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Sansanが法人カード参入 「Bill Oneビジネスカード」で月次決算加速

Sansanは、インボイス管理サービス「Bill One」のオプションサービスとして、「Bill Oneビジネスカード」を6月1日より提供開始する。Bill Oneを契約中のユーザーは無料で利用できる。

企業間の主要な決済手段としては、請求書と法人カードが存在しているが、特にクレジットカードの利用が広がりを見せている。同社が行なった法人カードの実態調査では約半数の人が「ここ数年、法人カードで決済するサービスの利用が増えたと感じる」と回答しており、今後はさらに利用の増加が見込まれるという。

しかし、法人カードは、オンライン決済を利用できるなど使用者メリットがあるもの、経理部門の管理業務ではアナログな業務課題が存在しており、デジタル化が進んでいない部分がある。特に証憑(領収書や請求書)の回収や、証憑と利用明細との照合に時間を要するなど、理業務に大きな課題がある。さらに、10月から開始するインボイス制度では、受領した証憑が適格請求書の必要項目を満たすかどうか確認する必要があるなど、法人カード業務はさらに複雑化することが見込まれている

Bill Oneビジネスカードは、同社が培ってきたデータ化技術などにより、アナログ業務などを廃し、「請求書受領から、月次決算を加速する」(Sansan 寺田親弘CEO)という法人カード。バーチャルカードとリアルカードの2種類があり、国際ブランドはVisa。初期費用・年会費・発行手数料は無料。1カ月あたりの利用限度額は最大1億円。

Bill Oneビジネスカードを使うことで、カード利用明細と証憑の自動照合が可能。Bill Oneにアップロードされた証憑は翌営業日中にデータ化され、カード利用明細の金額と合致しない場合はアラートを表示。こまで経理担当者が目視で行なっていた照合作業を効率化できる。また、カードの利用後は利用者に対してBill Oneから自動で証憑アップロード依頼が届くため、経理担当者が利用者に証憑提出のリマインドを行なう必要もない。

10月のインボイス制度開始までに、カード利用後に受け取った証憑が適格請求書かを確認できる機能を実装予定。手間のかかるインボイス制度への対応工数を削減できる。また、カード利用後に提出された証憑は電子帳簿保存法の要件を満たした形で保存される。

不正利用対策機能も搭載。利用するカードごとに、利用上限額や利用可能期間の制限、特定のジャンルの利用先の排除を行なえる。発行した全てのカードの利用状況はリアルタイムでBill One上に連携され、確認が可能。不正利用のリスクを低減する。これら「法人カード業務の三重苦」を解消することで、月次決算をさらに加速させる。

ビジネスモデルは証憑のデータ化料金とカード利用手数料がベース。Bill Oneは請求書のデータ化枚数に応じて料金が決まるビジネスモデルだが、証憑についても同様のビジネスモデルとなる。これに加盟店などから支払われる利用手数料が加わる。Bill Oneビジネスカードはすでに200社の導入が決まっているが、これらの企業が1カ月に利用する金額は合計6億円を見込んでいる。これを1年後には月間50億円、年間600億円までに成長させることを目指す。これにより、2024年5月期末には60億円以上のARR(年間経常収益)を目指す。