を図る。また、介護保険証のペーパーレス化、ハローワークでの受付ペーパーレス化、「ねんきん定期便」のマイナポータルのプッシュ通知、オンライン市役所サービスの充実など、マイナンバーカードによる手続きの簡素化を進める。

5月からAndroidスマートフォンへの電子証明書機能の搭載がスタートしているが、iOS対応も進める方針。電子証明書の機能だけでなく、券面入力補助機能など、マイナンバーカードの他の機能もスマートフォン搭載を目指す。

またマイナンバーカードに関連し、マイナ保険証・公金受取口座の誤登録などの問題も発生していることから対策を強化する。関係各省庁が連携や情報共有を強化し、今後予定される運転免許証の一体化などに向けた環境整備を進める。

デジタル社会の実現に向けた重点計画は、政府が迅速かつ重点的に実施すべきデジタル施策をまとめたもの。デジタル庁が中心となり、定期的にアップデートを行なう。今回の改定では、「マイナンバーカードの機能拡充」や「安心・安全対策」、「データ利活用の推進」、「地方公共団体、準公共分野におけるDX推進」などが盛り込まれてる。今回、データ利活用において、AI利活用やDFFTの推進などが追加されている。