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ANA Payが一新。タッチ決済やチャージ拡充でANAマイル経済圏を拡大

ANA Xは、「ANA Pay」を抜本的リニューアルし、新たにVisaのタッチ決済やiDに対応、より多くの場所でANA Payを利用可能になった。また、チャージ手段もクレジットカードやApple Pay、セブン銀行ATMなどに拡充した。ANA Payは「ANAマイレージクラブアプリ」から利用可能で、5月23日からiOSで対応を開始。Android版は6月下旬以降に公開予定。

ANA Payは、ANAのマイルが貯まる決済サービスとして2020年10月にスタート。従来は、JCB発行のANAカードからチャージした残高でのコード決済のみだったが、リニューアルした「新しいANA Pay」では、Visaのタッチ決済やiDなどの非接触決済に対応したほか、マイルのチャージなど貯めるだけでなく、“使う”こともできるようになる。また、11月以降に新たなコード決済に対応する。

Visaのタッチ決済に対応

チャージ手段は、JCB以外のクレジットカード(Visa/Master/JCB/Diners)やマイレージ、Apple Pay、セブン銀行ATMなど大幅に拡充した。また、新ANA Payでは「バーチャルプリペイドカード」に対応し、オンラインショッピングでも利用可能となった。

Visaのタッチ決済とiDの対応により、利用可能店舗は200万以上。Apple ウォレットに登録したカードやiDをかざして支払いが可能で、オンラインストアでも使えるため、大幅に利用可能店舗が拡大したこととなる。新ANA Payのシステムは三井住友カードと協力して開発した。

ANA Payでの支払いでは、200円に付き1マイルを付与。また、ANAカードからの残高チャージでは、1,000円につきノーマルカードで1マイル、ゴールドカードで6マイル、プラチナカードで11マイルを付与する。

なお、マイルのチャージと、カードからのチャージでは、残高の扱いが別となる。カードやATM等からチャージを行なう場合は、「ANAキャッシュ」という残高(バリュー)、マイルからのチャージは「ANAマイル」という残高になり、それぞれが別管理となる。

チャージ手段の違いにより、「ANAマイル」と「ANAキャッシュ」のどちらから支払うかを選ぶ必要がある

そのため、支払い前にどちらの残高(キャッシュ/マイル)を使うかを選択する必要があり、サービス開始時点では合算しての支払いはできない。将来、マイルとキャッシュをシームレスに扱えるよう改善を検討しているという。

マイル
キャッシュ。スワイプで切り替えられる

チャージ上限は、本人確認前が10万円/月、2万円/日で、本人確認後は30万円/月、10万円/日となる。また、本人確認後には「オートチャージ」も可能となり、残高がユーザーが設定した額以下になると、自動的にチャージを行なう。なお、2023年中には銀行口座からのチャージにも対応予定。

本人確認によりオートチャージにも対応

従来のANA Pay(コード払い)は11月に終了予定だが、新ANA PayにJCBのSmart Code対応のコード決済機能を追加予定で、11月以降にコード決済も再度ANAマイレージクラブアプリ/ANA Payから利用可能になる。

少額でもマイル利用。ANA経済圏を実現へ

ANA Xでは、「ANA マイレージクラブアプリ」に、さまざまな機能・サービスをミニアプリで集約する“ゲートアプリ”として強化している。ミニアプリは、'22年10月の10サービスから16サービスまで拡大し、'23年1月にスタートした「ANA Mall」のショップ数も23から29まで拡大。さらに2023年度中に100ショップまで拡大予定など、ANAマイレージアプリ内での“経済圏”の構築を進めている。

今回のANA Payの「抜本的リニューアル」(ANA X 驫木一博 代表取締役社長)により、他の決済サービスと機能面では遜色ない利便性を実現するほか、マイルという他社にない価値を活かしてユーザー拡大を図る。

ANA X 驫木一博 代表取締役社長

ANAマイレージクラブでは、4,000万人の会員基盤を持っているが、飛行機にあまり乗らない人においては、少額のマイルが「活用されない」という課題があった。飛行機によく乗る人は、頻繁に特典航空券などに交換するが、年に1回の飛行機利用などではなかなかマイルは貯まらなかった。

そのため有効期限でマイルが消滅してしまう、あるいは少額しか貯まらないので、ANAに搭乗してもANAマイレージクラブ会員にならないことも課題となっていた。

ANA Payのリニューアルにより少額でもマイルを使いやすくしたことで、旅行のような「非日常」だけでなく「日常」でのマイル利用を拡大していく。

ANA Xでは、ANA Payにより日常利用での顧客接点を強化し、マイルをフックとして航空事業との回遊強化と、ANAマイルの「経済圏」を拡大。「マイルで生活できる世界」の実現を目指す。

今回、Visaのタッチ決済に対応したことで、ANAでハワイに飛び、現地でVisaで支払いなど、航空事業とのシナジーも見込む。さらに、ANA Payをきっかけとした若年層のANAマイレージクラブ入会にも期待をかけている。

従来のANA Payのユーザー数は「10万人未満」だったが、カード等の制約も撤廃したことから大幅なユーザー増加を見込む。初年度の取引額目標は100億円。