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Bill One、請求書発行/経費精算に参入 月次決算をリアルタイム化

Sansan 寺田親弘社長(左)と執行役員/Bill One 事業部 大西勝也事業部長(右)

Sansanは21日、インボイス管理サービス「Bill One」を「請求書」関連だけでなく、「経費精算」にまで拡張すると発表した。Bill One「Model 4」として、請求書受領から請求書発行・経費精算に領域を拡大する。

Bill Oneは、請求書受領の課題を解決する機能を中心としてSaaSとして展開し、サービス開始から4年弱でARR68億円を超え、クラウド請求書受領サービスではシェアNo.1となっている。今回のModel 4では、サービスの主軸となる請求書受領に加えて、請求書発行における入金消込業務や、経費精算まで領域を広げる。その狙いは「月次決算のリアルタイム化」だ。

Bill Oneが請求書発行と経費精算に領域拡張

Bill One(Model 4)の主な機能として、請求書受領を中心とした「Bill One受領」のほか、請求書発行の「Bill One発行」、立替経費をなくす経費精算サービス「Bill One経費」の3つのサービスを展開する。

「Bill One受領」は、郵送で届く紙の請求書やメール添付のPDF請求書など、あらゆる請求書をオンラインで受領・データ化するインボイス管理サービス。請求書をクラウド上で一元管理し、請求書業務をデジタル化。インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応し、月次決算業務を効率化する。

「Bill One発行」は、請求書の発行業務に加え、発行後の「入金消込業務」を効率化し、月次決算の加速を実現するサービス。

幅広い取引先に対して請求書をオンラインで一括発行できる従来の機能に加え、新たに銀行代理業者となり、「Bill One Bank」の提供を開始し、入金消込業務を自動化。。仕訳データの自動作成も可能となる。

Bill One Bankは、住信SBIネット銀行との連携により実現し、Sansanが銀行代理業者として取引の媒介を行なう。Bill One発行を利用する企業は、Bill One Bankの口座開設が必要となる。

「Bill One経費」は経費精算サービスで、従業員の「立替払い」の一掃を目指す。ビジネスカードを活用し、法人カードで経費を支払う際に発生する明細突合や証憑提出の督促を自動化。経費精算における経理部門の課題を解決する。全従業員が経費の支払いにBill Oneビジネスカードを利用することで、立替経費精算そのものを削減できるという。提供開始は6月頃を予定している。

急成長のBill One。請求書発行と経費精算参入で「月次決算リアタイ化」

Bill Oneは、リリースから4年でARR(年間固定収入)が68億円を超え、契約社数は2,600社を突破。請求書受領という経理の不便を解消し、高い支持を得るとともに成長を続いている。Bill OneのようなSaaS(Software as a Service)型ビジネスにおいては、1年ごとに3倍・3倍・2倍・2倍・2倍と成長が続く「T2D3」が理想とされるが、達成する会社はほとんど存在しない。しかし、Bill OneはT2D3を大幅に超えるペースでの成長が続いており、Sansan 寺田親弘社長も「最速の立ち上がり」と自信を見せる。

ネットワークを流通するインボイス(請求書)の総額は、2024年2月時点で35兆円を超えた。1年前の同時期は16兆円だったため、請求総額でも2倍以上の成長が続いていることになる。

Bill Oneでは「月次決算のリアルタイム化」を目標としているが、その上での課題は請求書受領業務にとどまらない。多くの経理担当者は、請求書発行業務や経費精算に時間を割かれている。ここの省力化やリアルタイム化の向上のため、請求書発行や経費精算業務を一気通貫で行なえるようにするのが、Bill OneのModel 4の取り組みとなる。

請求書発行業務においては、請求書発行に対して、入金があったかどうか確認し、請求情報と突合する「消込」(入金消込)に多くの時間が割かれている。

入金消し込みでは、相手先から自社の銀行口座への入金があった際、入金金額と請求金額を突合し、入金額が正しいことを確認し、会計処理を行なうが、多くの会社では「目視」で行なわれるアナログ業務であり、一社あたり月間平均2,500件以上の入金消込業務が発生し、平均170時間以上が割かれているという

「Bill One発行」では、Bill One Bankとして住信SBIネット銀行のBill One支店で開設する口座に、入金専用のバーチャル口座を発行。この消込業務を自動化する。

入金消込では、「請求先名と振込名義人の突合」や「複数の請求が合算された場合の入金確認」など、請求情報と入金情報が分断されているために生じる問題がある。Bill One発行では、バーチャル口座を取引先ごとに付与し、請求書に口座情報を自動で反映。請求情報と入金情報を自動で紐付け金額が合っているかが表示されるため、煩雑な消込作業を大幅に効率化できるほか、滞留債権の早期把握にも役立つという。

加えて、経費精算サービスとして「Bill One経費」を導入。「Bill Oneビジネスカード」を活用し、社員にカードを発行。アップロードされた証憑をデータ化し、利用明細と自動で照合。インボイス制度の要件を満たすかどうかも自動で判定する。これにより、従業員の不正使用を防ぐほか、経理業務を効率化し月末月初の業務を分散できるなど、経費精算業務の効率化を図れる。これにより「立替経費自体をなくす」(Sansan寺田社長)と意気込みを語る。

Sansanでは、Bill One Model4により、請求書受領だけでなく、請求書発行、経費精算の各領域で月次決算を加速し、月次決算のリアルタイム化を目指す。なお、請求書発行における入金消込は8月頃、経費精算は6月頃の提供を予定している。