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デジタル庁発足。「日本を作り変える覚悟でデジタル化を」

「デジタル庁」が9月1日に発足した。

デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進し、「デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げる」を目標とする。

デジタル庁のミッションは、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。」

デジタル庁 平井大臣と菅総理

主な取り組みは「デジタル社会に必要な共通機能の整備・普及」「国民目線のUI・UXの改善と国民向けサービスの実現」「国等の情報システムの統括・監理」の3点。

共通基盤の整備については、「ID・認証」を整備し、「マイナンバー(個人番号)制度」や法人向けの政府・自治体オンライン申請に使う「GビズID」などを推進する。その他政府共通のクラウドサービス環境「ガバメントクラウド」や「地方公共団体の基幹業務等システムの統一・標準化」、「データ戦略」などに取り組む。

「国民目線のUI・UXの改善」においては、行政のデジタルサービス共通のデザインシステムの策定等を進め、一貫した体験や操作性を提供できる環境を整備。子育てや介護などの手続きも「マイナポータル」をオンライン窓口として整備していくほか、様々な手続きのワンストップ化を進めていく。

また、国の情報システムの整備・管理の基本方針を策定。標準化や統一化を図り、効率的なシステム整備や民間の情報システムも含めた情報連携を実現しながら、ユーザー視点での行政サービスの改革と業務システムの改革を一体的に進める。

デジタル人材の育成・確保や、行政サービスにおける調達の公平性・透明性の確保などにも取り組む。また、社会のデジタル化に向け、「デジタルの日」を創設。社会のデジタル化に向けた機運の向上に取り組む。

デジタル庁が入る紀尾井町ガーデンテラス

「日本を作り変える気持ち」でデジタル庁に

1日夕方には、デジタル庁発足式を開催。菅総理は、日本を作り変える覚悟でデジタル化に取り組むと強調した。

菅総理はオンラインで訓示

菅総理はデジタル庁の600名の職員に向け、「デジタル庁の設立を迎えて本当に嬉しい。新型コロナ感染への対応の中、行政サービスや民間におけるデジタル化の遅れが浮き彫りになった。思い切ってデジタル化を進めなければ変えることはできない。それを強烈にリードする仕組みが必要と痛感した。そうした思いでデジタル庁の創設を決断した。」

「行政サービスの電子化の遅れ、ばらばらな自治体システム、マイナンバーカードの利便性の問題など、長年手がつけられず、先送りされてきた課題がたくさんある。デジタル庁には。政府関係者に加え、民間で様々な経験をされた人が数多くいる。立場を超えた自由な発想でスピード感を持って、行政だけでなく我が国全体を作り変えるような気持ちで尽くしてほしい。世界に遜色ない、デジタル社会を実現する」と語った。

デジタル庁の発足に向けて取り組んできた平井卓也デジタル改革担当大臣は、9月1日付けで初代のデジタル庁大臣に就任。「総理の言葉にも『日本を変えるつもりで』とあった。まさにそうだと思う。デジタルを国民のために社会に実装して、次の時代の未来を引き寄せていくような仕事をしなければならない。我々のミッションは、『誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を。』。スタートアップのように学びながら、新しいやり方を探していく。デジタル庁が取り組む仕事は手本がない、みずから作らなければいけない仕事。スタートアップ企業のような取り組みが必要。国民に素晴らしい品質のサービスをスピード感とコスト意識を持って届けていくことが重要だ。みなさんが誇りをもって、国民から信頼される、透明化されたプロセスで仕事をしていかなければならない。」と呼びかけた。

デジタル庁平井卓也大臣

加えて、「石倉洋子さんにリーダーになっていただき、新しいデジタル庁が船出する。多くの皆さんの協力なくして、デジタル庁の仕事はできない。私も各省庁やステークホルダーの協力を得られるように全力を尽くす。職員の皆さんも新しい仕事に取り組んでほしい」と語った。

デジタル監に就任する石倉洋子一橋大名誉教授(左)と平井大臣

事務方のトップとなる「デジタル監」に就任する石倉洋子氏は、「デジタルというのは、私の理解では色々な境界を越えるというのがポイント。デジタルによって国境や距離、組織の境界、年代の境界を越えられると思っている。デジタル庁が色々な意味での境界を越えていくように仕事をしていければ」と述べた。